きのうは、牡蠣のニラ玉。牡蠣は「からだを温める」という意味で、最強の食材といえると思う。これをオイスターソースに甘辛酸っぱい味をつけたニラ玉に仕立てると、たまらなくうまい。
年をとると、とにもかくにも、体を温めるものを食べる必要があるのである。
「体を温める」とは、「代謝を上げる」ということだ。年をとると代謝が下がってきて、体のあちこちに不調が出る。
何よりまず「疲れ」。40を過ぎると、疲れがたまりやすくなり、しかもその疲れが寝てもとれず、朝、布団から起き上がれなくなったりする。
それから、冬。年を経るごとに、寒さが身にしみるようになる。
これを何とかしないと、生活することすら困難になってくるから、まったく年をとるとは面倒だ。
この10年ほどの試行錯誤の末、代謝を上げるには、何より「栄養」が必要だというのが、おれの結論。
たしかに運動や風呂、熱燗や鍋なども、代謝を上げる効果はある。でもそれらはあくまでも一時的なものであり、効果が持続しないのだ。
代謝を上げるための栄養をとるのが第一で、その他のものは、それを「補う」と考えるのがいいと思っている。
代謝を上げるための栄養とは、まずはニンニクやニラなどの「五葷」と、豚肉。
ニラと豚肉は以前から食べていた。でも最近になってニンニクを解禁し、そのあまりの効果に、もうニンニクなしでは生きてはいけなくなっている。
何しろ今年の冬は、去年よりは暖かいとはいっても、ニンニクを食べ始めてから毎日からだがポカポカし、寒さがそれほどつらくない。
ニンニクなどの五葷と豚肉は、日本では長いあいだ、使用が禁じられてきた。だから日本人がこれらを料理にとり込むには、やはりそれなりに意識的なとり組みが必要になるのではないかと思う。
それからあとは、「牡蠣」なのだ。
これは本当に強力で、体を温める効果としては、豚肉より高いのではないか。晩に100グラムぽっちでも食べれば、次の日は一日中、からだがポカポカとしたままだ。
しかも牡蠣がいいのは、アルコールの分解を促進する作用もあること。多少飲み過ぎてしまっても、朝にはスッキリ酒が抜けている。
牡蠣は、いまのところ「最強食材」といえるのではないかと思っている。
きのうはこの牡蠣を、ニラ玉に入れることにした。
牡蠣は、生のままとか、サッと湯がいてぽん酢で食べるとかしても大層うまい。でもそれだとご飯のおかずにならないから、牡蠣の代表料理といえば、やはり「牡蠣フライ」になるだろう。
ただし、おれは揚げ物が「面倒くさい」と思うタイプで、家ではやらない。そこで牡蠣をおかずにするには、炒め物にする。
ニラと合わせてオイスターソースで炒めるのは、定番中の定番で、じつにうまい。きのうはそこに、炒めた卵を加えたという企画。
牡蠣は「卵とじ」で食べることからも分かるように、卵との相性はとてもいいのだ。
牡蠣の料理をつくる際の最大のコツは、「とにかく火を通し過ぎない」こと。
牡蠣は、火を通し過ぎると小さく縮まって硬くなる。これはほんとに、「みじめ」とすら言えるくらいだ。
加熱用でも、加熱時間は最大1分半におさえることが必要で、炒める場合はその時間で済むように、あらかじめ段取りを考えておくことが大切だ。
味つけは、ベースはきのうもオイスターソース。
ここに唐辛子とみりん、それに酢を加え、やや「甘辛酸っぱい」味にすると、魚介類にはまたよく合う。
牡蠣100グラムは、生食用だったら、ただ水洗いするだけでいい。加熱用の場合には、片栗粉少々をふって揉み、さらに水を4~5回かえながら、よくすすぐ。
水気をよくふき取って、片栗粉・大さじ1くらいをまぶしておく。
溶き卵・3個を、フライパンにサラダ油・大さじ1を引いて中火にかけて炒める。
初めからかき混ぜてしまうのではなく、8分方固まるまで、そのまま放置するのがいい。最後にザッと混ぜ、大きめにまとめて皿にとり出す。
フライパンにあらためて、
- サラダ油 大さじ1
- 包丁の腹で押しつぶしたニンニク 1かけ
- 鷹の爪 1本
を入れて中火にかけ、ニンニクと鷹の爪が茶色になるまで熱する。
ここからは、スピードだ。
牡蠣を入れ、ひと混ぜしたら、
- ざく切りのニラ 1把
を入れて、さらにひと混ぜして、とり出しておいた卵を入れる。
すかさず合わせておいた調味料、
- オイスターソース 大さじ1
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- しょうゆ 小さじ1
- 塩 小さじ4分の1
- コショウ 1ふり
- 酢 小さじ1
- ゴマ油 小さじ1
を注いで、全体を返しながらトロミがついたら火を止める。
この、牡蠣を入れてから火を止めるまで、1分半でやるという話。
牡蠣は余熱でも縮むから、グズグズしないで皿に盛る。
プリっとした牡蠣に、ふわりとした卵は、マジでたまらないっすよ。
あとは、カブの葉の豚汁。
頭とわたをとり除いた煮干しと、1かけのニンニクを、5分くらい水で煮て、酒と淡口醤油で味をつけ、まず油あげとカブの葉、やわらかくなったらシメジと、最後に豚うす切り肉を煮て、お椀によそい、ゴマと一味をかける。
それに、白めし。
酒は焼酎水わり。
牡蠣を食べる際の弱点は、「アルコールを分解してくれるから」と思って、ついいつもより飲み過ぎることなのだ。
おかげで今朝は、牡蠣を食べたにもかかわらず、酒がちょっと残ってしまった。
「あきれるね。」
ほんとだな。
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