きのうは、鯛あらのちり鍋。「日本の鍋」なら、まずはこれだ。
きのうは久しぶりに魚が食べたくなった。このところしばらく体調が低下していて、そうすると肉ばかりを食べたくなる。
やはり肉は、栄養があるということだ。体が体力を回復するため、肉を欲しているのをしみじみ感じた。
しかしおっさんが、肉だのニラだのをあまりガツガツ食べるのは、見栄えがいいものではない。おっさんはおっさんらしく、枯れていくべきだろう。
ようやく魚が食べたくなってきたから、体調も平常運行にもどりつつあるようだ。
これからは、正しいおっさんライフを心がけたいと思っている。
その魚、きのうは鯛あらがあったから、それを使うことにした。鯛あらは、きのうのは半身の頭とカマ、腹身、骨が入って、一人なら2食分になるだけの量が、298円。
切り身なら、2食分で500~600円にはなるから、鯛あらはお助け食材の最たるものだ。
味は、煮たり焼いたりする分には、切り身よりもあらのほうが断然いい。乗っている脂の量がまずちがう。
それから骨の近くだから、だしも実にいいのが出る。
それなのになぜ安いのかといえば、あらは多少の下処理が必要になるのと、食べるのもイチイチ骨を出さないといけないから、「めんどう」と思う人が多いからではないかと思う。
まあしかし、そうやってめんどうと思う人がいるからこそ、こちらは鯛あらを安く手に入れられるわけで、ぜひどんどんめんどうだと思い、敬遠してもらいたいところである。
さてその鯛あら、そろそろ寒くなってきたから、鍋物にしたいところだ。
となれば、ちり鍋。
鯛あらのだしで野菜を煮て、ぽん酢にもみじおろしで食べる。
これは王道中の王道で、「日本の鍋」なら、「まずはこれ」といえるものだ。
鯛あらは、塩焼きをしてから入れる。鯛あらの下処理としてこれがいちばん簡単で、しかも香ばしい風味がでてうまい。
それから野菜は、鯛あらの風味をあまり邪魔しないものを入れるのが大きなポイント。しめじや白ねぎ(長ねぎ)が「ギリギリOK」という線で、しいたけや玉ねぎ、青ねぎなどは、やめた方がいいと思う。
具材を次々追加して、煮えたそばから食べるのなら、鍋には味はつけなくていい。でもきのうのように、一度で全部作ってしまう場合には、鍋にもうすく味をつけておいたほうが、味がしみてうまくなる。
もみじおろしは、正式には、大根に箸で穴を開けたところに、水でふやかした鷹の爪を差し込んで、一緒におろす。
でもめんどうなら、一味で代用しても、問題はまったくない。
まず鍋に水を張り、10センチくらいのだし昆布を入れておく。
昆布をふやかしている間に、鯛あらをサッと水で洗って水気をふき取り、塩をまんべんなく振って焼く。
火加減は強めにし、これから煮るので中まできちんと火が通らなくてもいいわけで、5分くらいか、皮に軽く焦げめがつくくらいで火から上げる。
鍋に焼いた鯛あら、それからきのうは、白菜、白ねぎ、ささがきにして5分ほど水にさらしたゴボウ、豆腐、えのきにしめじを入れ、中火にかける。
5分ほど煮たら、酒と淡口醤油・少々、きのうは5カップの水にたいし、それぞれ大さじ1ずつを入れ、さらに5分くらい煮る。
最後にざく切りの三つ葉を入れ、火を止める。
テーブルに、鍋ごと出す。
タレは、味ぽん酢に大根おろし、一味。
気絶するくらいウマイ。
鯛あらを食べる場合は、箸で取れるところは取って、あとは骨ごと口に入れ、骨だけ出す。
鯛あらには「鯛の鯛」と呼ばれる骨があるから、探してみるのは一興だ。
酒は、冷や酒。
シメは、うどん。
これがまた、たまらない。
鯛には、日本酒が、またよく合う。
おかげで酒が進みまくってしまうのだが、おっさんがヘベレケになるのは、正しいのだ。
「正しくないよ。」
そうだよな。
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