冷蔵庫のあり物で、マーボー万願寺を作ってみた。
食べてビックリ、「黄金の味」だったのである。
万願寺とうがらしはこれから盛りになるもので、ほかの甘長とうがらしとくらべて大きく、肉厚なのが特徴となる。錦市場などではずいぶん高く売っているが、地元の八百屋では農家直送のものが一袋100円くらいで売られていて、高級品などでは全くない。
食べ方としてまずは焼いておかかにポン酢、それからちりめんじゃこと煮るというのが定番で、これからぼくも何度となく食べることになると思うが、これらはやはりサイドメニューで、メインにはなりにくい。
きのうは買い物へ行かずに食事をこしらえることに決め、メインにできるものは万願寺しかなかったから、考えた末、やはり冷凍庫に入っていた豚ひき肉とあわせて煮ることにした。
ピリ辛にしてトロミをつければ「マーボー万願寺」という話になる。
万願寺とうがらしは元々ピーマンと伏見とうがらしを掛けあわせて作られた品種だそうで、たしかにピーマンに味が似ている。ただしピーマンよりも硬いのが特徴で、炒め物などに使うと普通にいっしょに炒めても、シャキシャキとした歯応えがなくならず重宝する。
これを煮る場合には、京都の人は「クタクタ」にする。
15分以上はかけ、色が変わってやわらかくなるまでじっくりと煮るのである。
それなのに万願寺は「ヘタヘタ」にはならず、存在感のある肉厚の皮にしっかり味がしみるところが持ち味だ。
入れるのは万願寺だけでもいいと思ったが、やはりちょっと寂しい気がして、油あげを加えることにした。
「マーボー豆腐」があるのだから、これは王道の取合せだろう。
万願寺はヘタもつけたままの丸ごとを使う。
そのまま煮始めてもいいが、軽く焼いておくようにすると味がしみやすい。
フライパンにゴマ油をひいて強火にかけ、豚ひき肉100グラムをよく炒める。
肉汁が飛んだら豆板醤小さじ1をくわえてさらに炒め、合わせ調味料をいれる。
合わせ調味料は酒とみりん、砂糖、醤油を大さじ1ずつ、オイスターソース、おろしショウガを小さじ1ずつ。
ひと混ぜしたら、水1カップ半をくわえて煮立て、万願寺と食べやすい大きさに切った油あげをいれる。
フタをして弱火にし、15分くらい、万願寺がしっかりとやわらかくなるまで煮る。
片栗粉大さじ1に水大さじ2の水溶き片栗粉を用意し、強火にして、混ぜながら少しずつ加えていく。
残っている煮汁の量にもよるけれど、全部入れてしまうと多すぎると思うから、トロミ加減を見ながら調整する。
皿に盛り、青ねぎを振りかける。
食べてビックリ。定番料理にしてもおかしくない「黄金の味」である。
考えてみたら万願寺は、甘いとはいえ「とうがらし」なのだから、ピリ辛の味に合うのは道理であった。
あとは二日目のツバス大根。
味がしっかりしみている。
酢の物の残り。
酢の物は、翌日持ち越しアリである。
とろろ昆布の吸物。
酒は冷や酒。
きのうもこれを一杯飲み、その前から延々飲んでいたからもう十分だったのだが、肴がまだ残っていたからあと半分だけ飲んだ。
「毎日よく飲むね。」
ほんとにな。
◎関連記事
豚肉とレタスのみそ炒めがうま過ぎて、またつい家で飲み過ぎ過ぎたのである。
残りもの処理の料理は「発見をみちびく」という意味でうってつけなのである。(生節のオムレツ)