炊き込みご飯は、多少のコツは必要だけれど比較的簡単で、ご飯とおかずがいっぺんに出来てしまう上豪華にも見え、さらにうまい。
ひとり飯には打ってつけなのである。
仕事から帰り、それから料理を作るとなると、やはり「手軽である」ことは大事である。
もちろん侘びしくなるのは嫌だから、ある程度の手はかけるわけだけれども、「いっぺんに出来る」ということは、「手軽さ」の一つの意味になるのではないだろうか。
その点、炊き込みご飯は手軽である。
鍋に材料を入れてしまえば、あとは30分ほど待つだけで、ご飯とおかずが一度にまとめて出来てしまう。
具の味がご飯にしみ、うまいのはもちろんのこと、土鍋で炊いて、そのまま食卓へ出してしまえば豪華にも見える。
ひとり暮らしの料理には、まさに打ってつけだと思うのだ。
炊き込みご飯には、かなりのバラエティがある。
まずは「炊き込みご飯」と言われて思い出すのは、鶏肉が入ったやつではないかと思うけれども、魚介は何でも、炊き込みご飯の具にできる。
白身魚はもちろんいいし、昨日はサンマを使ったのだが、青魚も問題ない。
アサリやイカも、大変うまい。
ピラフやパエリアなど洋風にもできるし、まだやったことはないけれど、中華風もイケそうだ。
手を替え、品を替えていけば、そう飽きることもないのである。
というわけで、サンマの炊き込みご飯だが、魚を炊き込みご飯に入れる時には、「焼く」ようにするのがポイントだ。
炊き込みご飯は、炊いている間にアクを取れないから、どうしても臭みが出てしまいやすい。
焼くと臭みがぬける上、香ばしくなって味もよくなる。
サンマも頭を落としてワタを抜き、よく洗って水気を拭きとり、一つまみの塩を振って3センチ幅ほどのぶつ切りにし、軽く焦げ目がつく程度にサッと焼く。
それから米は、炊き込みご飯の場合には、研いだらザルに上げておくのがいい。
たぶん浸透圧の関係なのだと思うけれども、味をつけた水は米の表面を乾かしたほうが、吸い込みが良くなるみたいだ。
鍋に5センチほどのだし昆布と、米は1カップ、ささがきにして水にさらしたゴボウ、細く刻んだ油揚げ、それにサンマをならべ、大さじ1ほどの細切りにしたショウガを振りかけ、水1カップ、酒とみりん、うすくち醤油をそれぞれ大さじ1ずつ入れて、フタをする。
中火にかけ、湯気が勢いよく出てきたら弱火にし、10分炊いて、土鍋の場合だったらそのまま火を止め10分蒸らす。
金属製の鍋の場合、すぐに火を止めると温度が下がりすぎるから、一旦弱火よりさらに弱い、消える寸前の火加減にして5分蒸らし、さらに火を止め5分蒸らす。
炊き時間の「10分」は、この水加減なら少しオコゲができるくらいの時間である。
炊き込みご飯は、フタをとる時が楽しみだ。
ゴボウとショウガ、それにサンマのいい香りがする。
青魚は味が少しクドいから、薬味をあれこれ入れるのがいい。
茶碗によそい、サンマはご飯の上に乗せ、自分で骨を外しながら食べる。
さらに炊き込みご飯は、日本酒にもよく合うのである。
あとはとろろ昆布の吸い物。
冷奴。
自家製の、梅干しとらっきょう。
「炊き込みご飯は氷水を入れて、お茶漬けみたいにして食べてもいいんだよね。」
そうそう、それがまたうまいんだよ。
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