このところ吸い物系が続いているのは、体調がまだ本調子ではないからだ。おとといなど、明け方まで眠れなかった。その前2日くらい、寝過ぎたせいなのだと思うけれど、だからといって体はまだ疲れているのに、何も眠れなくならなくても良さそうなものである。
まったく、年は取りたくないものだ。
そういうわけで、消化の悪い、脂っこいものは食べたくないので、自然、吸い物系ということになる。吸い物は、もちろんニンニクを入れた「ニンニク吸い」だ。
きのうは水菜が余っていたから、これを使った汁物の定番といえば、豚肉と水菜のはりはり汁。
「はりはり」とは水菜のシャキシャキとした感じを示すそうで、元々は鯨肉と合わせるものだったのが、クジラが獲れなくなったため、豚肉やブリなどで代用されるようになっている。コッテリとした肉とシャキシャキとした水菜の組み合わせを楽しむものだ。
作るのはまったく難しいことはなく、カツオだしを取って味をつけ、具を煮るだけ。
ポイントは具を煮る順番で、水菜はほとんど煮る必要がないから、入れるのは一番最後。それから肉も、煮すぎると硬くなるので、水菜の直前ということになる。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ (2カップのだしが取れる)
を入れて煮立ててザルを据え、ザルに
- カツオ節 10グラム (2.5グラム入りパック4袋分見当)
を入れる。
30秒くらい弱めの中火くらいで煮立て、火を止めて2~3分放置したら、だし殻を軽くしぼって取り出す。
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ2
- 薄口醤油 大さじ2
- ニンニク 1かけ (すり下ろすか押しつぶす)
で味をつけ、まず、
- 油あげ 2分の1枚 (細く刻む)
- 玉ねぎ 2分の1個 (タテに3ミリ幅くらいに刻む)
- シメジ 2分の1袋 (石づきを切ってバラす)
を2~3分、玉ねぎがしんなりとし始めるまでサッと煮る。
- 豚うす切り肉(きのうは肩ロース) 150グラム (食べやすい大きさに切る)
を入れ、豚肉に火が通ったら、
- 水菜 2分の1把 (=けっこうたっぷり。ざく切りにする)
を入れて、ひと煮立ちさせて火を止める。
器によそい、一味または韓国粗びき唐辛子をたっぷり目にかける。
王道のハリハリ汁が、ニンニクを加えることで、一気に広がりと深みが増して、ゴージャスな味になる。
それからきのうは、タケノコご飯。
やはりタケノコの季節には、これを食べないわけにはいかないのだ。
タケノコご飯は、米にタケノコと油あげを入れ、味をつけて炊くだけだから、難しいことは別にない。ポイントの一つは入れるタケノコの部位で、真ん中へんから上のやわらかいところだけを使うのがおすすめだ。(下の部分は硬いので煮物などにする)。
それからだしを、使うか使わないかということがある。使えばもちろん、コクは増すのだが、「タケノコご飯にだしはいらない」というのが、僕の考え。
炊き込みご飯は、ご飯自体にかなりの甘みとうまみがある。なので普通の煮物などと比べて「かなり淡い」と思えるような味つけでも、ちょうどよくなる場合が多い。
タケノコご飯には、油あげを一緒に入れる。この油揚げのちょっとしたコクで、うまみは十分ではないかと思う。
それからタケノコご飯の場合なら、それだけ食べるというわけではない。他のおかずや汁物、漬物なども献立としてあるはずだ。
なのでタケノコご飯だけで完全な味にする必要はないのである。ご飯はやや足りなめの味の方が、献立全体のバランスとしてはいいのではないかと思う。
タケノコは、お店で水煮をしたものを買うのがおすすめ。時間がたった生タケノコは、アク抜きからしなければならず、大変な手間がかかる。
鍋に、
- 米 1カップ (研いで15分以上ザルに上げておく)
- タケノコ 真ん中から上のあたり都合4分の1本分くらい (2~3ミリ厚さに切る)
- 油あげ 2分の1枚 (給湯器のお湯をサッとかけて軽く油抜きをし、タテ4分の1に切ってから、5ミリ幅くらいに切る)
- 水 1カップ
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 薄口醤油 大さじ1
- 塩 小さじ2分の1
を入れて、普通に炊く。
木の芽があればいいけれど、なければ粉山椒をちょっとかけて食べるといい。
春の味ですよね、やはり。
しかしこのハリハリ汁とタケノコご飯が、ダブルで酒に合ってしまうわけである。
これは、どう考えても飲み過ぎてしまうのだ。
これで飲み過ぎないとしたら、その人は本当は、酒が好きではないのではないかと思う。
「そんなことないよ。」
そうだよな。