家で酒を飲むときにはツイッターを相手にするのだけれど、これが実に気分がいい。好きな女や、親しい友人と飲むことには敵わないが、飲み屋へひとりで行って飲むことには十分匹敵すると思う。
ひとりで酒を飲む人は、テレビを相手にすることも多いと思う。ぼくも昔はそうだったのだが、これは虚しい。
特に虚しさを感じるのが、テレビに笑ってしまったときで、そのおかしさを誰かと分かち合いたいのに、部屋には一人っきりでいるのに気付くとき、ひとり暮らしの孤独がひしひしと押し寄せる。
テレビは、誰かと一緒に見るにはいいが、ひとり暮らしには向かないと、もう7~8年前に捨ててしまった。
ツイッターがいいのは、自分も発言できることだ。誰かの発言を見て、何か思ったことがあれば、そのことをすぐに発言できるから、孤独になることがない。
しかもツイッターは、そのやり取りに、幅広い選択肢が用意されているのがいい。
今発言されたばかりのものに返信を返せば、チャットのようにテンポよく会話になることもあるし、ちょっと前の発言に返信をした場合には、その人は今はツイッターを見ていないかもしれないから、会話は1日周期くらいになることもある。
またリアルタイムの場合には、こちらの発言にたいして相手が直接返信してくるのでなく、ただのひとり言として発言することがあり、そうすると、1対1の窮屈さがなく、複数の仲間と話すときのような、気安い感じも味わえる。
さらにツイッターは、本名を出さないことはできるのだが、掲示板やブログのコメント欄などの完全な匿名とは異なり、一応は「アカウント」と呼ばれる、一つの人格を持つようになっている。
だからあまりおかしな発言をしてくる人は現れないし、もし現れても、フォローを外したり、ブロックしたり、アカウントに鍵をかけたり、ツイッター社に報告したりなどの手立てが用意されているから、不愉快な思いをすることは少ない。
このようにツイッターは、自分に合ったペースで、安全に、人とやり取りすることができる。
そのユルい感じが、飲み屋のやり取りと似ているところもあるような気もして、ぼくは気に入っているのである。
きのうはツイッターを見ながら、飯は何を作ろうかを考えていた。豚肉が買ってあり、万願寺とうがらしもあったから、それで何とかしようかと思ってはいたのだが、実際にどう料理するかはまだ決めていなかった。
そうしたら、そこへちょうど、豚肉と万願寺を炒め合わせた画像が、目に飛び込んできたのである。
やっと行きつけのスーパーでお目にかかれた万願寺唐辛子!! 豚肉とショウガ焼き風に炒めてみたらウマー!!甘長唐辛子は売ってるので何度か食べたけど、万願寺唐辛子は全然違くてびっくり #料理 #ごはん #おつまみ
これを見た瞬間に、ぼくのきのうのメニューは決まった。
この人は、味付は、ショウガ焼きにしたそうだ。豚肉と万願寺をショウガ焼きにするのは、それはうまいに違いない。
しかしぼくには、この料理の茶色い色が、「みそ」に見えた。
ピリ辛のみそ味で、豚肉と万願寺を炒めれば、それも間違いなくうまいだろう。
みそは、八丁みそを使おうかとも思ったのだが、普通の麦麹みそであっさり目にいくことにした。
砂糖も少なめにし、万願寺とうがらしのさわやかな苦味を活かすことにする。
万願寺とうがらしはタテ半分に割り、ヘタと種を取り除き、もし大きめなら、食べやすい大きさに切る。
フライパンにサラダ油少しを引いて強火にかけ、本当に30秒くらい、サッと炒める。
万願寺を炒めるには、歯応えが命となる。後でさらに火を通すから、ここでは青臭さが少し残るくらいでいい。
改めてフライパンを中火にかけ、ゴマ油少々と豆板醤小さじ1を入れてじっくり熱する。
豆板醤の香りが立ってきたら、豚コマ肉200グラムを入れ、火が通るまでじっくり炒める。
豚肉に火が通ったら、合わせ調味料を加えてさらに少し炒め、豚肉に味をつける。
合わせ調味料は、みそと酒、みりんがそれぞれ大さじ1ずつ、砂糖とおろしショウガは小さじ1ずつ。
強火にし、炒めておいた万願寺とうがらしを戻して、全体を混ぜながら味を絡める。
30秒ほど炒め、汁気がほぼなくなったところで火を止める。
これはもし万願寺とうがらしがなければ、ピーマンでもいいのだが、万願寺はピーマンより歯応えがあり、炒めものにするとうまい。
しかもこのピリ辛味が、万願寺もとうがらしだからだろう、完璧とも思える相性だったのである。
あとはナスの吸物。
旬のナスは、やはり食べ続けるだろう。
鍋に5センチ角くらいのだし昆布と水2カップを入れて中火にかけ、煮立ってきたら、酒と淡口しょうゆ大さじ2ずつ、みりん小さじ2で味付する。
これは吸物だしというより、やや甘めの、うどんだしのような味付だが、油あげや肉などコッテリしたものを具にするなら、このくらいの方がいい。
食べやすい大きさに切ったナスと油あげ、シメジを入れ、2~3分、サッと煮る。
旬のナスにはアクがほとんどなく、生に近くても食べられるから、煮過ぎないのがポイントだ。
万願寺とうがらしの葉のおひたし。
京都の八百屋には、万願寺が茎ごと売られていて、きのうはこれを使ったのだ。
サッと塩ゆでし、水に取ってよく絞り、シンプルに削りぶしと醤油で和えた。
とうがらしの苦味があり、これもまたうまい。
トマトとキュウリのツナサラダ。
キュウリは塩もみしなかったので、「サラダ」とした。
種を取り、食べやすい大きさに切ったトマトと、5ミリ幅くらいの輪切りにしたキュウリ、荒くみじん切りした玉ねぎを、ツナとマヨネーズ、塩コショウで和える。
酒は焼酎水割り。
きのうも記憶が曖昧になるくらいまでは飲んだのである。
「ツイッターで暴言吐くのはよくないよ。」
そうだよな。