日曜日の疲れを、2日越しで残していたのだ。まったく年をとると、これだからやってられない。
若いうちなら、疲れは一晩寝れば取れる。それが、「おれはそうではなくなった」と実感したのは、35歳を過ぎたころ。
ある朝、急に筋肉痛になっていた。ところが前日、何か運動をしたわけでもない。どうして筋肉痛になったのか、すぐには分からなかった。
ところがよく考えると、その5日前に、激しい運動をしていたのだ。筋肉痛が、5日後に来たわけだ。
筋肉痛は、ふつう翌日来るものだ。少なくともそれより以前は、そういうものだと思っていた。
それが5日たって来るようになったわけで、「年を取るとはこういうことか」と、そのとき実感したものだ。
ところが50歳を過ぎてくると、老化が、まさに「日進月歩」だと思うようになってきた。
日曜日には、ヘイトスピーチへのカウンターに参加した。1年前にカウンターをはじめたころは、翌日はグッタリ疲れて、何もやる気がしなくなっても、その次の日は、べつに普通に生活できていた。
ところがこの1年で、老化が進んだということだろう。さらにその翌日であるきのうも、まだ疲れが残っていた。
しかもきのうは、最強のスタミナ食である「豚肉とニラ」を食べていたのに、だ。
まったく年は、取りたくないものだ。この調子だとおれは60になる頃には、ヨボヨボのおじいさんになっているに違いない。
まあそういうわけで、おとといに続いてきのうも、スタミナ食を摂取することにした。
となれば、「かき」だ。
かきは「海のミルク」とも呼ばれるそうで栄養豊富、スタミナ的には最強なのだ。実際かきを食べると、翌日はポカポカと体があたたかい。
そのかきを、やはりスタミナ的には申し分ないキムチ、それにニラと炒める。
ここまでやれば、おれの老体もなんとか元気になるはずだ。
かきをニラと炒めるのは、中華料理では定番だ。中華の場合、味つけはオイスターソースとなる。
これをキムチで炒めれば、うまいはずだと前々から思っていた。
かきは、酢がきにもみじおろしを添えることからもわかる通り、唐辛子の辛みが合う。こないだコチュジャンを砂糖と酢でのばしたチョジャンで和えたら、それもバッチリうまかった。
それからキムチは、かきとおなじ魚介であるイカと炒めるのは「オジンゴポックム」で、韓国料理の定番中の定番。さらにおなじ貝類であるあさりも、キムチチゲにあさりを入れるのが定番であることからもわかるように、キムチとは相性がいい。
ここまでくれば、どう考えても、かきのキムチ炒めはうまいはずだ。
あとはやってみるだけなのだ。
かきを炒めるには、とにもかくにも炒め過ぎないことが大切。かきは火を通し過ぎると、みじめなくらい、ちんまりと縮まってしまうからだ。
加熱する時間は1分。
なのでそこでうまく炒め上げられるよう、時間配分をしておくのが、かきを炒める場合のコツとなる。
かき・100グラムは、生食用なら水で洗うだけでいい。加熱用なら、片栗粉をふってちょっと揉み、それから水を4~5回替えながら洗う。
洗ったかきは水気をふき取り、片栗粉・大さじ1くらいをまぶしておく。
フライパンに、
- ゴマ油 大さじ1~2
- キムチ 100グラムほど(かきと同量くらい)
- キムチの汁 大さじ1(あれば)
を入れて、フタをして弱火にかけ、ときどき混ぜながら5分ほど、蒸し焼きにする。
フタを取って中火にし、かきを入れる。
30秒ほど炒めたら、ざく切りのニラ・2分の1把を入れ、さらに30秒炒めて、火を止める。
キムチの量が十分なら、味つけはほかには必要ない。
もしキムチが少ないようなら、酒とみりん、淡口醤油、おろしたショウガ・各小さじ1くらいを加えてもいいと思う。
これは思った通り、文句なくうまかった。
作るのは手軽だし、かきの食べ方として、とてもとてもオススメだ。
あとは、粕汁。
そろそろ粕汁の季節になってきた。粕汁も、酒粕の作用により、強力に体をあたためてくれるのだ。
粕汁の作り方は、簡単に言ってしまえば、
「まず吸物またはみそ汁を作り、そこに酒粕を入れる」
となる。
鍋に水を張り、
- 頭とわたを取った煮干し
- 短冊に切った大根
- 短冊に切ったにんじん
を入れ、10分ほど、大根がやわらかくなるまで煮る。
酒粕は、その間にだし汁で溶きのばしておく。酒粕の量は、好みで多くても少なくてもいい。
大根がやわらかくなったら、味を見ながらみそを溶き入れ、溶かしておいた酒粕をくわえて、
- 短冊に切った油あげ
- 豚うす切り肉
- 斜め切りにしたちくわ(好みで)
を入れ、豚肉の色が変わるまで煮る。
酒は、花春。
かきを食べ、きょうはかなり疲れも抜けて、元気になった。
しかし50を過ぎると、こうしていちいち、体に気を使わないといけなくなるのだ。
まったく手間がかかる話である。
「タバコと酒をやめれば手間は省けるよ。」
そうだよな。