熱を出して寝込むことは、誰にでもあると思う。寝込んでいる最中は、それこそ食欲が湧かなくて何も食べたくないけれど、そのうち腹も減ってくる。
そういう時食べるのに適当なのは、やはり消化がよくて手軽にできるお粥。しかしいくら寝込んでいるからといっても、ただ米を煮ただけのものは簡単過ぎて、あまり食べたくないのである。
そういう、僕のように贅沢な御仁におすすめなのは、お粥をスペイン風のリゾットにすること。
今回のソーセージのリゾットは、ソーセージが入って油を使うから多少消化は悪くなるものの、手間も時間も大してかからず、いきなりご馳走かと思うような風格すらかもし出すのだ。
リゾットは、ニンニクなどの香味野菜、それに今回はソーセージと一緒に米を炒め、あとはお湯を入れて、ただ炊くだけ。
ニンニクや玉ねぎを切ったり炒めたりするのは大した手間でもないわけで、しかも生米をそのまま使うから米を水にひたす時間がかからず、調理時間としてはむしろ短縮されるのではないかと思う。
レストランなどだったら、ここでお湯ではなく、鶏ガラなどのスープを入れるとは思う。しかしこれは、賭けても「お湯」でいい。
嘘だと思うのなら、だまされたと思って作ってみたらいいのである。
炊き込みご飯は、米の甘みとうまみがあるから、だしは大して必要ないのだ。七草粥など、青っぽい草に塩だけで、おいしくできる。
今回はソーセージを多めに入れるから、そこから出るだしだけで十分だ。
それからこれは、本当はジャガイモを入れてもおいしい。今回は熱で頭がぼっとして(ウソ。酒を飲んだため酔っ払って)入れるのを忘れたのだが、もし覚えていたら、1センチ角くらいのサイコロに切ったのを1個分ほど、米と同じタイミングで入れるのがいい。
炒めるのは、普通の鍋でも弱火でやれば、焦げ付いたりすることはない。特に香味野菜とソーセージを炒めるのは、じっくりやるのがコツとなる。
それから入れるのは、水ではなく「熱湯」であることが必要だ。
これは僕がこれまで見たすべてのスペイン料理のレシピにそう書いてあったから、僕もそうしているのだが、これまでリゾットに水を入れ、失敗した経験がある人がもしいたら、どう失敗するのか教えてほしい。
炊き時間は、「25分」。これは広島のスペイン料理店のマスターに教えてもらったマジックナンバーで、この時間でちょうど少し芯が残ったアルデンテの状態になる。
鍋に、
- オリーブオイル 大さじ2
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 玉ねぎ 4分の1個 (みじん切り。ちなみに玉ねぎをみじん切りしていて、目が痛くなってきたら、神様が「それ以上みじん切りしなくていいよ」と言っているという意味だから、みじん切りをやめるのがおすすめ)
- ソーセージ 4本 (5ミリ幅くらいの小口切り。言い忘れたけど、この料理はこのソーセージだけの味だから、ソーセージは多少はいいものを使う必要がある。最低でも「シャオエッセン」「アルトバイエルン」級のを選ぶのがおすすめ)
- パセリの茎 (みじん切り。トッピングするパセリの茎は、ここで使えば無駄にならない)
を入れて弱火にかけ、5分くらいじっくり炒めて香味野菜の味とソーセージの脂をひき出す。
- 米 2分の1カップ (洗わない)
- (ジャガイモ 1個 (1センチ角くらいのサイコロに切る))
を入れ、さらに1~2分、米に油がしみ込んで透き通ってくるまで炒める。
- 熱湯 2カップ
- 酒 大さじ2
- 塩 小さじ2分の1
- コショウ 1~2振り
を入れて、弱めの中火くらいで1~2分、底がくっつかないよう揺すりながら、グツグツ煮立てる。(ヘラなどで混ぜてしまうと粘り気が出てしまうので注意)
フタをして弱火にして25分炊き、25分たったら、蒸らしたりせずにすぐに皿に盛る。
みじん切りのパセリをたっぷりかけ、好みで粗挽きコショウ、パルメザンチーズをかけながら食べる。
これは死ぬ……。
芯が少し残ったアルデンテの米が、たまらないのだ。
ソーセージでコクは十分、べつに病気の時ではなく、元気な時に食べても余裕でウマイ。
問題は、これがごはん物でありながら、酒の肴にヒジョーになるということだ。
病気の人がこれを食べ、飲み過ぎで症状が悪化しても、それは自己責任でお願いしたい。
「自分でしょ。」
そうだよな。