先日、京都を代表するラーメン店「本家第一旭(だいいちあさひ)」の支店が「東京にある」と、ツイッターで知ったのです。
えええぇぇぇ!!! マジですかあああぁぁぁ!!!???
と、思わず叫んでみたわけですが、京都にいた7年間で数限りなく通い、自分が知る限りすべてのラーメン店のなかで「ここが一番好き」と思えるラーメン店、本家第一旭。
京都へ行かないともう食べられないのだろうと思っていたそのラーメンが、東京で食べられるというのは、
「昔別れた恋人が、気づいたら隣の家に住んでいた」
というくらい、僕にとっては衝撃的な出来事だったのです。
といっても、本家第一旭が東京(最初は新宿)に出店したのは、2018年のことなので、もう5年も前になります。
京都から移った沖縄で6年を過ごし、昨年(2022年)8月に東京へ戻ってきた僕は、何のことはない、それを知らなかっただけなんですけどすね。
そこで早速、新宿と神保町に2店舗ある東京店のうち、自宅から行きやすい神保町店に行ってきました。
すると、なんと……、
「京都本店と、まったく同じ味がするじゃないか(号泣)」
という結果だったのです。
これは東京のラーメン好きの皆さんにも、ぜひお知らせしなければと思い、このブログ記事を作成することにしました。
この記事では、京都のラーメンの概要と、本家第一旭の特徴、店構えとメニュー、詳細情報を紹介します。
本家第一旭のラーメンをまだ食べたことがない人は、ぜひ参考にしてください。
京都は全国でも一、二を争うラーメン地帯
本家第一旭の話に入る前に、まず「京都のラーメン」について紹介したいと思います。
じつは、何を隠そう、京都は全国でも一、二を争う「ラーメン地帯」なのです。
って、べつに誰も隠してはいないわけですが、京都が好きで、よく京都へ行く人、あるいはラーメンが好きで、全国でラーメンの食べ歩きをする人以外は、「京都のラーメン」といわれても何も思い浮かばないのではないでしょうか。
薄味のスープに細麺のさっぱりした「京風ラーメン」を思い浮かべる人も中にはいるかもしれませんが、京風ラーメンは府外の人が捏造した、実際の京都のラーメンとは何の関係もないラーメンです。
1,000年以上ものあいだ都であり続け、懐石料理を初めとしたさまざまな食文化を発展させてきた京都は、ラーメンも半端ありません。
伝統的なラーメンだけで系統が4つもあり、さらにそこから派生したラーメンや、独自に考え出された新しいラーメンなどが当然さまざまにあるわけで、その充実ぶりたるや目を見張るほどなのです。
しかし、観光資源が豊富にある京都は、別にあえてラーメンの宣伝をする必要がないのでしょう。
あれだけのラーメン地帯でありながら、府外の人にはほとんどそれが知られていない、
「ラーメン界の隠れ家的存在」
になっています。
京都の伝統的なラーメンの4つの系統は、以下のとおりです。
新福菜館の黒ラーメン
京都のラーメンとしてまず筆頭に挙げるべきは、戦前に創業された「新福菜館(しんぷくさいかん)」です。
上の画像を見てのとおり、スープは真っ黒。
富山や郡山などを初めとして全国にある「ブラック」と呼ばれるラーメンは、この新福菜館のラーメンが派生したともいわれています。
⇒ 【京都駅前・新福菜館本店】戦前の味を今にのこす「文化財」ともいえるラーメン
本家第一旭
次に挙げられるのが、戦後すぐに創業した「本家第一旭」です。
新福菜館に比べればスープの色は薄いですが、味はしっかりしています。
なお、京都市内や全国各地にある「第一旭」の名前の付いたラーメン店は、東京の新宿店・神保町店以外は経営的に関係なく、味も違うみたいです。
⇒ 京都駅前「本家・第一旭」のラーメンが、並んでも食べる価値がある5つの理由
ますたにの背脂醤油系
次に、「ますたに」の背脂醤油(せあぶらしょうゆ)系ラーメンが挙げられます。
スープ自体は比較的薄めですが、背脂がチャッチャと振りかけられていて、あっさりとこってりの両面から攻めてこられる手強いやつです。
関西~西日本を中心として展開するラーメンチェーン店「來來亭」は、ますたにの系列店からスタートしています。
⇒ ますたに今出川本店
天下一品のこってり系
そして、「天下一品」です。
全国にチェーン展開している天下一品を知らない人は少ないと思いますけど、天下一品が京都のラーメンだというのは、知らない人も多いかもですよね。
天下一品は京都では、「熱狂的」とも思えるほどの支持を集めています。
⇒ 【天下一品 二条駅前店】京都の人が熱狂的に好むラーメン
以上のように京都では、伝統的なラーメンだけで4系統あります。
地方都市でラーメンが有名なところでも、ラーメンの種類を「系統」として数えれば、1種類に収束することが多いのではないでしょうか?
