鶏肉と大根の煮物。
大根は野菜の王者である。
◎いよいよ本日!
おっさんひとり飯 サイン会
時間 20時~22時
場所 四条大宮スピナーズ(大宮通蛸薬師上る東側)にて
※ 本の即売もします。
「自炊隊」は、献立にほんとに影響をあたえるわけで、このところ大根の煮物が立て続けに出ていたから、ぼくもそれが食べたくなった。
「冬といえば大根」なのは、言うまでもないことで、コトコト煮られて味が芯までしみた大根のうまさは格別だ。
しかもこの大根、相手を選ばないのがエライ。
ほうれん草などのように、肉と卵、油あげくらいしか合うものがない、ワガママな野菜が多い中、大根は、肉であろうが魚であろうが、その他大勢の野菜であろうが、何でもきっちり合わせてくる。
といって、ただ味を吸い込むだけの、相手まかせな態度ではない。辛味やほろ苦み、甘みなど、自分なりの味をきちんと持ち、それだけで食べてもうまい。
料理の仕方も、煮るのはもちろんのこととして、漬物や干物、おろして薬味にもなれば、生でサラダとしても食べられる。
味付も、和風のうす味、濃い味はもちろんのこと、中華料理の主要食材であるのは言うまでもなく、カレーに大根もいけるそうだ。
大根の歴史は古く、日本最古の歴史書『古事記』に、すでに登場するという。お寺での炊き出し「大根焚き」も、鎌倉時代から始まっているそうだ。
このように、その用途の幅広さ、歴史の古さから見て、大根は、他の野菜の追従を許さないといえるだろう。
魚の王者が「鯛」、貝の王者が「はまぐり」であるように、「野菜の王者は大根」と言って、差し支えないと思うのである。
といって大根は、値段も安く、「大根足」のように蔑称に使われるなど、イモっぽいところもある。
気取らずに親しみやすいのも、大根のエライところだ。
きのうはこの大根、鶏肉と煮た。
自炊隊で見たからだ。
鶏肉と大根だけでも問題はなかったが、冷蔵庫にがんもどきと小松菜があったから、それも入れた。
うす味に仕立ててどんぶりに入れれば、吸物代わりにもなっていい。
肉をしょうゆで煮る場合、和風だしを使わないと、間の抜けた味になる。
それから火は、「決して煮立てない」ように加減するのがポイントで、そうすれば、肉がパサつくことはない。
だしはほんだしでもいいけれど、自分で取れば100倍うまいのは言うまでもないことだ。
鍋に4カップ半の水と10センチ長さくらいのだし昆布を入れ、火にかける。
沸いてきたら弱火にし、煮立てないようにしながら10~20分、昆布の香りが立ってくるまでゆっくり煮出す。
つづいて削りぶし、ミニパック8袋分を、鍋に据えたザルに入れる。
そのまま弱火で2~3分に出したら、ザルを引き上げ、お玉の腹で汁気を絞る。
だし殻は、炒め物のだしにするなり、そのまま一味ポン酢をかけ、料理中の酒の肴にするなどできるから、捨ててしまうのはもったいない。
だしを取っている最中に、大根も下ゆでする。
冬の大根はやわらかいから、皮をむく必要はまったくない。
1~2センチ幅に切り、しっかりと煮立てながら、竹串がスッと刺さるまでゆでる。
鶏肉も、湯通ししておく。
煮立てて火を止めた湯でしゃぶしゃぶし、湯を捨てる。
出来上がった4カップのだしに、
- 酒 大さじ4
- みりん 大さじ4
- 淡口しょうゆ 大さじ4
で味付けする。
大根と鶏肉、お湯をかけて油抜きしたがんもどきを入れ、30分くらい、煮立てないようにしながら煮る。
30分たったら火を止めて、そのままフタをしてゆっくり冷ませば、さらに味がしみていく。
煮ている最中に、ざく切りにした小松菜も、さっと塩ゆでして水で冷やし、絞っておく。
食べる直前に煮物を火にかけ、小松菜を入れて温めたら器に盛る。
煮汁もたっぷりと注ぎ、青ねぎと一味をかける。
ほっくりとやわらかく、味がしみた大根は、しみじみうまい。
あとはだし殻を、ちくわにキムチと一緒に炒めた。
フライパンにゴマ油を引いて、まずキムチ、それからだし殻とちくわを炒め、青ねぎを振り、淡口しょうゆしょうしょうで味付けする。
それから、ぎんなんご飯。
ぎんなんは、「ドライパック」のやつを使った。
普通に水加減した米に、ぎんなんと、塩・1合の米に対して小さじ2分の1を入れ、普通に炊く。
ナスのツナマヨあえ。
「露地物のナスはこれで最後」と、八百屋で聞いたから買ってきた。
ナスはトラ刈りに皮をむき、5ミリ幅くらいに切って塩もみし、5分くらい置いて水で洗い、よく絞る。
青ねぎに、ツナとマヨネーズ、味ポン酢、塩コショウで和える。
一味ポン酢の冷奴。
酒は、熱燗。
毎晩毎晩、うまいものばかり食って、「時間がない」とつまらないものしか食えない奴には、本当に申し訳ないことだ。
「時間をかけ過ぎるのもどうかと思うよ。」
そうだよな。
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