「マーボー」は、「豆腐」や「茄子」に接続される場合には、「ピリ辛の味つけをしてひき肉を使う」というところまでが意味として含まれることになる。でもこれを「ひき肉を使う」というところを切り離し、純粋に「ピリ辛の味つけ」としてだけ考えても悪くはない。
実際マーボーの味つけは、肉がひき肉であることは前提としていない。「しょうゆ味」「みそ味」「カレー味」などと同様、独立して「マーボー味」を考えることもできるわけで、そうなると、たとえばカレーの具で味つけはマーボーとか、豚汁の具で味つけはマーボーとか、そういうものも考えることができるようになり、料理のバラエティは一気に広がる。
というわけで、きのうは「マーボー豚肉豆腐」。
これは具は豚肉豆腐で、味つけはマーボーという企画なわけで、わりと簡単に作れてじつにウマイから、試してみた方がいいのではないかと思う。
肉豆腐は関西なら、当然牛肉を使うわけだが、関東だと豚肉もポピュラーだ。それにマーボー味には牛肉より、豚肉の方が合うのではないかという気もする。
肉豆腐として、豚肉と豆腐に最小限くわえる必要があるものは、ネギか玉ねぎ。あとは好みとなるわけで、きのうは冷蔵庫に余っていたチンゲン菜を青みとして、タケノコを歯応えとして入れることにした。
作り方は、ここ数日作っているマーボーと、基本的には全くおなじ。ニンニクと豆板醤で肉を炒め、みりんやしょうゆ、それにカツオ節で味をつけ、水を入れてコトコト煮るという話。
コツは、火をあまり強くしないこと。弱めの火でやった方が、豚肉も豆腐も硬くなりにくいのだ。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ2
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
を入れて弱火にかけ、2~3分じっくり炒めて味をひき出す。
つづいて、
- 豚こま切れ肉 150グラム
を広げて入れ、
- 塩 小さじ4分の1
- コショウ 1~2振り
をして、色が変わるまでじっくり炒める。
- 酒 大さじ1.5
- みりん 大さじ1.5
- しょうゆ 大さじ1.5
- カツオ節 2.5g入りパック1袋
を入れ、さらに1~2分炒めて味をなじませる。
- チンゲン菜 2分の1株 (葉と茎のさかい目あたりで切り離し、葉はさらにタテ半分に、茎は1センチ幅くらいのくし切りにする)
- タケノコ 4分の1本 (5ミリ幅くらいのくし切りにする)
を入れて、1~2分炒めて味を絡める。
- 水 1.5カップ
- 豆腐 1丁 (2センチ大くらいに切る)
加えて煮立て、5分くらい、フタをして弱火でコトコト煮る。
味をみて塩加減をし、
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を、スプーンで少しずつ入れては混ぜしてトロミをつけ、
- ゴマ油 小さじ1
を垂らして火を止める。
器によそい、たっぷりの粗挽きコショウをかけて食べる。
これは、ウマイ……。
マーボー味は、豚肉と豆腐に言うまでもなく最高に合うわけだ。
味がしみてふんわりとした豆腐は、たまらない。
それでこれが、また言うまでもなく酒に最高に合ってしまう。
酒飲みが料理を作れば、酒に合うものができるのは必然であるわけで、これを無理に飲み過ぎないようにするというのが、そもそも馬鹿げたことなのかもしれない……。
「馬鹿げてないよ。」
そうだよな。