「何度か食べてみた沖縄そばに、どんなバラエティがあるのか知りたい」
「沖縄そばって、どれもみんな同じじゃないの?」
そう思う人は『きしもと食堂』の沖縄そばを試してみるべき!
1905年(明治38年)創業の超老舗であるきしもと食堂、「沖縄そば最古の味」がするからです。
ただし、きしもと食堂の本店は、連日大行列ができるうえ、駐車場も何カ所かに分かれていてわかりにくいのが欠点です。
お店に入るために労力をかけたくない人は、本店と基本的におなじ味の『八重岳店』へ行くのがおすすめです。
この記事では、きしもと食堂 八重岳店のメニューや味の特徴を、東京出身でありながら沖縄に在住し、さまざまな沖縄そばを日々食べている筆者 高野が紹介します。
沖縄へ来た際には、このきしもと食堂のそばを食べると、沖縄そばに対する見識が一段と深まるかもしれませんYO!

きしもと食堂は1905年創業の沖縄を代表する老舗店
きしもと食堂は1905年(明治38年)の創業です。
創業当時は、沖縄そばと魚の天ぷらを提供するお店だったとか。
この「1905年の創業」とは、どれくらい古いのでしょうか・・・・・・?
沖縄における最古のそば店『支那そば屋』が那覇に開業したのが1902年(明治35年)とされています。
したがって、きしもと食堂の創業は「沖縄そばが誕生した直後」ということになります。
また、沖縄にそば店が続々と開業したのは大正時代(1912年~)に入ってから。
現存する名護の老舗店『新山そば』が開業したのも1923年(大正12年)のことですので、きしもと食堂の創業は、それよりもはるか前です。
きしもと食堂は、「沖縄を代表する沖縄そばの老舗店」ということができると思います。
「沖縄そば最古の味」を残すきしもと食堂
その沖縄を代表する老舗そば店であるきしもと食堂、「沖縄そば最古の味」を今に残していることが最大の特徴です。
現在の一般的な沖縄そばと「最古の味」が異なる点は、
- 醤油を強くきかせたスープ
- 木灰を使用した麺
- 赤身の肉
の3つです。
1.醤油を強くきかせたスープ
きしもと食堂の沖縄そばは、一般的な沖縄そばと比較して、スープに醤油を強めにきかせていることが特徴の1つです。
この特徴は、沖縄そばのスープの味が大正時代に大きく変化する以前のスタイルを、今に残しているためだと考えられます。
大正時代に沖縄そばのスープの味が変化したのは、1918年(大正7年)に開業した『ゆたか屋』(現存しない)がきっかけだったといわれています。
ゆたか屋は、それまで、豚骨とかつお節で取っただしに醤油をたっぷりと加え、黒い色をしていた沖縄そばのスープを、塩中心の味付けをした白い色に変えました。
白い色のスープは多くの人に受け入れられ、大正の末期には沖縄そばは、白い色のスープが主流になったとのこと。
名護の人気沖縄そば店『宮里そば』や『八重そば』『新山そば』も、スープは白っぽい色をしています。
きしもと食堂の黒いスープは、やや甘みもつけられて、ちょうど関東のうどんだしのような味つけ。
白いスープと黒いスープのどちらがいいかは好みもあると思います。
でも、関東の人などの場合には、きしもと食堂の黒いスープの方が口に合う人も多いのではないでしょうか。
また、沖縄そばに添える薬味として定番の「紅しょうが」も、上のゆたか屋が始めたとのこと。
したがって、きしもと食堂には、食卓に紅しょうがは置かれていません。
ちなみに、沖縄そばの歴史が知りたい人は、こちらのサイトをご覧ください。
また、名護の人気沖縄そば店『宮里そば』『八重そば』および『新山そば』について知りたい人は、高野のブログ記事をご覧ください。
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2.木灰を使用した麺
きしもと食堂は、麺に「木灰(きばい)」を使っていることも特徴です。
麺にコシのある食べごたえを加えるため、伝統的には、沖縄そばには木灰が使われていました。
木灰とは、中華麺の「かんすい」に相当するもので、木の灰を水に浸してできた上澄みです。
1960年代になり、プロパンガスの普及により木灰が手に入りにくくなったため、多くの沖縄そば店が廃業したり、また木灰に代わってかんすいを使うようになったりしました。
ところが、きしもと食堂ではいまだに木灰を使い、自家製麺をしています。
なんでも、麺をゆでるための釜を薪で炊き、薪の灰を利用して木灰まで作っているのだとか!
