万願寺とうがらしは京都の名産。元はもっと細長い伏見甘長とうがらしに、ピーマンをかけ合わせてつくったそうだ。
とうがらしより肉厚で、しかもピーマンより繊維がしっかりしているのが特徴で、ちりめんじゃこと合わせてうす味で煮込んだ「万願寺の炊いたん」は、定番中の定番料理だ。
この万願寺の炊いたんを、きのうはマーボー味でつくってみた。
こっれがまた、涙が100リットルは出るほど死ねる。万願寺は、甘いとはいえ唐辛子だから、赤唐辛子のピリ辛味はこの上なくよく合うのだ。
ポイントは、やはりまず「うす味」にすることだ。万願寺はあわい苦味が持ち味だから、これを消してしまわないようにするのが大切。
なので味つけは、薄口しょうゆをつかうのがおすすめだ。一般にマーボーは濃いみそ味が普通だが、うす味でつくっても大変おいしい。
次に、万願寺をよく煮込むこと。万願寺の炊いたんは、万願寺をくったりとするまで煮込むのがミソであり、くったりとしながらも、ドロドロにはならずに歯ごたえを保っている、というのがウマイのだ。
煮時間の目安は、15分。ただしそれ以上煮込んでしまうと、やわらかくなりすぎるから注意が必要。
入れる具材は、万願寺だけだとちょっと寂しいから、厚揚げも入れる。
あと、マーボー全般のコツとして、ひき肉をよく焼くようにすることが必要だ。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
- 豚ひき肉 100グラムくらい
を入れて弱火にかけ、ひき肉をスプーンなどでつぶしてほぐしながら5分ほどじっくり炒め、肉の水気を完全に飛ばす。
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口しょうゆ 大さじ2
- オイスターソース 小さじ2
- コショウ 少々
を加え、1~2分、強めの弱火くらいで煮て味をなじませ、
- 万願寺とうがらし 7~8本 (ヘタを落とし、4センチ長さ程度に切る。タネは入れたままでいい)
- 厚揚げ 1袋 (1~2センチ厚さの食べやすい大きさに切る)
を2~3分炒めて味をからませる。
水・2カップを入れ、フタをして中火にし、煮立ったら弱火にして15分くらい、万願寺とうがらしがちょうどよいやわらかさになるまで煮る。
みじん切りにしたネギ・1つかみを加えてひと混ぜする。
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を、混ぜながら少しずつ加えてトロミをつける。
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
を加え、ひと混ぜして皿に盛り、粗挽きコショウをたっぷりかける。
これは、マジでたまらないのだ……。
味を吸った厚揚げが、また死ねる。
そしてこのマーボー万願寺の炊いたんは、言うまでもなく酒に合う。
これほど酒に合ってしまうと、いっそのこと徹底的に飲みすぎて、酒に飽きでもしないかぎり、飲みすぎないのは無理だと思う。
「ワケわからないし。」
そうだよな。