厚揚げとえんどう豆の卵とじで酒を飲んだ。
これは削りぶしを取り出さなければ、作り方が大変シンプルになるのである。
ここ数日ガッツリと炭水化物を食べることが続いていて、体に不要な栄養がみなぎっている感じがした。仕事は座ってするからエネルギーは大していらないのである。
晩は軽いものが食べたいと思い、となれば「厚揚げ」だ。
豆腐屋で買い、冷蔵庫に入っているえんどう豆と煮ることにした。
トロミをつけ、卵でとじればメインディッシュとして十分だろう。
厚揚げとえんどう豆を煮るとなれば、やはり昆布と削りぶしのだしにうすく味を付けるのがいい。でもこの「削りぶし」をだしに使うのは、「面倒くさい」という気持ちも湧いてくる。
削りぶしは、だしを取ったら取り出すことになっている。これが軽くてフワフワするから網などでうまくすくい取ることができず、きれいに取ろうと思ったら、どうしてもザルにペーパータオルを使わないといけないからだ。
でもこれは、「取り出さなくていい」のだ。先日、やはりおなじ料理を作ったとき、削りぶしを取り出さずにやったけれども何も問題なかった。
あれは「見た目だけの問題なのだろう」と思う。料理屋などなら汁に削りぶしが漂っているのは問題があるだろうが、家庭料理はやはり「手間がかからない」ことが大事ではないかと思うのである。
実際の話、削りぶしを取り出しさえしなければ、料理の手順はとてもシンプルなものになる。材料を入れて火にかけ、煮えるあいだに次の材料を用意して、またそれを入れ・・・、となり、下ごしらえがほとんどいらず、料理ができるまでの時間と火を使っている時間とがほぼ同じになることも多いだろう。
やはり家庭料理は、そうでなくてはいけない。
それを変に気取って、削りぶしを取り出すことにしてしまったから、ここまで化学調味料がはびこることになったのではないかとすら思う。
などと考えながら、厚揚げとえんどう豆の煮物を作りはじめるのである。
下ごしらえはまったく必要なく、ただ順番に材料などを入れていくだけで出来てしまう。
まず鍋、きのうは小さなフライパンを使ったのだが、ここに5センチ角くらいのだし昆布とミニパック1袋分の削りぶし、それに水2カップを入れて中火にかける。
煮立ったら弱火にし、サッとアクを取って2~3分煮てだしを取る。
だしを取っているあいだに、アク取りの合間を見ながら厚揚げを1センチ厚さくらいに切り、えんどう豆をサヤから出しておく。
水は最終的に、煮詰まって1.5カップくらいになると判断し、酒と淡口しょうゆ大さじ1.5ずつ、みりん大さじ0.5と、厚揚げ、えんどう豆を入れる。
落としブタをし、10分ほど、えんどう豆がやわらかくなるまで弱火で煮る。
煮ているあいだに大さじ1の片栗粉を大さじ1の水で溶いておき、火を中火にした上で、それをスプーンで少し入れては混ぜ、としながらトロミをつける。
最後に溶き卵を箸を伝わらせて少しずつまわし入れる。
フタをして、ひと煮立ちさせたら火を止めて、卵を蒸らし固める。
おろしショウガを天盛して食べる。
やさしい味で、酒が進むのである。
あとはキュウリの梅ダレがけ。
キュウリはすりこぎで叩いてひと口大にちぎり、一つまみの塩を揉みこんで、ちょっと置いてから水で洗い、水気を拭きとる。
梅肉と、おなじ量くらいの削りぶしを包丁でよくたたき、みりん少々とほんのちょっとの淡口しょうゆで溶きのばしたものをかける。
それからとろろ昆布の吸物。
おとといの和風ナスミート。
おばさんの古漬け。
酒は冷や酒。
このごろは、食べる前に焼酎水割りを4杯飲み、食べながら酒を2杯飲むというペースである。
「炭水化物だけじゃなく酒も控えればいいのに。」
そうだよな。
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