豚肉豆腐トマト入りは、たまらない味である。
コッテリしながらさわやかで、夏の終わりには打ってつけだ。
何だか急に、涼しくなり、秋の気配を感じるようになってきた。となると、「鍋」が食べたくなってくる。
卓上で煮ながらだとまだ暑いだろうが、煮たやつを持ってくるようにすれば、適度に冷め、この季節にも良さそうだ。
しかも冷蔵庫には、豚コマ肉が入っている。
鍋というと、「魚介」のイメージがある人も多いだろう。もちろん、魚介の鍋も、間違いなくうまいのだが、実は鍋は、肉を使うのも非常にうまい。
しゃぶしゃぶ然り、鶏水炊き然りで、これらは名前に「鍋」と付かないけれど、実態は鍋である。
昆布だしで煮て、ポン酢で食べればいいのだから、作るのも簡単だ。
豚肉も、鍋にするにはとてもいい。これも、昆布だしにポン酢で食べれば間違いなく、ほうれん草と合わせる常夜鍋
が、その代表だろう。
それからやはり、肉豆腐。
「肉豆腐は牛肉」という人も多いだろうが、豚肉と豆腐もまた、相性はとてもいい。
味付は、これも昆布だしにポン酢でまずは問題ないのだが、卓上で、冷ましながら食べるのなら、せっかくだから、味をしみさせるのがいいだろう。それで、汁にしょうゆで味を付けることにした。
あとはもう一品、何か入れたいところである。
長ねぎやシメジが定番だが、どちらも買い置きしていない・・・。
そうなると、思い付くのである。
「トマトだ・・・」
トマトも、豚肉との相性は完璧だ。豆腐とも、悪くないだろう。
トマトの酸味で豚肉のくどさが抑えられるし、赤い色で見た目もいい。
昆布だしに味を付け、最後に削りぶしを振れば、作るのも手軽だろう。
薬味は青ねぎと、おろしたショウガを少し乗せることにした。
豚コマ肉は、湯通ししてから使うと、鍋の汁が濁らない。
湯を沸かしたら火を止めて、豚肉をしゃぶしゃぶとして湯を捨てる。
ここで火を点けたままやってしまうと、豚肉が硬くなるから、注意が必要だ。
鍋に5センチ角くらいのだし昆布を敷き、豆腐を並べて水3カップを入れ、中火にかける。
ゆっくりと温め、水が小さく沸き始めたら、酒と淡口しょうゆを大さじ3ずつ、みりん小さじ3を入れ、10分くらい、弱火であまり煮立てないようにしながら豆腐を煮る。
豚肉を入れ、小さな火のまま2~3分煮る。
細いくし切りにし、種を除いたトマトを加え、ほんの30秒ほど煮たら、火を止める。
トマトはくれぐれも煮過ぎないようにし、半生くらいで、形を残すのがポイントだ。
削りぶしと青ねぎを振り、おろしショウガを乗せる。
うーん、これは、たまらない・・・。
コッテリとした豚肉に、トマトの酸味は思った通り最高で、またそこに、淡白な豆腐が控えめに味を吸って、いるのがいい。
味付は、ちょうど関西風のうどんだしくらいになっているから、これを啜りながら食べると、体もちょうどよく温まる。
あとは、ナスのツナマヨ。
ナスを塩で揉んで少し置き、食べてみて、アクがあるようなら絞り、ツナとマヨネーズ、塩少々で和え、粗挽きコショウを振る。
オクラみょうがのおかかポン酢。
板ずり(まな板の上で、塩を振ってズリズリする)してサッとゆで、大きめに刻んだオクラと、うすく切ったみょうがを、削りぶしと味ポン酢で和える。
酒は、焼酎水割り。
またいつもの通り、肴がうまいことを言い訳に、飲み過ぎるわけである。
「鍋はお酒が進むよね。」
そうなんだよな。
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