「おとといマーボー肉豆腐を作ったから、きのうはマーボー肉じゃが」というのは、自然な流れだ。
このところ連日マーボーが続いているから、読者の中には「さすがに飽きるのでは?」と考える人もいることと思うけれど、べつにしょうゆ味のものを毎日食べたからといって飽きることはないように、入れる具材が変われば、味つけはおなじでも味わいは変わるから、心配は不要である。
さてこのマーボー肉じゃが、死ぬかと思うほどウマかった。
僕が毎回のようにこう言っているから、読者の中には「この人は何度死ねば気が済むのか?」と思っている人もいると思うが、今回は本当だ。
まずジャガイモにピリ辛味が合うのは、韓国料理の「カムジャタン」などで証明済みだ。というかジャガイモは、和風のうす味によく合う里芋と比べ、むしろ油を使ったコッテリとした味に合うのである。
さらにきのうは、肉をひき肉にしたのだが、このそぼろあんかけの肉じゃががウマイのも、すでに証明済みといえると思う。ジャガイモに味がしみ、さらにそぼろあんがまとわりつくのが「たまらない」という企画だ。
してみるとこの「ピリ辛そぼろあんかけ」であるマーボー肉じゃが、「うまくないはずがない」といえることになる。
実際これは、僕の数ある自炊作品の中でも「名作」といえる部類に十分入る出来だから、作るのも何も難しいことはないし、試してみた方がいいのではないかと思う。
ジャガイモの他に入れる具は、すでに唐辛子で赤い色があるので、肉じゃがの常連であるニンジンは省略。だいたい僕は、ニンジンがあまり好きではないのだ。
またやはり肉じゃがの常連である糸こんにゃくも、トロミをつければ味を吸う役割は必要ないのでやはり省略。
玉ねぎは入れるとして、その他に入れたのは歯応えのタケノコと青みのピーマン。ピーマンと玉ねぎは初めにサッと炒めたのを最後に入れるようにしてシャキシャキさせ、やや酢豚っぽい、中華的な感じで仕上げることにした。
味つけは、ここ連日作っているものと全くおなじ。豆板醤とニンニクがベースで、そこに酒・みりん・しょうゆ・カツオ節の和風仕立て。
マーボーにカツオ節を入れるのは「どうか」と思う人もいると思うが、ゴーヤチャンプルーにカツオ節をかけることから分かる通り、炒め物のコク出しとしてカツオ節は王道なのだ。
作るのは、基本的に弱めの火でゆっくりとやるのがコツ。ピーマンと玉ねぎを炒める時以外は火が強い必要はないのだから、必要ならば途中で何度でも火を止めて、野菜を切ったり調理器具を洗ったりするのを並行させるのがおすすめである。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
を入れて中火にかけ、
- 玉ねぎ 2分の1個 (2センチ大くらいに切る)
を入れて、30秒~1分くらい炒める。
玉ねぎがバラけ始めたところで、
- ピーマン 2個 (2センチ大くらいに切る)
を加え、さらに30秒~1分炒め、「まだ硬いかな」というあたりで火から上げ、皿に取り出しておく。
あらためて、フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- 豚ひき肉 100~150グラム
を入れ、スプーンで押しつぶしながら中火で5分くらい、ひき肉の水気がすっかり飛んで、さらに焼色がついてくるくらいまで、じっくり炒める。
つづいて、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
を入れ、弱火で2~3分、じっくり炒めて味をひき出す。
- 酒 大さじ1.5
- みりん 大さじ1.5
- しょうゆ 大さじ1.5
- カツオ節 2.5g入りミニパック1袋
- コショウ 1~2振り
を入れ、1~2分炒めて味をなじませる。
- ジャガイモ 3個くらい (2~3センチ大に切る)
- タケノコ 4分の1本 (5ミリ幅くらいのくし切り)
を入れ、さらに1~2分炒め、味を絡ませる。
- 水 1.5カップ
を入れて煮立て、フタをして弱火で10分くらい、竹串を刺してみて、ジャガイモが好みの硬さになるまで煮る。
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を混ぜながら加えてトロミをつけ、
- ゴマ油 小さじ1
- 皿に取り出しておいたピーマンと玉ねぎ
を加え、全体にトロミが絡まったら火を止める。
※ もし、たとえば米が炊ける前にできてしまうなど時間が余った場合には、トロミをつける前の時点で、火を止めて少し置いておくようにすると、ジャガイモに味がしみる。
※ トロミは弱火でつけ、さらに水溶き片栗粉を入れたあと1分くらい煮込むようにすると、トロミが取れにくくなる。
皿に盛り、粗挽きコショウをたっぷりかける。
これは、たまらん……。
ジャガイモにピリ辛の味がしみ、さらにひき肉入りのトロミがまとわりついたのは、100回「ウマイ」と言っても足りないほど。
さらに味がしみたタケノコが、また死ねるのだ。
もちろんこれは、死ぬかと思うほど酒に合う。
連日こう酒に合うものばかりでは、僕も身が持たないというものだ。
「無理して飲まなくていいんだよ。」
そうだよな。