最近、豚肉のみそ汁にハマってしまって、ここ数週間は、晩飯といえばそれを作りつづけている始末。
豚肉のみそ汁といえば「豚汁」と特別な名前がつくくらい定番中の定番料理でウマイことはいうまでもない上に、野菜は根菜に限らずさまざまなものを使うことができて、バリエーションもつけられる。
さらに、作るのが手軽。手軽な料理といえばみそ汁とならんで代表格といえる炒めものと比べても、火加減や時間の管理がみそ汁はユルイから失敗なくでき上がってしまうといえば、毎日作りつづけてしまうのも仕方がないことなのだ。
その1 豚肉とピーマン・トマトのみそ汁
まずこのところ作りつづけた豚肉と野菜のみそ汁のなかで、「もっともウマイ」と思ったのが、この豚肉とピーマン・トマトのみそ汁。
トマトをみそ汁に入れるのは、もうこの頃では「定番」ともいえるようになっていると思うのですが、ピーマンをみそ汁に入れるというのはあまり聞いたことがないのではないかと思います。
でも、これがウマイ……。
まず豚肉とピーマンは、チンジャオロースーでもおなじみの黄金のコンビなのであり、その相性のよさは、みそ汁に入れてもそのまま活かされます。
またピーマンとトマトも、ピーマンと近縁のパプリカはトマトソースで煮込んだりするわけで、これもやはり相性抜群。さらにトマトと豚肉も、ベーコン・レタス・トマトサンド(BLTサンド)があることからもわかる通り、相性のよさは折り紙つき。
となればこれは、うまいに決まっているわけで、これまでピーマンを豚肉のみそ汁に入れなかったのは「一生の不覚」だとすらいえるのではないかと思います。
さらにここに、にんにくを加えると、257倍はうまいです。
にんにくを加える場合は、一味唐辛子を多めにふると、味のバランスが整います。
作る際のポイントは?
1 だしにあらかじめうす味をつけてから肉を煮る
これは豚汁をつくる場合の「最大のコツ」といえるもの。肉は火が通ると固くなるので、味のついた煮汁に入れるようにしないと味がしみないです。
ところがみそは、入れてから煮立ててしまうと風味が飛ぶので、みそ汁を作る際にはみそは最後に入れることが必要。
なので豚肉を入れるまえに、(色を黒くしないためうすくち)しょうゆであらかじめ味をつけておきます。
2 野菜はくれぐれも煮すぎない
一般に葉野菜を煮物・汁物にいれる場合は、煮すぎてクタクタにしてしまわないことが、なにより肝心。
特にこのピーマンやトマトは、サラダとして生でも食べるものなので、「温めるだけ」と思うくらい、煮汁に入れて、再沸騰してきたら火を止めるようにします。
豚肉とピーマン・トマトのみそ汁 レシピ
STEP1 だしを取る
- 水 500cc(100ccは煮詰まる分で、400ccのだしが取れる)
- 煮干し 1~2つまみ(頭とワタをとり除く)
- にんにく 1~3粒(好みで。下の硬いところを取り、かるく押しつぶして薄皮をむく)
を鍋に入れて中火にかける。
煮立ってきたら、かるく沸き立つくらいの弱火にし、アクをていねいに取りながら10分煮出す。
STEP2 うす味をつけて豚肉を煮る
取れただしに(煮干しはそのまま入れておくのも可)、
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- うすくちしょうゆ 大さじ1
で味をつけ、
- 豚肉 100グラムとか
を10分ほど、弱火であまり煮立たせないようにしながら煮る(煮立たせないようにするのは、豚肉を固くしないため)。
豚肉はコマ肉などのうす切り肉でもなにも問題ありませんが、焼肉用など、すこし厚みがあるのを使うとよりウマイです。
STEP3 ピーマン・トマトをサッと煮てみそを溶き入れる
中火にし、
- ピーマン 2個(1センチ幅くらいの食べやすい大きさに切る)
- トマト 中1個(8等分のくし切り)
- しめじ 2分の1袋(石づきを取ってばらす)
を入れ、すぐに、
- みそ 大さじ1+2分の1程度(味をみながら)
を溶き入れる。
再沸騰してきたら火を止めてお椀によそい、一味唐辛子をわりとたっぷりかけて食べる。
まったくおなじ作り方をする他のみそ汁
スパムとピーマン・トマトのみそ汁
豚肉のかわりにスパムを使ったもの。ウインナーやハムなどでもおいしいと思います。
豚肉とセロリ・トマトのみそ汁
セロリはうすい斜め切り。セロリは、ピーマンとはまたちがう感じのクセがあり、たまりません。
豚肉と豆苗のみそ汁
豆腐を入れてあります。
豆腐は豚肉と一緒にいれて、しばらく煮込んで味をしみさせます。
その2 豚肉とブロッコリーのみそ汁
ブロッコリーも洋風野菜で、一般的にはみそ汁には入れないと思います。でもブロッコリーはシチューなどの定番で、こってりとした汁によく合うわけなので、みそ汁に入れても当然うまいです。
ブロッコリーはピーマン同様、うす味のだしでサッと煮てもいいのですが、ピーマンよりは煮時間が必要なので、どうしても煮ているあいだに茶色になります。