京都ではこの伝統4系統のほかに、そこから派生したもの、さらに独自に新たに考え出されたものが様々にあるわけなので、「京都が全国でも一、二を争うラーメン地帯」と言ってもウソではないと、わかってもらえると思います。
そのラーメン地帯・京都において、本家第一旭は「主流」といえるラーメンです。
「第一旭」の名前を冠したラーメン屋が多くあるほか、店名はまったく別でも、考え方は同じラーメン屋が多数あります。
本家第一旭の特徴
さて、その本家第一旭のラーメンの特徴ですが、一言でいえば、
「端正で気品があり、男っぽいラーメン」
なのです。
人物でいえば「高倉 健」みたい、となるでしょうか。
普段は寡黙で穏やかでありながら、「やるときはやる」みたいな、あの感じです。
少し詳しく説明すると、以下のようになります。
透明なスープに醤油がキリッと利いている
本家第一旭のラーメンの最大の特徴は、透明なスープに醤油がキリッと利いていることです。
スープの具材は、鶏ガラに比べるとクセの強い豚骨ですが、まったく濁りがなく澄み切っていて、味はしっかりと強いものの、臭みなどはありません。
そこに醤油が、一本筋を通すかのようにキリッと利いていて、シンプルでありながら主張すべきは主張する、メリハリの利いた仕上がりとなっているわけです。
これはほんとにたまらなく、塩分さえ気にしなければ、気付くとすべて飲み干してしまいます。
この端正で気品あるラーメンスープは、僕はほかで同等なものを体験したことはないです。
使っている醤油は、京都の老舗醤油店のものを、かなりこだわって選んでいると聞きました。
やや太めの「ワシッ」とした麺
それから、本家第一旭のラーメンがいいのは、麺がやや太めで、食べごたえが「ワシッ」としていることです。
細い麺の繊細な食べごたえももちろんいいものですが、ラーメンは元々労働者の食べ物としてスタートしています。
「男っぽさ」は重要な要素であり、本家第一旭のラーメンは、麺がそれを見事に体現しています。
ただし、太すぎて「武骨」な印象を与えることもありません。
原料は、厳選された小麦粉を複数ブレンドしているそうです。
プリプリのチャーシュー
そして、本家第一旭のラーメンは、チャーシューが「プリプリ」なのです。
一般にラーメンのチャーシューは、モッサリ、あるいはしっとりしたのが多いかと思いますが、このモッサリ感が一切なく、しっとりを超えてプリプリとしているチャーシューが、本家第一旭のラーメンに、
「やるときはやる」
という躍動感を与えています。
原料は、近年ではほとんど市場に出回らない、出産を2回経験した体重120kg程度の雌豚「中大貫」を使用しているとのことです。
神保町店は京都本店と完全に同じ味
以上のような特徴がある本家第一旭のラーメンが僕は大好きで、京都にいた頃にはよく通ったものでした。
京都から引っ越して、「もうあのラーメンは京都へ行かないと食べられないだろう」と思っていたところ、「東京でも食べられるらしい」と知ったわけです。
でも、ちょっと不安もありました。
ラーメン店が支店を出すと、味が変わってしまうのはよくあることです……。
本家第一旭 神保町店へ行って、まずビール……。
つまみはヤキブタ付出し。
レモンチューハイをお代わりして、いよいよ到着、特製ラーメン……。
スープをすすり、麺を頬張ると……、
「おおぉぉ……、京都本店と完全に同じ味だ……」
その瞬間、大好きなラーメンと再び出会えた嬉しさで、僕の目から大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちました(ウソ)。
と、涙はウソですが、本家第一旭 神保町店のラーメンが、京都本店のラーメンと、寸分違うことなく、まったく同じ味がするのは本当です。
「ラーメン店の支店で、本店とここまで同じ味がするのは珍しい」
というくらい、完全に同じ味がします。
