きのうは鯛の塩焼き。
自炊できないのは、アタマが悪いからである。
奥さんがいるのに料理していない男はダメ男に決まっていて、そのうち浮気されるか、離婚されるかするから放っておけばいいのである。
問題は一人暮らしで自炊していない男で、これまでは、「自炊しないのはアタマが悪い」と思っていた。しかしそれは、間違いだったと気がついた。
アタマが悪くて、自炊が「できない」のだ。
一人暮らしが自炊するのは、「節約」が大きな動機になると思う。だからカネに少し余裕があれば、しなければしないで済んでしまう。
家族がいなければ、それで非難されることもなく、したからといって誰の役にも立たないし、得にもならない。
だからアタマが悪くて、損得勘定でしかモノが考えられない奴は、自炊することができないのである。
しかし自炊できないアホな男は、プライドだけは高いから、「自分はただしていないだけで、やればできる」と言うだろう。
いや、絶対できない。
だったら試しに、やってみたらいのである。挫折することは請け合いだ。
さてきのうは、小鯛の尾頭付きを買ったのだ。
鯛はそろそろ産卵期に入るから、桜鯛の最盛期は終わりである。
値段は450円。あらや切り身も350円くらいはするわけで、だったら有終の美を飾るには、当然こちらを選ぶだろう。
この尾頭付きをどうやって食べようか、考えた。しかし考えるまでもなく、結論は決まっている。
塩焼きだ。
鯛には煮付や酒蒸し、炊き込みご飯や汁物など、さまざまな食べ方がある。どれも最高にうまいのは間違いなく、煮付ならどの魚の煮付より、炊き込みご飯ならどの炊き込みご飯より、鯛を使ったのが一番うまい。
しかしそれらの食べ方の中で、一つを選べと言われたら、やはり塩焼きなのである。
鯛の塩焼きはほんとうに特別で、塩だけ振れば、ほかの調味料は何もいらない。完璧な味になるのであって、ほかに何かを加えれば、その分、味を落とすことになる。
だから、鯛そのもののうまみを味わいたいと思ったら、塩焼きが一番なのだ。
塩焼きは作るのも簡単だし、鯛は本当にエライ魚だ。
尾頭付きの鯛は、わたとエラ、うろこを取る必要がある。これは魚屋か、スーパーなら鮮魚コーナーでやってもらうのがおすすめだ。
あとは大さじ1くらいの塩を、指の隙間から落としながら、表と裏にまんべんなく振って、グリルなり焼き網なりで焼く。
焼き時間は、片面にたいして10分くらいだと思う。まるごとの魚の場合、骨に火が通りにくいから、やや長めに焼くのがいい。
魚を焼く場合のコツは、まずはグリルや焼き網を、焼く前にきちんと熱しておくこと。魚を乗せたとき「ジュッ」というのでないと、必ずくっつく。
それから魚、特に鯛は、グリルから皿へ移すときが鬼門なのだ。気を付けないとくずれてしまい、すべてが台無しになることがある。
箸だけでなく、フライ返しも使って慎重にやる必要がある。
鯛の塩焼きは、本当に黄金の味。
縄文時代から食べ継がれてきた、日本の味だ。
この鯛の塩焼き、骨と、身を少し残しておく。これを使って、今日さらに料理を作るのだ。
あとは、水菜の吸物。
削り節のだし2カップに、
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 淡口醤油 大さじ1
- 塩 少々
で味を付け、まず油あげ、それからシメジ、ざく切りの水菜をサッと煮る。
豆ごはん。
普通に水加減した米・1カップに、サヤから出したえんどう豆を加えて30分くらいひたし、酒・小さじ1、塩・小さじ2分の1を加えて普通に炊く。
レタスの塩もみ。
大きめにちぎったたっぷりのレタスを一つまみの塩で揉み、しんなりしたらよく絞り、ちりめんじゃことたっぷりのレモン汁(ポッカレモン100)で和える。
それに、冷やしトマト。
京都のトマトは、味が濃くてうまいのだ。
酒は、冷や酒。
咳は、相変わらず止まらない。酒もタバコも控えないから、当然の話である。
腹筋が筋肉痛になっているから、そのうち割れてくるのではないかと期待している。
「控えないじゃなく控えられないんでしょ。」
そうなんだよな。
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