きのう「おっさんらしく枯れたものを食べる」と書いた、その舌の根も乾かぬうちに、豚肉にニラたっぷりのキムチ鍋である。「正しいおっさんへの道」は、まだまだ遠いと実感するきょうこのごろ。
キムチには、おっさんを狂わせる魔力があるのではないだろうか。一度「食べたい」と思ってしまうと、我慢することは、もうできない。
キムチ鍋には、やはり豚肉がいちばん合う。ゴロゴロの角切り肉をコトコト煮るのも、うす切り肉をサッと煮るのも、どちらもいいものなのだが、鍋は肉を団子にすると、またウマイ。
鍋は、具をたくさん入れる場合は、10分くらい煮たいところだ。ある程度煮ることで、具材のうまみが煮汁にしみ出す。
この「10分」は、魚なら、火が通るのにちょうどいい。ところが肉の場合には、10分は中途半端な時間なのだ。
肉は、火が通るとまず硬くなる。なのでしゃぶしゃぶやすき焼きは、肉をほんとにサッと煮て、硬くなる前にとり出し、食べてしまう。
一旦硬くなった肉がふたたびやわらかくなるためには、豚肉ならば1~2時間、牛肉だったら4~5時間、煮ないといけない。
肉を「10分煮る」というのは、硬くなった肉が、まだ硬いままの、一番おいしくない状態にすることなのだ。
そこで、肉団子の出番となる。
肉団子はミンチにした肉に香味野菜やらつなぎやら、調味料やらを混ぜ込んでつくる。なので10分くらい煮ても、硬くならない。
煮汁にほどよくうまみが出ながら、食べごたえはふんわりとしているわけで、鍋には打ってつけなのだ。
肉団子をつくるには、たしかに手間がちょっとはかかる。
でもそれで、グンとおいしくなるのなら、手間をかけるだけの価値はあるというものだ。
器に、
- 豚ひき肉 200グラム
- 玉ねぎみじん切り 4分の1個
- ショウガみじん切り 1~2センチ大
- 塩 小さじ2分の1
- 酒 小さじ2分の1
- 淡口醤油 小さじ2分の1
- 溶き卵 2分の1個分
- 片栗粉 大さじ1
を入れ、粘り気が出るまでよくこねる。
鍋に、ゴマ油・大さじ2ほどを引いて、キムチ・100グラム(300グラム入りパック3分の1)くらいを敷きつめ、その上に肉団子のタネをスプーンで食べやすい大きさにまとめたものを乗せ、弱いめの中火にかける。
肉団子は途中で1回ひっくり返し、5分くらい、じっくり焼いて、味をなじませる。
ちなみに肉団子は、キムチの上に乗せれば鍋にくっつかない。
- 水 3+2分の1カップ
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 淡口醤油 大さじ1
- コチュジャン 大さじ1
- キムチの汁 大さじ1(あれば)
- 塩 少々
で味をつけ、5分ほど肉団子だけを煮てから、豆腐、玉ねぎを入れ、さらに5分くらい煮る。
最後にしめじ、もやし、ニラを入れ、サッと煮て火を止める。
鍋をテーブルに出し、韓国式に、鍋からスプーンで直接食べる。
豚肉のうまみがしっかり出たキムチ鍋は、ほんとに黄金。
キムチ鍋には、もちろんご飯。
酒は、冷や酒。
キムチ鍋には、甘いめの日本酒・冷や酒が合う。
おかげできのうも飲み過ぎてしまうわけだが、ウマイのだから、やはり我慢はできないのだ。
「だらしない生活だね。」
ほんとだな。