鶏とキャベツ蒸し梅ダレがけで酒を飲んだ。
キャベツは「蒸す」のがうまいのである。
「キャベツ」の食べ方について、以前はよく分からなかったのだ。
せん切りなど生で食べるならレタスのほうが、炒めるなら青菜のほうが、煮たりゆでたりするなら白菜のほうが、おいしいような気がしていた。
それがある日、ツイッターでそうつぶやいたら、長野の人から返答があった。長野はキャベツの産地である。
「キャベツは蒸し物がおいしいと思います・・・」
彼女はさらにつづけて言う。
「広島のお好み焼きもそうですよね。」
これには「なるほど」とうなずいた。
ぼくも広島に2年ほど、住んでいたことがある。
お好み焼きというと、関西風の「混ぜ焼き」を思い浮かべる人も多いかもしれないけれど、元々は全国どこでも、いま広島でやるように、粉を鉄板に丸く敷き、その上に具を乗せていくやり方で作っていたそうだ。京都では「べた焼き」と呼ばれ、べた焼きだけを出すお好み焼き屋も京都には少なくない。
京都のべた焼きでは、キャベツは牛すじなどといっしょに炒め、それを皮の上にのせることが多いようだけれども、広島ではキャベツの扱い方に大きな特徴がある。
皮の上に生のままの、せん切りにしたキャベツをこんもりと、まさに山のように盛り、上に豚肉をのせた上でひっくり返す。
それでそのまま、15分ほどは、鉄板の上に置いておくのである。
上に皮があるから下からの蒸気がこもり、キャベツは蒸されることになる。
蒸されてやわらかく、そして甘くなったキャベツが、広島のお好み焼きの「おいしさ」なのだ。
それを思い出し、すぐにキャベツを蒸してみたところとてもおいしく、それからキャベツは、「蒸す」のがぼくの第一の料理法となった。
「長野の人はさすがキャベツのおいしさを知っている」と、ぼくは舌を巻いたものである。
きのうもキャベツが買ってあり、それを蒸して食べることにした。
相手は肉系のものやきのこなど、あれこれと考えられると思うけれど、鶏肉も、悪くないものの一つだろう。
蒸すやり方は、フライパンに材料と酒を入れ、「蒸し焼き」にしてしまうのが手軽である。
ポン酢で食べるのもいいが、きのうは梅ダレを自分で作り、それをかけることにした。
まず梅ダレを作っておく。種を除いた梅干しとおなじ量くらいの削りぶしを、包丁でよくたたいてペースト状にする。
ペーストになったら器に入れ、みりん大さじ1、淡口しょうゆ小さじ1くらいを加えてよく溶きのばす。
キャベツ4分の1をざく切りにし、塩一つまみ(小さじ2分の1)を軽くもみ込み、フライパンに入れる。
鶏モモ肉は表と裏にそれぞれ一つまみずつの塩をすり込み、食べやすい大きさに切ってキャベツの上にのせる。
酒2分の1カップを入れ、フタをして中火にかける。煮立ってきたら弱めの中火くらいにして、10分蒸す。
キャベツの水が出てくるから、水気はこれで足りると思うが、途中で煮詰まってしまうようなら少し水を足すようにする。
蒸し上がったら大きく混ぜ、下にたまったうまみの汁を全体に絡めるようにした上で、器に盛り、梅ダレをかけて青ねぎを振りかける。
鶏のうまみを吸ったやわらかなキャベツに、梅の酸味はとてもいい。
あとはとろろ昆布の吸物。
おとといのあなごの酢の物。
一味ポン酢の冷奴。
酒はぬる燗。
きのうは昼にかなり飲んだのだが、夜もいつも通りふつうに飲んだ。
それできょう、ダメージが残っているわけでもないから、きのうははやり、体調がよかったのだと思う。
「広島のお好み焼きをまた食べたいな。」
ほんとだな。
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