家常豆腐(ジャーチャンドウフ)は中国の家庭料理で、揚げ豆腐の煮物のこと。無数の作り方があるそうなのだが、豆板醤を使ってピリ辛味に仕上げるのが一般的ではあるらしい。
これに、タケノコを入れることが多いのだ。僕はウー・ウェンのレシピ、それから渋谷・麗郷で、タケノコ入りのジャーチャンドウフをこれまで見ている。
今はまさにタケノコの季節。タケノコご飯や土佐煮など和風にやるのももちろんいいが、中華料理でもタケノコは多用する。
このタケノコの家常豆腐も死ぬかと思うほどウマイので、作ってみた方がいいのではないかと思う。
タケノコは、生のを買って自分でゆでるのももちろんいいものだけれども、タケノコは採ってから時間が経つと、エグみが出てくる。朝採ったやつを昼にはゆでないといけないわけで、夜の時点でまだ売り場に出ているような生タケノコは、手を出すのはやめておいた方がいいのだ。
なので、やはり忙しい人にはすでに水煮してあるものを買うのがおすすめ。
値段も別に、そう高くなるわけでもない。
食べきれなかった水煮のタケノコを保存するには、水に浸して冷蔵庫に入れておく。毎日水を替えれば、2~3日は平気で持つ。(ただし姫皮だけは、その日に食べないとダメ)
家常豆腐に使う揚げ豆腐は、中国では自分で揚げるようだけれど、日本には厚揚げがあるわけだから、それを使うので問題ない。
材料は、タケノコの他には豚肉と、ピーマン、玉ねぎ。ピーマンと玉ねぎはしゃっきりとさせるため、最初にサッと炒めて最後に入れるようにする。
味つけは、ベースはニンニクと豆板醤。これにしょうゆベースの味をつけ、スープを入れるわけだけれど、鶏がらスープは面倒だからもちろん取らない。
顆粒スープを使う手もあるけれど、非常におすすめなのはオイスターソース。鶏がらスープよりも強力なコクがつき、魚介系の味を豚肉の味と合わせることで、味に奥行きが出る。
火加減は、ピーマンと玉ねぎを炒めるとき以外は弱めでやるのが、豚肉も硬くなりにくいし味もしみやすい。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
を入れて中火にかけ、よく温まったところで、まず、
- 玉ねぎ(中) 2分の1個 (2センチ幅程度のくし切りにする)
を1分くらい炒める。玉ねぎがバラけてきたら、
- ピーマン 2個 (ヘタと種を取り、玉ねぎと同じくらいの大きさに切る)
を加え、さらに1分くらい、シャッキリ感を残して炒め、皿に取り出す。
あらためてフライパンに、
- サラダ油 大さじ1~2
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
を入れて強めの弱火くらいにかけ、2~3分じっくり炒めて味をひき出す。
つづいて、
- 豚コマ肉 150グラムくらい
を、やはり強めの弱火でじっくり炒める。
豚肉の色が変わったら、
- 水煮タケノコ 2分の1本 (1センチ幅くらいのくし切り)
- 厚揚げ 1袋 (1.5~2センチ厚さくらいに切る)
を入れ、1~2分炒めて油を絡ませる。
- 水(またはお湯) 2カップ
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口醤油 大さじ1 (薄口を使うのは色を濁らせないため)
- オイスターソース 大さじ1
- コショウ 1~2振り
で味をつけ、弱火で10分くらい、コトコト煮る。
- 片栗粉 大さじ3
- 水 大さじ3
の水溶き片栗粉を用意して、これ全部だとちょっと多いかもしれないので、様子を見ながら少しずつ入れては混ぜしてトロミをつける。
- 酢 小さじ1
を加え、ひと混ぜして火を止める。
好みで粗挽きコショウをかけて食べる。
これはヤバイ……。
タケノコに、中華のピリ辛味は大変よく合う。
歯応えのあるタケノコにやわらかい厚揚げと、食べ応えのバランスも最高。
しかもこれがまた、「驚異的」とも言えるほど、酒に合う。
鉄のような、超人並みの意志の強さでない限り、飲み過ぎないことは難しいのではないかと思う。
「そんなことないよ。」
そうだよな。