あさりは、春が旬ではあるのだけれど、1年中わりとおいしく食べられる。比較的値段も安いし、栄養も、他のものでは摂りにくいものが豊富に含まれているから、ぜひともちょくちょく食べたいものの一つだ。
あさりに豊富に含まれているのはまず「タウリン」で、これはいわずと知れた、肝臓の機能を強化するアミノ酸。
それから「亜鉛」。亜鉛も不足しがちな栄養で、細胞の分裂を促進する作用があり、成長期に足りなくなると成長障害になるそうだ。
それから肌の新陳代謝や生殖機能も促進するそうだから、これはあさりをバクバク食べなければいけないのだ。
ただしメイン具材をあさりにすると、それだけではスタミナ的にちょっと問題。糖や脂質の代謝を高め、疲労回復・体を温めることに効果がある「ビタミンB1」もそれほど含まれていないようだし、あさりだけだと、肌はきれいになるかもしれないけれど、元気が出ない。
そこで、あさりと豚肉の炒め丼。
あさりと豚肉は、味的にも相性がとてもいいのだ。日本でも、寄せ鍋などに豚肉とあさりを一緒にいれることはあると思うし、韓国でも、豚肉を使うキムチチゲにやはりあさりを入れたりする。
どちらもややクセがあり、しかもそれがケンカせずに、うまく補い合ってくれる。
栄養的にも、あさりの料理にガッツリとスタミナがある豚肉を入れればバッチリだ。
さらにあさりとも豚肉とも味的にもこの上なく相性がいいニンニクとネギを入れれば、豚肉のビタミンB1とニンニクやネギに豊富に含まれる「アリシン」が作用して、糖質の代謝を極限まで高め、体を温め、疲労を回復してくれる。
味つけは、中華風のしょうゆ味。オイスターソースを加えると、あさりと牡蠣はおなじ貝どうしだから相性がよく、味がひき立つ。
作るのは、べつに難しいことはないと思う。あさりは火を通しすぎると硬く縮まってしまうから、殻が開いたらできるだけ早く火を止めるのがポイントだ。
作り方
あさり・100グラムくらいは、
- 水 カップ2分の1
- 塩 小さじ2分の1
くらいの塩水に30分~1時間ひたして砂抜きする。
そのあと両手でガシガシと殻をこすり合わせながら、水を4~5回替えてよく洗い、殻の表面のくさみの原因となる汚れをよく落とす。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 小さじ1
を入れて弱めの中火くらいにかけ、1~2分じっくり熱して味をひき出す。
つづいて、
- 豚バラうす切り肉 70グラムとか (食べやすい大きさに切る
を入れ、やはり2~3分か、じっくりと炒め、こちらも脂と味をひき出す。
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 薄口しょうゆ 大さじ2分の1 (あさりから大量の塩水がでるので、ここではしょうゆは少なめにしておく)
- オイスターソース 小さじ1
を加えてひと混ぜしたら、
- 水 1カップ
- 長ねぎ 1本 (斜め切り)
- しめじ 4分の1束 (冷蔵庫に余っていたから)
- 洗ったあさり
を入れる。
フタをして火を強め、煮立ってきたら弱火にして、2~3分くらい、あさりの殻が全部開くまで煮る。
- 片栗粉 大さじ1+2分の1
- 水 同量
の水溶き片栗粉を、スプーンで少しずつ入れては混ぜしてトロミをつけ、
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
を加え、ひと混ぜして火を止める。
ご飯を盛った皿によそい、粗挽きコショウをかける。
マジでうまくて、394回はため息が出るほど死ねる。
しかし今朝も、「朝だから」という理由だけで、このあさりと豚肉の炒め丼は酒にもまちがいなく合うのに、飲まなかったわけである。
こんなことを続けていたら、僕は気が狂ってしまうのではないかと思う。
「狂わないよ」
そうだよな。