ツバスの炊き込みご飯で酒を飲んだ。
魚の炊き込みご飯は「つくづくうまい」のである。
先週連続して炭水化物を食べたせいなのかどうか、土曜日は昼になっても腹が減らず、昼めしは食べずに夜酒だけ飲み、日曜日も炭水化物ははじめに食べたスパムにぎりだけ、あとは酒だけ飲んだ。
すると今度は、きのうになって腹が減り、「PiPi」のランチもいつもの「ご飯半分」ではなく「普通」にし、さらに夜になったらまた「めし」が食べたくなった。
きのうの夜は、冷蔵庫にあれこれ入っていたから買い物へは行かず、あり物で何とかしようと思っていたのだが、「めし」となれば作るのが簡単なのは「炊き込みご飯」だ。
ご飯とおかずがいっしょに出来てしまうからで、しかもおかずの味がご飯にしみて、これまたうまい。
炊き込みご飯というと、入れる具は「鶏肉」というイメージがあるのではないかと思うのだが、これがなぜだかよくわからない。鶏肉を炊き込みご飯に使うためにはどうしても「だし」を入れる必要があり、どちらかといえば作るのが面倒な部類に入る。
それよりは圧倒的に手軽で、しかも間違いないのは「魚」を炊き込みご飯に入れることで、これまで色々と試しているけれど、まだ「ダメ」だったものは一つもない。
「鯛めし」はもっともうまい炊き込みご飯の一つであるし、スズキやハモ、アナゴなど白身の魚はすべていい。といって青魚もOKで、サンマやらイワシやらサバやらを入れたことがあるけれど、どれもよかった。
アサリやカキ、さらにはイカやタコなどの「魚介」がいいのは言うまでもない話で、これらの炊き込みご飯は定番のメニューだろう。
手軽なのはサバ缶やツナ缶を使うことで、これは缶詰を開けて入れるだけだからほんとうに簡単で、しかもうまい。
魚を炊き込みご飯にするというと、「臭み」を気にする人もいると思う。でもそれも、心配ない。
魚は焼いてから入れるようにするのである。そうすれば生臭みはまったく出ない。
さらに入れる魚の「クドさ」に応じて、ゴボウやショウガを炊き込んだり、ねぎなり大葉、ゴマ、みょうがなりの薬味を加えたりすれば、さわやかな風味になる。
きのうもサバ缶にツナ缶があったから、はじめはこれを入れようかと思ったが、以前買ったツバスの切り身が冷凍されていることを思い出した。
どうやって食べようか迷っていたものだから、ご飯に炊き込むのはちょうどいい。
具はゴボウに油あげ。あれこれと入れるより、シンプルな方がいいのである。
ショウガを炊き込み、ねぎとゴマ、それにわさびを薬味にする。
作るのは土鍋でやる。
べつに難しいことはなく、そのまま食卓に出してしまえるのも見栄えがいい。
ツバスの切り身は、皮に斜めに何本か切込みを入れ、皮が縮むのを防いだ上で、表と裏に一つまみ(小さじ2分の1)くらいずつの塩をふって焼く。
生臭みを抜くことが目的だから、中まで火が通ったかをたしかめる必要はなく、こんがりと焼き色が付けばいい。
一人用の土鍋に5センチ角くらいのだし昆布を敷き、研いでザルに上げた米1カップ、ささがきにして水に浸したゴボウ2分の1本、細く刻んだ油あげ2分の1枚を入れ、焼いたツバスをできるだけ平らになるよう埋め込むように置く。
水1カップ、酒とみりん、淡口しょうゆそれぞれ大さじ1、おろしショウガ小さじ1を入れる。
おろしショウガは生のショウガを刻み込めばその方がうまいが、チューブでも問題ない。
フタをして、中火にかけ、湯気が勢いよく吹き出してきたら弱火にし、10分炊く。
湯気のにおいを嗅いで「おこげ」の気配がしてきたころに火を止めて、10分蒸らす。
フタを開けると、ツバスとゴボウのいい香りがする。
ねぎとゴマをかけ、わさびを乗せて食べる。
これが「つくづくうまい」のである。
炊き込みご飯は、お湯や氷水を入れて食べてもいい。
きょうは昼に湯漬けにしたが、これがまたうまいわけなのだ。
あとはとろろ昆布の吸物。
先日の残りのイカ煮付け。
一味ポン酢の冷奴。
上賀茂のおばさんの古漬。
酒は冷や酒。
炊き込みご飯は、酒にもよく合う。
「ご飯も食べたほうが体にいいよ。」
そうだよな。
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