伝統的な製法を維持するため、かなりの手間をかけていることになります。
この木灰を使ったきしもと食堂の自家製麺、かんすいを使った一般的な沖縄そば麺と比較して、食べごたえがやさしく、もっちりとしています。
34回くらい死ねるほどウマイため、特に「沖縄そばは麺が重要」と考える人ならば、この麺を食べるだけのためでも、きしもと食堂へ来る価値があると思います。
3.赤身の肉
きしもと食堂の沖縄そばには、三枚肉とともに赤身の肉を煮込んだのが乗せられています。
赤身の肉は煮込むとモソモソとするために、一般的な沖縄そばで使われるトロトロにやわらかい三枚肉やソーキに慣れている人の場合、
「なんだよ、これ、煮方が悪いんじゃね?」
と思うこともあるかもです。
しかし、きしもと食堂がモソモソの赤身の肉を使うのは、最古の沖縄そばが赤身の肉を使っていたからだと思われます。
誕生当時の沖縄そばは、煮込んで小さく刻んだ赤身の肉が具となっており、ソーキが使われるようになったのは、1970年代になってからのことなのだとか。
モソモソとした赤身の肉とやわらかな三枚肉やソーキでは、味を客観的に比べれば、三枚肉やソーキの方がうまいです。
したがって、きしもと食堂は、味を犠牲にしてまでも、最古の味を残そうとしていることになります。
ただし、赤身の肉だけではさすがに商売にならないからでしょう。
上の写真のように、3枚の肉のうち1枚はトロトロにやわらかい三枚肉となっています。
以上のように、きしもと食堂は、沖縄そば最古の味を、頑固なまでに今に残すお店です。
沖縄そばに興味が湧いた人なら、一度は食べてみる価値が絶対にあると思います。
本店は大行列ができるため八重岳店がおすすめ!
さて、そのきしもと食堂、本店と八重岳店の2つがあります。
本店で食べるのはもちろん悪くありませんが、本店は、店舗がちょっと狭いため、下の写真のように観光客の大行列がだいたいいつもできています。
したがって、行列に並んでからお店に入るまで、30分程度はかかります。
また、駐車場も、お店の前にないうえに2カ所に分かれていて、さらにお店の駐車場に入れられなかった場合には、町営の駐車場に行かなければなりません。
したがって、駐車場にクルマを止めるまでにもかなりの苦労があるといえます。
その点、八重岳店は、店舗が広々としているため行列はまずできません。
また、駐車場も、下の写真のように、コンビニの駐車場とおなじくらい広い30台近くが入るのがあります。
並ばずに入れて駐車場にもすぐに停められるため、お店に入るまでのストレスが、本店より八重岳店の方が圧倒的に低いです。
でも、
「本店と八重岳店では味が違うのでは?」
そう思う人もいるかもですよね?
たしかに、お店の暖簾分けなどのケースだと、お店の名前はおなじでもお店によって味が違うことがあります。
しかし、きしもと食堂の場合には、本店で使う麺も、広いスペースがある八重岳店で製麺しているとのこと。
したがって、本店と八重岳店は、暖簾分けなどではなく、経営的に「一体」であると考えられます。
また、筆者 高野は、本店と八重岳店の両方で食べてみましたが、味は全く変わりません。
したがって、「本店でなくても味がおなじであればいい」と思う人の場合には、お店に入るのがラクな八重岳店へ行くのが非常におすすめだといえます。
きしもと食堂 八重岳店のメニュー
きしもと食堂 八重岳店のメニューは、上の写真のようになります。
沖縄そばについては、
- 特大 800円
- 大 700円
- 小 550円
です。
大は、普通のラーメンくらいの量で、そう多いこともありません。
また、麺類は腹持ちが悪いため、わりとすぐお腹が減ります。
したがって、普通に食べる男性なら、満腹になるためには、特大か、大+ジューシー(沖縄式の豚肉が入っている炊き込みごごはん:280円)でちょうどよいと思います。
普通に食べる女性なら、大か、小+ジューシーではないでしょうか。
ただし、ジューシーは1日限定50食で、なくなると売り切れます。
昼過ぎには売り切れることも多いため、ジューシーを食べたい場合には、早めに行くのがおすすめです。
きしもと食堂 八重岳店は子連れでも安心
きしもと食堂の店内は、上の写真のように広々としています。
窓際には、小上がりの座敷席もあります。
子供連れの家族でも、問題なく入れます。
また、子供がいる場合には、子供用の器をもらうこともできるとのこと。
子供を連れて行くことで、変にストレスになることは、きしもと食堂ではないと思います。
実際に、この日は土曜日だったため、ほとんどのお客さんが子供連れの家族でした。
きしもと食堂 八重岳店の店舗情報
- 住所 沖縄県国頭郡本部町字伊野波350-1
- 電話 0980-47-6608
- 営業時間 11時~19時
- 定休日 なし
※ 沖縄そばは売り切れませんが、ジューシーは限定50食に達すると売り切れます。