しかし、それもそのはず、本家第一旭 神保町店のラーメンは、京都本店でずっとラーメンを作っていた人が作っているのです。
店長さんらしき人は京都本店に長くいた人で、京都ラーメン事情についての話に花が咲いてしまいました。
一般にチェーンのラーメン店が新規出店するときには、店長を新しく募集して、その人にラーメンの作り方を教えるところからスタートするかと思います。
でも、本家第一旭 京都本店はこれまでチェーン展開していなかったため、ラーメンを完璧に作れる人材が内部で豊富に蓄積されていたということなのでしょう。
京都本店でラーメンを毎日作っていた人が作るのですから、京都本店と同じ味がするのは当たり前の話です。
第一旭はチェーン展開の失敗など、過去に色々あったと聞きます。
しばらくは支店も出していなかったようですが、今回の東京進出は本店直営で行っているようで、
「事業拡大に久しぶりに本腰を入れている」
という位置づけなのかもしれません。
神保町店の店構えとメニュー
本家第一旭 神保町店は、地下鉄神保町駅とJR水道橋駅のちょうど中間あたりにあり、どちらからも徒歩5分くらいです。
洋風居酒屋的な店構えの空き店舗に居抜きで入ったみたいで、壁やカウンターなどが白く塗られており、しかもそのペンキがちょっと剥げているのはご愛嬌。
2階建てで、1階はカウンターと奥にテーブル席、2階はテーブル席となっていて、複数人数での入店も可能です。
注文と支払いは、入口手前の券売機で食券を買うシステムとなっています。
現金のほかSuicaやnanacoなどの電子マネーが使用可能です。
筆頭メニューは京都本店と同様の「特製ラーメン」。
これは「チャーシュー麺の大盛り」を意味していて、ラーメン、チャーシュー麺、ラーメン(大)もそれぞれ別にメニューにあります。
京都本店にはあるギョウザがなく、その代わり京都本店にはないヤキメシがメニュー入りしています。
これは東京人のニーズに合わせたのでしょう。
京都本店にはないトッピングも採用され、ラインナップは九条ねぎ増し、味玉、メンマ、それにトッピング3種です。
九条ねぎ増しは京都本店では無料ですが、こちらでは有料のシステムとなっています。
お酒は生ビール、ハイボール、レモンサワー、それにグラスビールと、それなりに充実。
つまみはヤキブタ付出し、キムチ、おつまみメンマ皿です。
最初につまみでお酒を飲み、それからラーメンに取り掛かるという、京都本店ではスタンダードな食べ方も、十分可能となっています。
卓上には、上の画像で左から、豆板醤、おろしにんにく、一味、ラーメンたれ、コショウが据え置きされています。
最初は何も入れずに食べ、食べながら調味料を徐々に入れて味変えをしていくのも楽しいのではないでしょうか。
本家第一旭 神保町店で京都のラーメンを楽しもう!
ラーメン地帯・京都を代表するラーメン店である本家第一旭。
スープ、麺、チャーシューのそれぞれに特徴があり、王者の風格を漂わせるラーメンです。
その本家第一旭のラーメンが、京都へ行かずして食べられる、神保町店。
ついでがあれば立ち寄って、京都のラーメンを楽しんでみてはいかがでしょうか。
詳細情報
- 住所 東京都千代田区神田神保町2-48-2
- 電話 03-6672-0741
- 営業時間 [月~土]11:00~22:00、[日]11:00~18:00
- 定休日 年末年始
- 予約 不可
- 支払方法 現金、電子マネー(交通系電子マネー(Suicaなど)、楽天Edy、nanaco、WAON、QUICPay)
- 喫煙 不可
- 駐車場 なし
- ツイッター https://twitter.com/daiasahiTokyo
※ 本家第一旭は新宿にも支店があり、味は神保町店と同様に、京都本店と完全に同じと推察されます。
⇒ 本家第一旭 新宿店のGoogleマップ