マーボーは、陳建一とかのレシピを見ると、まあ豆板醤くらいは買うとしても、そのほかに甜麺醤(テンメンジャン)だの豆鼓(トウチ)だの、さらには花椒(ホアジャオ)だのの中国調味料が出てきて、マーボーなどそうそう何度も作るわけでもなし、調味料を買ったはいいけれど、冷蔵庫の肥やしになるのは目に見えているわけで、いきなり敷居が高くなる。
でも実は、豆板醤以外の中国調味料は一切不要で、甜麺醤と豆鼓は八丁味噌またはしょうゆ、花椒は粗挽きコショウで完全に代用できる。
要は和風の味つけに、ニンニクと唐辛子、それにゴマと酢・コショウを加え、クセをつけて甘辛酸っぱくしたものだと考えればいいのである。
特におすすめなのは、しょうゆ味。サッパリとし、ご飯ばかりか酒にも合うことこの上ない。
これをさらに「汁なし」にすると、作るのはさらに簡単で、しかもウマイものになる。
この汁なしマーボー、要は「ドライカレーの中国版」みたいなもの。まあ中国では元々マーボーには汁がなく、陳建一あたりが汁気たっぷりにしたみたいだから、元に戻ったともいえる。
入れる具についてはまだ研究中ではあるのだが、「ほうれん草」がうまいのは間違いない。汁なしマーボーは煮込まないから、炒めただけで柔らかくなるものが適している。
おまけにこのほうれん草、ココイチなどでカレーのトッピングになることからも分かる通り、辛みがあり、わりとクセがある味にとても合うのだ。
ゆでたうどんに乗せて「混ぜうどん」にするのもいいし、先日はこれをどんぶりにしてみたが、言うまでもなくウマかった。
作るのは非常に簡単。ひき肉をじっくり炒め、調味料を加えてさらに炒め、ほうれん草を入れてさっと炒めるだけだから、時間も大してかからない。
ポイントは、ほうれん草を炒め過ぎないこと。炒め時間は「1分」くらい、ほうれん草が「シュン」となったら炒め終わるようにする。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ2
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- ショウガ 1~2センチ大 (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
- 長ねぎ 5センチくらい (みじん切り)
- 豚ひき肉 150グラム (べつに100グラムでもいい)
を入れて強めの弱火くらいにかけ、5分くらい、水気が「ジュージュー」と弾ける音が収まってくるまでじっくり炒める。
続いて、
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- コショウ 1~2振り
を加え、さらに2~3分じっくり炒めて肉に味を含ませる。
ほうれん草・1把(ざく切り)を加え、中火にして1分炒める。
「シュン」となったら火を弱め(=弱めの中火)、
- 片栗粉 小さじ1
- 水 小さじ2
の水溶き片栗粉を混ぜながら加えてトロミをつけ、
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
を加え、ひと混ぜして火を止める。
ご飯をよそった皿に盛り、粗挽きコショウをたっぷりかける。
酒もご飯も、いくらでも進んじゃいますから。