牡蠣は「海のミルク」と呼ばれるだけあり、マジで栄養が豊富なのだ。他の食品にはなかなか含まれていない「亜鉛」が豊富に含まれ、免疫力の向上をはじめとするさまざまな効果があるうえに、鉄分や各種ビタミン・アミノ酸なども豊富。
タウリンを含むから、肝臓の機能もサポートする。牡蠣を食べると、体がすぐにポカポカしてきて、調子がすごく良くなるから、これから春までの牡蠣のシーズン、特に僕のように年をとって体力が低下しがちな人は、せいぜい食べるべきなのだ。
それでその牡蠣の食べ方として、一番のおすすめなのは、やはりこの牡蠣のオイスターソース炒めである。
なぜかというと、まずご飯のおかずになる。
牡蠣は味が淡白だから、酢牡蠣にしても、鍋にしても、その料理の多くがご飯のおかずになりにくい。でもご飯のおかずにならないということは、日本では「メイン料理にならない」ということだから、せっかく高いお金を払って牡蠣を買うのに、それでは困る。
そこで牡蠣の人気メニューとして、「牡蠣フライ」が登場する。牡蠣フライがなぜ人気メニューなのかといえば、別に他の牡蠣のメニューとくらべて「おいしい」というよりも、油で揚げてソースで味付けすることで、「ご飯のおかずになりやすい」ということだと思う。
しかし、わざわざ小麦粉やら卵やらパン粉やらをまぶしつけ、油で揚げるのは面倒くさい。そこでこの、牡蠣のオイスターソース炒めなのだ。
中華風のコッテリとした味つけだから、ご飯のおかずになることこの上ない。しかも調理時間は、下準備を入れても10分かからないのだ。
さらにこの牡蠣のオイスターソース炒め、何がいいかといえば、牡蠣とオイスターソースの相性がいいのである。
これは当たり前の話だ。オイスターソースの原料は、牡蠣なのだ。
フライにしてウスターソースをかけるより116倍はうまく、味のバランスは完璧だ。
牡蠣の相棒は、にらが定番。にらのクセが、牡蠣のクセを相殺してくれる。
作り方
牡蠣の料理はすべからく、「火を通しすぎない」ことが最大のポイントだ。火を通しすぎると、牡蠣はみじめなほど小さく硬く縮まってしまう。
生食用なら、「ナマで食べられる」というわけだから、ほんとに温める程度でいい。
加熱用は、「80度で1分」加熱しないといけないから、牡蠣の内部が80度まで上がる時間を見越して、「1分半」が加熱時間だ。
だから牡蠣を炒める場合には、炒める前に材料はぜんぶ切り、調味料は混ぜ合わせておく。
炒めながら、頭のなかで「1、2、3……」と秒数をカウントし、「90」になったら火を止めて、すぐに皿に盛るようにするのがおすすめだ。
牡蠣は生食用なら、水でさっと洗えばいい。加熱用は、片栗粉をすこし振りかけてもみ洗いし、そのあと水を3~4回替えながらゆすぐ。
ザルに上げてよく水を切り、そのあとまた器に戻して、片栗粉・大さじ1くらいをまぶしておく。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 小さじ1
を入れて中火にかけ、1~2分熱して味を引き出したあと、牡蠣を入れる。
「炒める」というよりは、箸で表と裏を返して「焼く」ようにしながら、50秒加熱する。
あらかじめ混ぜ合わせておいた、
- 酒 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1
- みりん 小さじ1
- しょうゆ 小さじ1
を入れ、ひと混ぜしたら、ざく切りのにら・2分の1把を入れて、30秒炒めて皿に盛る。
これはマジで、923回くらいは死ねる。
ご飯にも、こちらの方が、牡蠣フライよりぜんぜん合うと思う。
しかしこれは、酒の肴にもこの上ないのだ。
であるのに、「朝だから」というだけの理由で、今朝も酒を飲まなかった僕は、そろそろ酒の神様から破門されるのではないかと思う。
「されないよ」
そうだよな。