夏野菜に、順次別れを告げているのだけれど、やはりゴーヤにも、挨拶を忘れるわけにはいかない。ゴーヤとなれば、やはりゴーヤチャンプルー。
ゴーヤチャンプルーは、この夏、作り倒した感があり、
などなど、自分的にはずいぶん新境地を開拓したのだけれど、やはり最後に、今一度ゴーヤチャンプルーを作るとなれば、最もオーソドックスと思われるやり方を選びたい。
やはり、しょうゆと削りぶしで味付したものになるだろう。
沖縄は、ぜひ一度行ってみたいと思うのだけれど、料理がとても興味深い。南方にあるから、東南アジアの影響を強く受けているだろうと思うし、実際ゴーヤチャンプルーにしても、いかにもエスニックな雰囲気が漂ってくるけれど、調味料がすべて、しょうゆだの、ショウガだの、削りぶしだの、和風のものになっている。
和食には、炒め物の伝統はないわけで、だから炒め物をするとなると、どうしても中華風になってしまうわけだけれど、沖縄の料理を見ていると、和風調味料のみを使い、どうやって炒め物をしたらいいかがよく解る。
ゴーヤチャンプルーの場合なら、「削りぶし」が、大きなポイントとなっている。
これは一度、ぜひ試してみたらいいと思うけれど、きょうのゴーヤチャンプルーを、削りぶしを振りかけずに食べてみるのだ。削りぶしは、食べてみたあと振りかければいいのだから、被害はない。
すると、どうだろう?ちょっと間の抜けた感じの味になっていると思う。
ここで改めて、削りぶしを振りかけて食べてみる・・・。
すると、味がバッチリ、決まるのを、感じられると思う。
これは、「豚肉としょうゆ」の相性によるものだ。豚肉としょうゆは、今ひとつ、相性がよくないのだ。
塩焼きした魚なら、しょうゆだけかけて食べてもうまいだろう。ところが塩焼きした豚肉は、しょうゆだけだと、どうしても味が足りない。
これはしょうゆが、魚に合わせて開発されてきているわけで、仕方のない話だろう。
なのでしょうゆを豚肉に合わせるためには、味を何か、足す必要がある。
足すものには色々あり、まずはニンニクが王道で、これは中国が採用している。それからショウガという手もあり、これは「ショウガ焼き」の原理だろう。
酸味を足す手もある。とんかつにおろしポン酢をかけるのは、そういう話だ。
それから辛味を足す手もあり、シュウマイは、カラシじょうゆで食べるだろう。
さらに日本が、王道として採用しているやり方は、「だし」を使うことなのだ。豚肉を和風に煮る場合には、角煮にしても、肉豆腐にしても、かならず削りぶしのだしを入れる。
これを沖縄では、炒め物に応用し、削りぶしを振りかけているというわけだ。
削りぶしを炒め物に振りかけるのは、ゴーヤチャンプルー以外にあまり見かけないと思うけれど、じつは豚肉をしょうゆ味で炒める場合の、王道といえるやり方なのだ。
しかし沖縄では、料理はどのように成立してきたのだろう。
機会があれば、ぜひ研究してみたいところだ。
ゴーヤチャンプルーを作る場合は、しょうゆは淡口を使うのがいい。せっかくの緑や黄色、白などが、濃口だと真っ黒になってしまう。
それから、具はすべて、あらかじめ別々に火を通す。
火の通りがそれぞれ違うから、全部一緒に炒めてしまうとグダグダになる。
まずゴーヤを下ゆでする。
塩一つまみを入れ、ほんとに20~30秒、軽くでいい。
卵も、サラダ油で炒めておく。
あまり細かく、炒り玉子みたいにしないで、大きめにまとめておくと、食べ応えがよい。
それからきのうはやらなくて、「失敗した」と思ったのだが、豆腐もあらかじめ、サラダ油で炒めておく。
切り方は四角でもいいし、手で食べやすい大きさにちぎると味がしみやすい。
豚コマ肉200グラムをサラダ油で炒める。
肉に火が通ったら、酒と淡口しょうゆ大さじ1ずつ,砂糖とおろしショウガ小さじ1ずつを加え、サッと混ぜる。
ゴーヤと卵、豆腐をもどし、全体を返しながら味をしみさせる。
最後に味を見て、塩ほんの一つまみくらいを加え、火を止める。
皿に盛り、削りぶしを振りかける。
言わずと知れた、黄金の味である。
あとは、とろろ昆布の吸物。
お椀にとろろ昆布、削りぶし、水に浸して絞った焼き麩、青ねぎ、淡口しょうゆを入れ、お湯をそそぐ。
ナスのじゃこポン。
塩もみし、水で洗って絞ったナスを、ちりめんじゃことおろしショウガ、味ポン酢で和える。
キュウリの梅かつお。
すりこ木で叩いてちぎり、塩もみして水洗いしたキュウリを、包丁で叩いた梅肉と削りぶし、それと同量程度のみりん、ほんの少しの淡口しょうゆで和える。
酒は焼酎水割り。
相も変わらず、飲み過ぎているのである。
「ゴーヤにもお世話になったよね。」
ほんとにな。
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