ナスのそぼろあんかけで酒を飲んだ。
「ややコッテリめ」の味付にしたのである。
冷蔵庫にナスがあったから、メインはそれで行くことにした。このごろは、魚屋で買った魚が冷蔵庫にあるときはメインはそれから考えはじめ、なくなると野菜を選び、スーパーで肉を見たりしながら考えることにしている。
ナスの代表的な料理といえば、「そぼろあんかけ」も一つだろう。やわらかに火が通ったナスとねっとりとしたそぼろあんは、抜群の相性だ。
このあいだはスーパーへ行ったらひき肉が豚しかなく、思わずピリ辛みそ味の麻婆ナスにしてしまったが、きのうは鶏ひき肉が買えたから、あっさりとした和風の味付にしようと思った。
ナスのそぼろあんかけを思い切りあっさりさせるなら、ナスの皮をむいて下ゆでし、あんを薄い味にする手がある。冬瓜のあんかけなどとおなじ考えで、冷やしてもうまい。
はじめはこれにしようと思っていたが、何度思い浮かべてみても、どうもあっさりし過ぎている感じがする。きのうぼくの体は、もう少しコッテリしたものを欲していたのである。
となれば、ナスは皮をむかずに炒めるのがいいだろう。
ナスは油と相性がいいのは知れた話だ。炒めたり揚げたりすると、「これでもか」とばかりに油を吸いこみ、トロトロの食べ応えになる。
ゴマ油を使うかどうか迷ったが、使うとさらに唐辛子を入れたりみそを入れたりしたくなる。そうなると「麻婆ナス化」してしまうから、サラダ油で行くことにする。
削りぶしのだしを使えば一番だが、鶏のだしはあるのだし、魚気はオイスターソースで代用することにした。
フライパンを中火にかけ、サラダ油を多めに入れて、大きめの乱切りにしたナス2本を炒める。
油は多く入れればそれだけトロリとうまくなるが、カロリーとの引き換えだから、好きなように加減する。
あとから煮るから、すっかりやわらかくしてしまうことはない。焼き色が付き、しんなりし始めるころに火から上げ、皿にとり出す。
あらためて油をほんの少し入れ、鶏ひき肉100グラムをほぐしながらじっくり炒める。
出てくる肉汁をすべて飛ばすようにしないと味がボケるから、水が蒸発する「ジュージュー」いう音がしなくなるまで十分炒めるようにする。
ここで合わせ調味料を入れ、まず肉に味を付ける。
合わせ調味料は酒とみりんを大さじ1ずつ、淡口しょうゆ小さじ2、オイスターソース小さじ1、おろしショウガを小さじ2分の1。
ひと混ぜしたら水カップ1を入れ、煮立ったら、取り出しておいたナスと食べやすい大きさに切った油あげを入れる。
弱火にし、フタをして5分ほど、ナスがやわらかくなるまで煮る。
味を見て、塩気が足りなければ塩を加える。
中火にし、片栗粉大さじ1に水大さじ1の水溶き片栗粉を混ぜながら少しずつ入れ、トロミを付ける。
青ねぎに一味をかける。
「ややコッテリめ」のそぼろあんかけと相成った。
あとは万願寺の焼いたの。
中火にかけたフライパンで軽く焼き色がつくまで焼き、削りぶしと味ぽん酢をかける。
とろろ昆布の吸物。
お椀にとろろ昆布と削りぶし、ネギ、淡口しょうゆを入れ、お湯を注ぐ。
三条会商店街で店を出す、上賀茂の農家のおばさんの古漬け。
すぐきは終わり、これから次のシーズンまでは漬物をあれこれ買うことになる。
漬物も、化学調味料は皆無の素朴な味で、ここのを食べつけてしまうと他のは食べる気がしなくなる。
酒は冷や酒。
いつもの話なのだが、一杯を飲み終わり、「これで十分」とは思ったのだが肴がまだ残っていた。
それでもう一杯おかわりし、無事飲み過ぎることができたというわけである。
「飲み過ぎは体にわるいよ。」
そうだよな。
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