緑色を鮮やかにしたい場合は、あらかじめ下ゆでしたものを、お椀によそう寸前に入れるようにするのがおすすめです。
豚肉とブロッコリーのみそ汁 レシピ
STEP1 ブロッコリーを下ゆでする
ブロッコリーはふさの部分と太い茎の部分に分け、茎は厚く皮をむいて5ミリ太さくらいの拍子木に切る。
たっぷりの水を、塩大さじ2分の1程度の塩を入れてグラグラ沸かし、まず茎を入れて30秒ぐらいゆでたら、次にふさを入れてさらに30秒くらいゆで、ザルに上げる。
STEP2 みそ汁を作ってブロッコリーを入れる
豚肉とピーマンのみそ汁を作るのとまったく同様にだしを取り、うす味をつけて、豚肉と、豆腐を入れる場合は豆腐を煮る。
みそを溶き入れ、ブロッコリーを入れてサッとあたため、お椀によそう。
おなじ作り方をするほかのみそ汁
豚肉とほうれん草のみそ汁
ほうれん草は、特に夏場のハウスで作ったものはあくがきつく、だしで直接煮てしまうと食べられなくなります。なのでほうれん草はかならず、下ゆでしてから使うことが必要です。
ほうれん草を下ゆでする場合の注意点は、まずフライパンを使うなどしてたっぷりの水でゆでること(あくを抜くために塩は入れない)。それから束を全部いっしょにゆでてしまわず、1茎ずつゆでること。
ほうれん草は、70℃の温度になると、エグみが出ます。なのでゆでる際に沸騰が止まり、温度が下がるのを避けることが絶対必要。
それから、ゆで過ぎないこと。
ゆで時間は、まず茎の部分だけ入れて10~20秒、次に葉の部分も入れ、さらに10~20秒くらいです。
最後に、ゆでたほうれん草は、すぐに流水にひたして冷ますこと。温度をゆっくり下げてしまうと、70℃の付近に停留する時間が長くなり、そのぶんエグみが出るからです。
また水にひたすのは、ほうれん草のあくを取る効果もあります。
流水でなくてかまわないので、時間があれば30分くらいでもひたしておくと、上品な味になります。
ゆでて水にさらしたほうれん草は、全部の茎をまとめて握るようにしながらよく絞り、4~5センチの食べやすい大きさに切り分けます。
こうしておくと、小分けにして冷凍でも保存できます。
その他の豚肉と野菜のみそ汁
豚肉とゴーヤーのみそ汁
豚肉とゴーヤーはゴーヤーチャンプルーの名コンビなので、みそ汁にしても言うまでもなくうまいです。
この日は豆腐は冷奴にしましたが、みそ汁に入れてもまちがいなくうまいです。
豚肉とインゲンのみそ汁
インゲンは豚肉と炒めたりもするわけで、これもみそ汁にしてもおいしいのは言うまでもない話。
緑をきれいにしたければ、上のブロッコリーと同様に、下ゆでするのもおすすめです。
番外編 豚肉とあさり・トマトのみそ汁
「豚肉と野菜」というくくりからは外れるので、「番外編」としましたが、この豚肉とあさり・トマトのみそ汁が、とんでもなくウマイです。だいたい5,233回くらいは死ねます。
豚肉とあさりは、韓国だとチゲで合わせることがあり、にんにくと唐辛子のきいたみそ味には最高の相性です。またトマトも、あさりとはボンゴレロッソの名コンビであるわけで、この豚肉とあさり・トマトのみそ汁は、食べる前からうまいと決まっているようなもの。
またあさりは、殻がひらけばおいしいだしが出るので、砂抜きの時間を除けば、調理時間も短いです。
手軽でうまい、王者のようなみそ汁だと思います。
作り方のポイントは、まず肉を煮て、そのあとあさり、最後にトマトを煮るようにすること。あさりは煮すぎると縮むので、煮時間を極力みじかくするのが重要です。
豚肉とあさり・トマトのみそ汁 レシピ
STEP1 あさりの砂抜きをする
- あさり 1パック(200グラムくらい)
は、
- 水 200cc
- 塩 小さじ1
くらいの塩水に30分~1時間ほどひたして砂抜きをし、そのあと両手ですくってはガシガシこすり、よく水洗いする。
あさりの殻についた汚れはクサミの原因になるので、あさり料理で水洗いは大きなポイント。
STEP2 味をつけた水でまず肉、次にあさりを煮る
鍋に、
- 水 500cc(=2杯分。100ccは煮詰まる分)
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- うすくちしょうゆ 大さじ1
- 豚肉 100グラムなど
- にんにく 1~3かけ(好みで)
を入れて中火にかけ、煮立ってきたら弱火にして5~10分、あまり煮立てないようにしながら煮る。
水洗いしたあさりを入れ、弱めの中火くらいにし、出てくるあくを取りながら、殻がひらくまで煮る。
STEP3 トマトを入れてみそを溶き入れる
- トマト(中) 1個(8等分のくし切りにする)
を入れ、すかさす、
- みそ 大さじ1+2分の1程度
を溶き入れる。
煮立ってきたら火を止めてお椀によそい、一味唐辛子をたっぷりかける。