ナスミートをうどんにかけた。
ナスミートも和風調味料をちゃんと使えば、煮込まなくてもいいのである。
これまでそこそこ一通り、中華も洋食も作ってきているわけなのだが、今は、それをそのまま作る気はどうもしない。一つには「ニンニク」があり、中華や洋食にたっぷりと含まれるニンニクは、サイドメニューを酢の物だの、漬物だの、吸物だのの和食にしてしまうと、まったく合わず、それどころか和食のえも言われぬ微妙な味わいを、完全に破壊してしまう。
この破壊力たるやすごいものであり、これは韓国だが、一週間ほど滞在してニンニクと唐辛子がたっぷり入った食事ばかり食べていたら、日本に帰ってきてから数日は、食事がただ「塩辛い」だけで何も味がしなくなった。
中華や洋食をメインディッシュにするとき、サイドメニューまでそれに合わせることはできないわけで、「だったらやめよう」と思うわけだ。
それから調味料の問題もある。中華や洋食を本式に作ろうと思えば、やはりそれなりの調味料が必要になるだろう。それをいちいち買い揃えていると、たいして使いもしない小さな瓶がゾロゾロと増殖していくことになる。
さらに洋食だったらやはりパセリがあったらいいが、これは一回使い、次にまた洋食を作るまでのあいだに必ずダメになってしまう。
以上のような理由があり、中華や洋食をそのまま作ることは基本的にないのである。
ただし中華や洋食も食べたくはなる。きのうも「ナス」をメインにしようと思い、どうやって食べようかと考えるうち、「ナスミート」が思い浮かんだ。
ナスとトマトの相性は、それはそれはいいわけで、そこにおまけに豚肉が、「また合う」という話となる。
でもそれを洋風に作る気はしないので、どうやって和風に作るか、考えはじめるわけである。
ナスミートを洋風に素直に作るなら、ニンニクと玉ねぎ、唐辛子をじっくり炒め、それから豚ひき肉を加えてさらに炒め、トマト缶と水、塩、ローリエやらハーブやらを加えて煮込み、パセリやらチーズやらをかけて食べるということになるだろう。
まずここからニンニクを抜いてしまうと、味が足りないことになる。
さらに「煮込む」のも面倒だ。洋食で煮込むのは、肉や野菜のうまみを煮汁に行きわたらせるためなわけだが、これもできれば省略したい。
そこで和食・中華の調味料を使うことにするのである。ニンニクを抜いても、他の調味料をきちんと使えば、味を補うことはできる。
また煮込まなくても、コクが出る。洋食で煮込むのは、日本のようにいい調味料がないからではないかと思う。
使う調味料は、ゴマ油に豆板醤、酒とオイスターソース、おろしショウガに砂糖としょうゆ。
味を吸わせる油あげも入れ、さらにせっかくだから、釜あげにしたうどんにかけることにした。
まずナス2本は、1センチくらいの厚さに切り、水に浸してアク抜きをして、多めのサラダ油を引いたフライパンを中火にかけて焼く。
焼き色がついたら裏返し、油を少し足してやはり焼き色がつくまで焼く。
ナスが焼けたら皿に取り出し、あらためてフライパンにゴマ油少々を引いて中火にかける。
みじん切りの玉ねぎ2分の1個分を2~3分炒め、つづいて豚ひき肉200グラムを炒める。
ここにまず豆板醤小さじ1を入れて炒める。つづいて酒とオイスターソース、おろしショウガを大さじ1、砂糖としょうゆ小さじ1をいれ、さらに炒める。
その上で、トマト缶(400g)を入れ、味を見てうすめに塩をし、取り出してあったナスと食べやすい大きさに切った油あげ2分の1枚を入れる。
弱めの中火で10分ほど煮る。
もし水気が足りなくなったら、少し水を加えるようにする。
釜あげにしたうどんにかけ、青ねぎを振る。
これはコクもバッチリで、煮込まなくても味が足りないことはない。
和風だから、うどんに合うのも言うまでもないのである。
あとはとろろ昆布の吸物。
ナスがフライパンに入りきらなかったから、余ったのを塩もみにした。
上賀茂のおばさんの古漬け。
酒は冷や酒。
きのうはうどんもあり、油もかなり使ったから、大変お腹がいっぱいになった。
「コトコト煮込むのもたのしいよ。」
そうだよな。
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