きのうは鶏つみれのカレー鍋。
カレーを作るのに市販のカレールウなどを使うから、「料理」がわからなくなるのである。
毎日、「いかに体が温まるものを作るか」しか考えられないわけである。
これは、どう考えても「年」のせいだろう。若いころは、「体を温める」などと意識したことはなかった。
年をとると、代謝が落ちる。だからその分、食べ物や酒などで体を温めないといけないのである。
実際の話、年をとると面倒ばかりが増える。歯もよほどていねいに磨き、歯間ブラシまで使わないと、すぐ腫れてくるし、肌もちょっとこすり過ぎたりすると、乾燥してかゆくなる。
「年はとりたくないものだ」というけれど、それ以前に、ぼくはべつに、これ以上生きたいとも思わない。
といって、「死にたい」とも思わないから、とりあえず生きている。
神様が、「もう死んでいいよ」と言うまでは、いちおうは生きるつもりである。
体を温めるものとなると、やはり「辛いもの」は欠かせない。辛いものの代表となれば、日本人にとっては「カレー」だろう。
カレーはすでに、日本人の「国民食」となっており、だいたいみんな、週に一ぺんくらいはカレーを食べるのではないだろうか。
かく言うぼくもカレーは好きで、立ち食いそば屋などの安いカレーでも、「うまい」と思うたちである。
しかしこのカレー、日本の食文化を大きく破壊しているのである。
もちろんカレーに罪はない。問題は、「ルウ」なのだ。
カレールウは市販のものが色々あり、これを使えば難なくおいしいカレーができる。
このことが、「料理をわからなくしている」と思うのである。
まず一般的な言い方をしても、カレールウには何が入っているかわからない。何が入っているかわからないものを使って料理をすれば、何を作っているかもわからなくなるだろう。
だからカレールウを使ってカレーを作っている人は、「カレー」について何も理解していない。これはまちがいないことだ。
しかし問題は、それにとどまらないのである。
カレールウを使ってしまうと、「料理」そのものについて、わからなくなると思う。
それを象徴するのが、「煮時間」だ。カレーの箱には、かならず「20分煮る」と書いてある。
しかしこの「20分の煮時間」など、世の中でほかにはない。
カレーの箱にだけ、存在するものである。
たとえば肉じゃがなどなら、煮時間は「10分」だ。それ以上煮てしまうと、肉は硬くなり、ジャガイモは煮くずれる。
西洋などなら、肉の煮時間は牛肉などなら4~5時間。いったん硬くなった肉をやわらかくするのには、そのくらいの時間がかかるからで、ジャガイモなどの野菜は最後に追加することになる。
それではなぜ、カレーの箱には「20分」と書いてあるのかといえば、肉と野菜のだしを取るためなのだ。
これはカレーを、市販のカレールウを使い、10分煮て作ってみればわかることで、まったくうまみがないものが出来上がる。
肉や野菜をおいしく食べることを考えるのなら、日本式に煮時間は10分にして、そのかわりにカレールウにだしを入れるか、だしを入れないのなら、西洋式に肉は数時間煮て、野菜を最後に追加するようにするか、どちらかにすべきである。
そのどちらもしないのは、だしを入れるとルウの値段が高くなり、また数時間煮させると手間がかかって、「カレールウが売れないから」ではないだろうか。
いわば「企業の論理」で、料理本来のやり方をねじ曲げているわけだ。
それが「20分の煮時間」なのである。
よく肉じゃがで、ジャガイモを煮くずれさせる人がいるだろう。
ジャガイモを煮すぎるのは、「カレールウの悪影響」だとぼくは見ている。
というわけで、ぼくはカレーを作るのに、市販のカレールウは使わない。
カレー粉から作っても、大した手間がかかるわけでもなく、また和風だしを利用すれば、煮込む必要がなくなるから時間もそれほどかからない。
カレーを作るのに「和風だし」を使うのは、とてもオススメなのである。
カレーを本式に作ろうと思えば、まず玉ねぎをじっくり炒め、さらにコトコト長い時間煮込まないとおいしくならない。
しかしこの2つのことは、どちらも「うまみを出すこと」が目的だ。
このうまみを、和風だしと調味料でおぎなってしまうから、炒めなくても、煮込まなくても、十分おいしくなるのである。
といって和風だしを使ったカレーが、「和風カレー」になるかといえば、そうではない。
「ふつうの洋風カレー」になるから、不思議なものだ。
まず「おでんだし」を作る。
3カップ半の水で昆布と削りぶしを煮出し、3カップのだしを取る。ここに、酒とみりん、淡口しょうゆそれぞれ大さじ3ずつを入れる。
だしを取っているあいだに、カレールゥを作る。
フライパンを弱めの中火にかけ、
- オリーブオイル 大さじ2
- S&Bカレー粉 大さじ2
- 小麦粉 大さじ2
- 豆板醤 小さじ2
を5分くらい、じっくり炒める。
きのうは「鍋」だったから、あまりトロミがつき過ぎないよう、小麦粉は少なめにしたが、この小麦粉を大さじ4入れれば、ふつうのカレーくらいのトロミになる。
豆板醤は、辛いのが好きだから入れたので、入れなくても問題ない。
おでんだしをフライパンに少し入れ、できたルウをよく溶きのばしたら、鍋に入れる。
さらに、おろしショウガ・大さじ2と、味をみて塩・少々をくわえる。
ここにあと、トマトの酸味が加われば、完璧なカレー味になる。
きのうはカレールウを入れてから、肉と野菜を煮込んだけれど、汁にトロミがあると、火が通りにくくなる。
次にやるときには、おでんだしで肉と野菜を8割がた煮込み、最後にルウをいれてさらに少し煮るようにするつもりだ。
きのうは肉を、鶏つみれにした。
- 鶏ひき肉 200g
- 青ねぎみじん切り 大さじ2
- 香味野菜(きのうはセロリの葉)のみじん切り 大さじ2
- 溶き卵 2分の1個分
- 酒 小さじ2分の1
- 淡口しょうゆ 小さじ2分の1
- 塩 小さじ4分の1
- 片栗粉 大さじ1
を、粘り気がでるまでよくこねる。
鶏つみれを入れたのは、鶏肉を入れたかったけれど、スーパーにはひき肉しかなかったからだ。
でもつみれにすると、長く煮込んでも硬くならないから、鍋などに入れるにはおすすめだ。
カレースープに、こねたタネをスプーンでまとめて入れていく。
さらにきのうは厚揚げ、くし切りの玉ねぎとキャベツをいれ、キャベツがやわらかくなるまで、弱火で20~30分煮た。
キャベツがやわらかくなったら、くし切りにしたトマト・中1個をいれる。
トマトがしんなりすれば、もう食べられる。
青ねぎをかけて食べる。
バッチリうまい。
ショウガに豆板醤もたっぷりと入れたから、温まることこの上ない。
そしてシメは、やはりカレーうどんである。
あとは、春菊のからし和え。
サッと塩ゆでし、水にとってよく絞った春菊を、ちりめんじゃことからし、しょうゆで和える。
コンニャク炒り煮。
スプーンでちぎったコンニャクをフライパンでから炒りし、水気が飛んだら、酒とみりん、しょうゆそれぞれ大さじ1づつをいれて、さらに汁気が飛ぶまで煮る。
酒は、焼酎水割りにした。
カレーは口の中が辛くなるから、冷たい飲み物がやはりいい。
「市販のカレールウもおいしく出来るよ。」
そうなんだよな。
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