特徴がある沖縄そば店が山ほどある名護市および沖縄北部では、食べ歩きをするのはもちろん楽しい。
「沖縄そばってどれも似たようなものなんでしょう?」
と思う人もいるだろう。
たしかに、北海道から九州まで、多種多様なバラエティがあるラーメンと比べれば、沖縄そばは「似たようなもの」といえなくもない。
しかし、多くが個人店だから、下手にチェーンのラーメン店へ行くよりは、お店の個性を存分に味わえるのが沖縄そばを食べ歩く楽しさだ。
沖縄へ来るのがまだ2~3回のうちならば、そうして食べ歩きをするのがいいと思う。
しかし、何回も来ているならば「行きつけの店」を作りたくなってくることもあるだろう。
その場合には、ここ「沖縄そば あいあい」がおすすめなのだ。
「あいあい」は、名護市の繁華街である「みどり街」の中にある。
以前は居酒屋だったのが、1年ほど前から業態変更してお昼間のみの営業の沖縄そば店になった。
近くにはホテルもあるから、そこに泊まれば歩いても来られるだろう。
また、車で来る場合にも、近所には無料の市営駐車場やコインパーキングなどが複数ある。
「あいあい」を「行きつけ」にすることがおすすめの理由
この店を「行きつけ」にするのがおすすめである理由は2つある。
1. カウンターの席があるから
まず第一に、カウンターの席があること。
一般に沖縄そば店はカウンター席があるところは少ない。
基本的に「食堂」だから、テーブル席または座敷席となっていることが多い。
しかし「あいあい」は元は居酒屋だったから、カウンター席があるのである。
カウンター席の端に座れば、女将さんと話ができる。
「行きつけ」になるためには、単に何回も行くだけではなく、お店の人と話をし、親しくなって、顔を覚えてもらうことが最低限の条件となるだろう。
この「あいあい」は、その最低限の条件を満たすことが可能な店の造りになっている。
ちなみに、席はカウンター席だけではなく、テーブル席や座敷もある。
座敷には子供用の椅子も用意されているので、子供連れの家族でも問題なく来られることと思う。
2. 女将さんが人の顔を覚えるから
次に、女将さんが人の顔をよく覚え、かつ話を引き出すのがうまいこと。
女将さんはたぶん僕より年下で、包容力がありそうなタイプ。
居酒屋のころ2~3回来たきりで、それから2年ぶりくらいで来た僕の顔をしっかりと覚えていた。
聞き上手で、かつ人に合わせて適切な話題を振るのがうまい。
したがって、沖縄在住ではない、たまにしか行かない人でも顔を覚え、懇ろなコミュニケーションを取ってくれると思う。
「あいあい」の沖縄そば
以上のように「行きつけ」にするのにおすすめな「あいあい」は、沖縄そばもけっこううまい。
沖縄そばにはさまざまな名店があるわけで、その「トップレベル」とまでは言わないが、一つひとつをていねいに、気持ちを込めて作っていることが伝わってきて満足度としてはかなり高い。
沖縄そばのメニューは下の通り。
「なん骨ソーキそば」「本ソーキそば」「三枚肉そば」はどこの沖縄そば店でもだいたい定番となっているが、それ以外に「中味そば」(中味とは豚のホルモンのこと)「背脂そば」「牛もやしそば」など、わりとレアなメニューがあるのも「あいあい」の特徴だ。
価格は、老舗店などと比べると若干高い設定だ。
しかし、老舗店は店舗の償却が終わっていたりもするわけで、若い店がそれと同じ価格にするのは土台無理であるといえる。
それを割り引いて考えれば、このお店のそばのクオリティは充実しており、決して高いことはない。
沖縄そばのほかにも、下のようなメニューがある。
「あいあい」はもともとは居酒屋で、居酒屋や食堂で出すようなメニューは一通りそろえていた。
コックの男性はそのときと同じなので、とんかつやチキンカツなどのメニューもきちんとしているのは間違いないと思われる。
「あいあいそば」
「あいあい」の看板メニューは、お店の名前を冠した「あいあいそば」であることはいうまでもない。
あいあいそばには、塩テビチと本ソーキ、塩てびちが乗っており、小鉢が3品ついてくる。
左下は、サイドメニューで頼んだジューシーなのだが、ジューシーを頼まない場合にも、ジューシーの小さなおにぎりが付いてくる。
このジューシーが、カラリと炊き上げられていて非常にうまい。
その他の小鉢は日替わりになっていて、この日は、1つは糸こんにゃくの酢の物。
ほぐした鮭が加えられているのが気が利いている。
それから、高菜ともやしの和え物。
これもうまい。
あいあいの小鉢は非常によくて、別の日は、1つは青菜のマヨネーズ和え。
青菜をマヨネーズで和えるというのは、大変よくわかっていると思う。
それから、カブの酢の物。
シャキッとした歯ごたえで、これもまたいい。
あいあいそばは、特徴となるのがまずスープ。
うす味で、かつお節より昆布のうまみを強く感じる調整だ。
沖縄そばは最近ではかつお節の風味が前面にでるタイプが多い。
しかし、名護の沖縄そばは伝統的には、かつお節も昆布も肉も渾然一体となり、個別の具材を突出させないことが特徴となっている。
あいあいのそばのスープは、そのような名護の伝統を受け継いだものだといえる。
載せられている具材は、まず手前から、塩てびち。
臭みは皆無で、トロトロに煮上げられている。
それから、本ソーキ。
甘辛くこってりと煮上げられている。
そして三枚肉。
皮が炙られていて香ばしい風味がする。
このように、てびちと本ソーキ、三枚肉で異なった味付けがされ、それぞれの良さを引き出すようになっている。
ていねいに設計されていることを感じさせる沖縄そばだ。
麺は、名護のものとしては比較的細めのタイプ。
細めであるため、噛むのに口が疲れないのがいい。
「牛肉もやしそば」
牛肉もやしそばは、大宜味村にある「前田食堂」の発祥で、それが沖縄全島に広がったものと考えられる。
しょうゆで濃いめの味がつけられ、スパイスがたっぷり振られて、刺激的な味であるのが基本となる。
しかし、「あいあい」の牛肉もやしそばは、他の店のものとは異なり特徴のあるものとなっている。
メニューに「ガーリックペッパー」と書かれている通り、まずにんにくが使われて、さらにバターが入っているのだ。
したがって、洋風のコッテリとした味付けとなっている。
たしかに、牛肉とコショウを使うのなら、さらににんにくとバターを使うのがセオリーというべきだろう。
沖縄では珍しくても、料理のセオリーには忠実なこの牛肉もやしそば、非常によいと僕は思った。
以上のように、「沖縄そば あいあい」は、カウンター席があり女将さんは人の顔を覚えるため、行きつけにするのに適している。
また、沖縄そばも大変うまい。
近隣には、「名店」と呼ばれる沖縄そば店も数多い。
しかし、この若いそば店も、ぜひ応援してあげて欲しいものだと思う。
「沖縄そば あいあい」店舗情報
- 住 所 〒905-0013 沖縄県名護市城1-8-3
- TEL 0980-54-1555
- 営業時間 AM11:00~PM6:00
- 定休日 日曜日