東京から京都へ帰ってくると、これが寒いのだ。
京都は、とても住みやすい。街はコンパクトで、必要なものは全てあって、余計なものはない。昔ながらの風情が残っているから、歩きまわるのも楽しい。
人も、新参者にたいしてつかず離れずの、絶妙な距離で接してくれる。冷たいことはなく、逆にベタベタもしていないから、こちらも気楽だ。
しかし、まずこの寒さ。だいたい、東京と「気温」としてはおなじでも、京都のほうが、体感温度ははるかに寒い。
一度広島へ行ったとき、そのときの最高気温3度の寒さが、京都の最高気温10度のときの寒さより、まだ暖かかった。
これはたぶん、京都は湿度が高いからではないかと思う。盆地だから、湿気がたまるのではないか。
なので寒さが、「刺す」ようなのだ。
それから、夏。これが、暑い。これも東京と気温がおなじだったとしても、京都のほうがはるかに暑い。
たぶん、やはり湿気が原因ではないかと思う。とにかく蒸し暑いのだ。
明け方5時くらいなら、東京だと、夏でもそれなりに涼しいはずだ。でも、京都はちがう。
明け方5時から、「モワ~~~っ」とした淀んだ空気が、街を覆い尽くしているのである。
この寒さと暑さだけは、ほんとに何とかしてほしい。
京都には、ぜひ考えてもらいたいものだ。
というわけで、きのうは豚肉とかぶのキムチあんかけ煮。
「温まるものを、、」と思って作ったと言いたいところなのだが、じつは、考える順番は、そうではなかった。
はじめは、別の料理を作るつもりで、豚肉を買った。ところが家に帰ったら、冷蔵庫にかぶがあるのに気がついた。
何しろ、急遽一週間も旅行するハメになった。冷蔵庫には、使いかけの食材があれこれ入ったままだったのだ。
このかぶを、早いとこ使いきってしまわなければいけない、、
それでまず、豚肉とかぶを塩味のあんかけ煮にしようと思った。
ところがさらに、キムチも冷蔵庫に入っていることに気がついた。キムチは1週間前の段階で、すでに2週間たっていたから、さすがにもう、使いきってしまう必要がある。
それで、味つけを塩ではなく、キムチにしたというわけだ。
しかしもちろん、韓国で、キムチ煮にトロミをつけるかどうかは、一応は考えた。たぶん、しないのではないかと思う。
しないとは思うけれど、してもいいのだ。
「キムチは韓国のものだから、韓国の食べ方を参考にする」のは、もちろん正しい。それにより、学ぶことがたくさんあるのは、まちがいない。
でもそれにこだわりすぎるのも、あまり良くない。「韓国の食べ方」など、日本人には本当のところは知りようがないのだから、それを考え過ぎると窮屈になるのである。
日本人は日本人で、自分なりにキムチを使う。たとえ韓国の人が眉をひそめたとしても、自分がうまければ、それでいいのだ。
豚肉とかぶに、キムチが合うのは、まちがいない。
さらにそこにトロミをつければ、温まるに決っているわけなのだ。
作るのは、うす切り肉を使うばあい、肉を最後に入れるのがポイントだ。うす切り肉は、火を通し過ぎると硬くなってしまうからだ。
あとは、かぶは皮を厚くむき、煮過ぎないこと。
かぶは皮が筋張っていて硬いのと、しかも小さめのは、煮過ぎると溶けるからだ。
鍋に、
- ゴマ油 大さじ1~2
- キムチ 300g入りパック3分の1=100グラムくらい
を入れ、強めの弱火くらいにかけて5分くらい、じっくりと蒸し焼きにする。
ここで油にキムチの味をしっかり出し、さらにキムチをトロトロにすることが、キムチ料理をおいしく作るポイントではないかと思う。
- 皮を厚くむき、大きさによって6~8等分のくし切りにしたかぶ 1~2個
を入れ、かるく炒めて油をなじませる。
これでキムチ味の油が、かぶにしみ込むわけだ。
- 水 1カップ
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 醤油 大さじ1
- 塩 少々
- コショウ 1ふり
くらいで味をつけ、ざく切りにしたかぶの葉を加えて、フタをして弱火で5~10分、竹串を刺して確認しながら、かぶがやわらかくなるまで煮る。
カブがやわらかくなったら、
- ほぐしたシメジ 2分の1袋
- 豚うす切り肉 200グラム
を入れ、さらに弱火ですこし煮る。
豚肉の色が変わったら、火加減を中火にし、
- 片栗粉 大さじ1
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を、スプーンで加えては混ぜしながら、トロミをつける。
冷めないうちに、皿に盛る。
キムチの味がしみたホクホクのかぶは、たまりましぇん。
あとは、わかめスープ。
3カップくらいの水で、
- ニンニク 1かけ
- 頭とワタを取った煮干し 1つまみ
- 乾燥わかめ たっぷり
を20~30分、わかめがトロトロになるまで煮て、
- 酒 大さじ1
- 塩 少々
- しょうゆ 少々
で味をつけ、お椀によそって青ねぎとゴマをかける。
それに、白めし。
酒は、焼酎水わり。
一週間ぶりに自分でつくった飯を食べ、
「やはりうまいな、、」
あらためて思う。
おまけに自宅で飲めば、金の心配も帰る心配もいらないわけで、ついダラダラと飲み過ぎてしまうのも、仕方ないのだ。
「旅行中はせっかくキビキビしてたのにね。」
そうだよな。