厚揚げとえんどう豆の卵とじで酒を飲んだ。
作るには、削りぶしは取り出さなくていいのである。
商店街でガッツリ買い出しをしたものが冷蔵庫にどっさり入っているから、着実に使っていかないといけない。
自炊をやり始めたころは、レシピに書かれているような紋切り型の料理しか作れないから、冷蔵庫に色々入っていることがストレスになり、買い物へは毎日行き、極力その日に使いきれる分だけ買うようにしていたのだが、今は冷蔵庫のあり物で献立を考えるのは楽しい。
料理は「考え方」があり、一旦それがつかめると、メニューはいくらでも考え出すことができる。レシピの料理を作っていても、その作り方の「意味」を考えてみることで、考え方にたどり着くことができると思うし、「達人」と思える人が作る料理を食べるのも学ぶことは多いだろう。
考え方は一つではなく、人によってもそれぞれ違うものだと思うが、大きいと思えることに、
「魚と野菜を組み合わせる」
というのがある。
特に日本食の場合には、ここから考えるのは強力だ。
きのうはまず、「あなご」がもう一尾残っていた。これは「酢の物」にすると決めていた。
「穴きゅう巻」があるくらいなのだから、あなごとキュウリ、それに酢の相性はいいだろう。
ただきのうはあると思い込んでいたキュウリが料理を作る段になってないことに気付いたので、レタスで代用することにした。
とはいいつつ、酢の物は、あなごに限らず魚介は幅広く合う。タコはもちろん定番だし、ちりめんじゃこや竹輪などの保存食品、ホタテやカニ、ハモ、などなど。
アジの干物の焼いたのなどを入れてもうまそうな感じがする。
野菜もキュウリ、わかめ、ミョウガはもちろん、レタスやセロリなども合う。
ちなみに上の酢の物は、食べやすい大きさに切ってフライパンでこんがり焼いたあなご、大きめにちぎって塩揉みし、水で洗ってよく絞ったレタス、ゆでわかめ、薄切りのミョウガを入れた。
砂糖小さじ3と酢大さじ3を入れ、よく混ぜてから、味を見ながら塩少々を加えていく。
さて冷蔵庫には「厚揚げ」も入っていた。焼いて食べるのが定番だが、それではサイドメニューになってしまう。
メインにするには、厚揚げはやはり「煮る」のがいい。冷蔵庫にはえんどう豆も入っていたから、これを組み合わせるのは黄金だろう。
さらに煮汁にとろみをつけ、卵でとじることにする。
こうすれば、メインとしても見劣りがしないだろう。
ただしこれでは、まだ考え足りないのである。「だし」を考えていないからだ。
日本食には、「魚の味」が絶対にないといけない。ていねいに作るとなれば、「昆布と削りぶしでだしを取る」のがいい。
でもそれでは、家庭料理としては面倒くさい。といってめんつゆや化学調味料を使うのではつまらない・・・。
だしを取るのが面倒なのは、一度入れたものを取り出さないといけないからだ。やはり家庭料理は一つの鍋で、材料を順番に入れればできるものがいい。
昆布は入れたまま煮て一緒に食べればいいとして、削りぶしは取り出さないといけないのか・・・。
それできのうは、削りぶしを入れたままにすることにした。
これが大変よかったのである。
削りぶしはおひたしなどに振りかけたりもするわけで、普通に食べられるものである。
だしを取るのに削りぶしを除くのは、吸物などは別として、完全に「見た目」だけの問題だろう。
鍋にだし昆布を敷き、食べやすい大きさに切った厚揚げ、サヤから出したえんどう豆、ヒタヒタとなるくらいの水、それにミニパック一袋分くらいの削りぶしを入れて中火にかける。
沸騰したら弱火にし、アクを取りながら2~3分煮てだしを取る。
入れた水が1.5カップなら、酒とみりん、淡口しょうゆを大さじ1.5ずつ入れ、落としブタをした15分くらい、えんどう豆が十分やわらかくなるまで煮る。
中火にし、片栗粉大さじ1くらい、水大さじ2くらいの水溶き片栗粉を混ぜながら少しずつ加え、好みの加減にトロミをつける。
溶き卵をトロトロとまわし入れ、フタをして、ひと煮立てさせて火を止める。
卵が半熟加減に固まったところで器に盛る。
一味をふって食べる。
味がバッチリなのはもちろん、トロミを付けていることもあり、見た目もまったく問題ない。
「家庭料理では出し殻を取り出さなくていい・・・」
これは間違いないだろう。
これを守りさえすれば、きちんとした材料を使いながらも、面倒なく、料理ができるわけである。
あとはとろろ昆布の吸物。
わさび醤油の冷奴。
酒は冷や酒。
きのうもこれを二杯飲んだ。
「別にめんつゆ使うのも悪くないよ。」
そうだよな。
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