きのうは豚の肉豆腐。
寒くなってきたら、やはり「鍋」なのである。
きのうから急に冷え込んできて、最高気温の予報は9度。もう真冬のいきおいだ。
また京都が寒いのだ。
湿度が高いせいだろう、気温がおなじでも寒く感じる。
広島などの最高気温3度より、京都の9度の方がぜんぜん寒い。
そうなってくると、もう温かいものしか食べる気がしなくなる。
となれば、「鍋」だ。
煮えたものをすぐ食べるから、温まることこの上ない。特にこちらは、食事は酒を飲みながら、ちんたら時間をかけるから、料理が冷めないのもありがたい。
「鍋に熱燗」とそろえれば、暖房は不要である。
ところでこの「鍋」、日本人は特に好きなのではないだろうか。
スープ料理はもちろんどこの国にもあるが、ヨーロッパなどだと、テーブルで煮ながらは食べないだろう。
中国や韓国などアジアでは、もちろん鍋は色々ある。
でもたとえば日本の中華料理屋で、鍋物がメニューにあるのは、「火鍋」などを除いてはあまりないのではないか。
まあ世界のことはよくは分からないけれど、「鍋好き」は日本人の「特徴」ともいえるのではないかと思うのだ。
ほかにも日本人が、「特に好き」と言われているものがある。
まずは風呂。
フランスなどでは、王侯貴族でも風呂に入らないのは普通だったとのことで、そのため香水が発達したそうだし、韓国や、あとぼくが行ったことがあるのは台湾だが、家にバスタブがなく、シャワーだけで済ませる人も少なくない。
それから酒。
日本人が「酒に寛容」とは、つとに言われることだろう。
鍋と風呂と酒、これらに共通するのは、「体を温める」ことである。
日本人は、体を温めるため、これらが「必要」なのではないかと思うのだ。
それは世界で日本人だけが、「肉とニンニク」を食べてこなかったからだとぼくは見ている。
肉とニンニクが体を温めることといったら、半端ない。これらを日常的に食べる人は、それで十分温まるのだろう。
でも日本人には、それらを食べることが許されなかった。
そこでそれを補うため、鍋や風呂、それに酒を好むようになったのではないか。
もちろん以上は、ただ思いつきで言っている、いい加減な話である。
しかし料理をしながら、「文化」について、とりとめもなく考えるのも、料理の大きな楽しみなのはまちがいない。
きのうはそれで、鍋にすることにした。
豆腐と豚肉が買ってあったので、「豚の肉豆腐」。
肉豆腐は一般には鍋にはせず、ふつうの一品料理にするが、鍋にして悪いことはない。
ただし豆腐にスがはいり、肉は硬くなるから、「絶対に煮立てない」のがコツである。
だしは昆布と削りぶしでとり、うすい味をつけることにした。
昆布だしで煮て、ポン酢で食べるのは手軽だが、やはりせっかく鍋に長くいれておくなら、だしにきちんと味をつけ、豆腐に味がしみるようにした方がいい。
豚肉は、煮立てて火を止めた熱湯で湯通しする。
昆布と削りぶしのだしを3カップ分とり、酒とみりん、淡口しょうゆそれぞれ大さじ3ずつで味をつける。
ここに豆腐と豚肉、しめじとネギをいれ、あとは卓上のコンロにかけ、煮立てないようにしておいておけばいいわけだ。
おけばおくほど、豆腐に味がしみていく。
やはり味がバッチリしみた、プリプリの豚肉もたまらない。
あとは、卵かけご飯。
だしで煮た豚肉には、卵かけご飯が最高に合うのである。
大根の梅酢あえ。
細く切って塩もみし、水洗いしてよく絞った大根を、砂糖と梅酢であえる。
セロリの葉とだし殻のじゃこ炒め。
セロリの葉とだし殻の昆布と削りぶしを、ゴマ油とちりめんじゃこ、輪切り唐辛子でじっくり炒め、酒とみりん、淡口しょうゆそれぞれ大さじ1ずつで味つけし、さらに炒めて水気を飛ばし、ゴマをふる。
酒は、熱燗。
幸せは、「鍋に熱燗」に尽きるだろう。
「気楽だね。」
ほんとにな。
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