体調が、まだ回復しないのである。若いうちなら、多少の疲れも爆睡して一気に取ることもできようものの、年を取ると、まず寝られない。
おととい「13時間睡眠した」と書いたから、さも爆睡したかのように思われるだろうけれど、内実は、床に就いてから明け方まで、1時間半ごとに目を覚まし、連続して寝られたのは明け方以降。睡眠が、責め苦のような趣きすら帯びてくる。
おまけに回復力が落ちているから、一旦疲れが溜まってしまうと、それを解消するまでに時間がかかる。まったく、年は取りたくないものだ。
というわけで、きのうも体力低下メニュー。
鶏と水菜のニンニクうどんすき。
鶏肉は比較的消化がいいから、体力が低下している時にはやはり定番。そしてうどんすき(鍋焼きうどん)も、体がよく温まるから、体力低下時の王道のメニューといえる。
これを普通に関西風に作るなら、カツオだしにみりんと薄口醤油で味をつけるということになる。これがウマイことに、べつに文句を付けるつもりでは毛頭ない。
しかしここに、さらに「ニンニク」を入れるのだ。これは在日コリアン風吸い物の要領で、関西風うどんだし+ニンニクと、たっぷり目の唐辛子が死ぬほどウマイ。
「ラーメンにニンニク」ならばまだ理解できたとしても、うどんにニンニクというと、はてなマークが10個くらい並ぶ人も多いのではないかと思う。
でも、ウソではない。もしウソだと思うのなら、だまされたと思って実際に作って、食べてみればいいのである。
日本人は、ただ意味なくニンニクを毛嫌いしているだけなのだ。ニンニクは和風のメニューにも大変よく合い、さらにそれらを次元の異なる味にしてくれる。
しかもニンニクの滋養強壮効果といえば、半端ない。
ざっと上げても、風邪やインフルエンザの予防を初めとし、高血圧の予防・改善、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の予防、抗菌・殺菌、肝機能強化・肝障害予防、コレステロール低下・抑制、食欲増進・食欲不振改善、消化促進・消化不良改善、冷え性予防・改善、血流促進、二日酔い予防・解消などなど。
「百薬の長」と言いたくなるほどなわけで、(もちろん酒の方が上だと思うが)、これを食べない手はどう考えてもないのである。
したがって、体力低下時にもニンニクを食べるのは、もちろんいい。「ニンニクうどんすき」は、疲れが溜まった時の黄金のメニューといえるのだ。
うどんだしにニンニクを加える場合、唐辛子を多めに入れるといい。ニンニクは甘みがあるから、味を引き締めることが必要なのだ。
唐辛子は一味で問題ない。でも韓国粗びき唐辛子を使えば、より味わいが深くなる。
ニンニクは、すり下ろして入れるのが味は濃厚。でももし慣れなくて不安な場合は、軽く押しつぶすだけで入れると、穏やかな味になる。
一番してはいけないのは、すり下ろした生ニンニクを出来上がったうどんに入れること。生だと味に刺激があるから、ニンニクはかならず火を通すことが肝心だ。
うどんすきを作るのは、難しいことは何もない。カツオだしを取って味をつけ、あとはうどんと、具を煮えにくい順番に煮るだけだ。
きのうは具は、鶏肉の他にはまず水菜、油あげ、それに長ねぎと冷蔵庫に余っていたえのき。鶏肉と水菜、油あげは定番で、あとは自由にしたらいいのだ。
鍋に、
- 水 3+2分の1カップ (3カップのだしが取れる=夜と昼の2食分)
を入れて沸騰させ、ザルに入れた、
- カツオ節 15グラム (2.5グラム入りミニパックなら6袋)
を入れる。
30秒ほど弱めの火で煮立て、火を止めて2~3分置いておく。
だしが取れたら、だし殻はかるく絞って取り出す。取り出しただし殻は、その場でポン酢に一味でもかけて、調理中の酒の肴にするのがおすすめ。
取れた3カップのだしに、
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 薄口醤油 大さじ3
- ニンニク 1~2かけ (すり下ろすか、かるく押しつぶす)
- 塩 少々 (あとから野菜を煮ると水が出るので、少し強めに塩気をつける)
で味をつけ、半量を小鍋にわけて、まず、
- うどん 1玉 (ゆででも冷凍でも)
- 鶏肉 100グラムくらい (5ミリ~1センチ幅くらいに細く切る)
- 油あげ 2分の1枚 (細く刻む)
を2~3分煮る。
鶏肉に火が通ってきたら、
- 長ねぎ 10センチ (斜め切り)
- しめじ 少々 (タテ半分に切ってほぐす)
を入れ、ネギがしんなりしてきたら、
- 水菜 4分の1把とか (ざく切り)
を入れて、ひと煮立ちさせて火を止める。
水菜は生でも食べられる。煮る場合はくれぐれも煮過ぎずに、シャキシャキ感を残すことが大切。
一味または韓国粗びき唐辛子をたっぷりかける。
これは死ねる……。
カツオの風味がプンとするところに、ニンニクの味は実にいいのだ。
考えてみたらカツオのたたきにはニンニクを入れるわけだから、カツオとニンニクは元々相性がいいということだと思う。
しかも言うまでもなく、うどんすきは酒に合う。
しかし酒こそ「百薬の長」なのだから、体力低下時に飲んで悪いことはないのだ。
「良くならないよ。」
そうだよな。