きのうは、中華風・常夜鍋。これは、ヤバイ。
ニンニクにハマっているのである。ずっぽりと、ハマっている。
いやはじめに言い訳をしておけば、ニンニクを料理に入れると、翌日、じつに体調がいいのである。体がポカポカと温かいのが、一日つづく。
50を過ぎると、体を温め、いかに疲労を回復するか、考えないと生きていけない。その点、ニンニクは非常に頼りになるということはある。
しかしそれだけではなく、ニンニクについて、妄想を持ち始めているわけだ。
「日本の、味の濃い料理・肉をつかった料理はすべて、ニンニクを使ったらうまいのではないだろうか、、」
日本人は、肉食とニンニクの使用を長年禁じられてきた。使いたくても使えなかったから、日本の料理は、材料は魚中心、それを淡い味で味つけするようになっていると言えるだろう。
でもそれならば、肉とニンニクが禁止されなかったとしたら、日本の料理はどんな風になっていたのか。
これはもちろん、答えは、ない。歴史に「if」はないのだから、「されなかったとした」世界など、考えることはできない。
その考えることができない世界を、見てみたくなってしまったわけで、初老男の妄想ほど、手に負えないものはない。
それでこのところ、日本の料理にニンニクや韓国食材を加えてみるという試みを、あれこれとくり返しているわけだ。
きのうは、常夜鍋。
これにニンニクを加えてみて、「中華風」と洒落こんだ。
しかし「中華風・常夜鍋」とは、本当は語義矛盾。もともと常夜鍋は中国の料理であって、それを魯山人が日本に伝えた。
中国では、常夜鍋にも当然ニンニクを入れるはず。なのでニンニク入りの常夜鍋とは、常夜鍋の本来の姿にもどすものであるともいえる。
ニンニクは、たたき潰したのを鍋に入れた。
ニンニク風味の煮汁で肉を煮るのが、うまくないわけはない。
それからつけ汁は、一つは、ぽん酢にラー油。
日本式なら一味を入れるところをラー油にし、やはりここは、ガツンと行く。
それからもう一つが、韓国式の唐辛子酢みそ、チョジャン。これがまた、中華風・常夜鍋のつけ汁としては最高だった。
チョジャンは、唐辛子入りみそコチュジャンに、砂糖と酢、それにゴマを加えたもの。甘辛酸っぱい、ぽん酢+一味を濃厚にしたような味で、蒸し豚のつけ汁としても使われる。
常夜鍋の、肉は豚肉。チョジャンに「合わない」というのがおかしいわけだ。
常夜鍋は、もちろん日本風の、シンプルなものもうまい。
しかしどうせやるなら、たいして手間がかかるわけでもなし、このニンニク入りの、中華風がおすすめだ。
一人用の鍋に、
- 酒 1カップ
- たたき潰したニンニク 1かけ
- たたき潰したショウガ 1かけ
- 水
を入れる。
常夜鍋は、酒をドたっぷり入れるのがコツだ。
入れるのは、まずは豚肉とほうれん草。でもそれだけだと寂しいので、きのうは油あげとシメジを加えた。
この常夜鍋に加える野菜は、油あげとシメジ以外はNGというのが、おれの考え。ほうれん草が、他の野菜との相性がよくないからで、豆腐もおいしくないと思う。
それからほうれん草は、サッとゆでたものを使う。そうしないと煮汁にほうれん草のアクが出て、せっかくの豚のスープが台無しになる。
チョジャンは、まずコチュジャンを適当な量、器に入れ、混ぜながら、すを適当な濃度(多少ゆるめ)になるまで入れる。
味をみて、ちょうどよくなるまで砂糖を加え、最後にひねり潰したゴマを、適当な量、加える。
あとは材料や道具をすべて移動し、食卓でやる。
煮汁が少なくなったとき、追加するための水も用意しておく。
常夜鍋のコツは、1度で食べきれる量だけ煮ること。
ほうれん草はまったく煮ないで、最後に入れて、すぐ火を止める。
まずは、ぽん酢+ラー油で食べる。
言うまでもなく、うまい。ニンニク味の豚肉だから、ちょうど餃子みたいな感覚。
それから、チョジャン。
これはヤバイ。
「何コレ、まじ?ウマ~~~!」
と、一人の部屋で、思わず叫んだ。
豚肉の鍋のばあい、ぽん酢と並んでごまダレが使われる。
でもごまダレより、チョジャンのほうが絶対に、断然うまい。
シメは、うどん。
この時点ではまだ、煮汁には味をつけず、煮汁は本日、飲み干す予定だ。
酒は、榮川。
この中華風・常夜鍋、欠点は、あまりに酒が進むこと。
鍋が元々、酒が進みやすいものである上に、この中華風・常夜鍋、味に適度な刺激があるから、最高に酒に合う。
それできのうは、いつにもまして飲み過ぎて、きょうはかなりの二日酔いになってしまったわけである。
「妄想癖の初老男で、さらに酔っ払いは最低だね。」
ほんとだな。
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