スーパーに買い物にいったらあさりが目に付いた。あさりはとりたてて今がシーズンというわけではない。でも年中比較的おいしく食べられる魚介の一つであるわけで、いま食べたってもちろんいい。
食べ方は、もちろんチャンプルー。あさりは豚肉との相性が大変よく、ソーセージと炒めたり煮たりすると、非常にウマイ。スパムとだって、文句なく合うはずだ。
そこに加える野菜は、ブロッコリー。ブロッコリーはイカと炒め合わせるのが定番であることからも分かる通り、魚介と相性がよいのである。
これをいつもの通りオリーブオイルとニンニクで炒め、オイスターソースをちょこっと入れた塩ベースの味をつければ、これはうまいに違いない。
さらにトロミをつけてご飯に添えれば、完璧といおうものである。
ただしこれが「チャンプルー」であるのかどうかは考えどころだ。まず、あさりとブロッコリーのチャンプルーは、沖縄の料理にはたぶんない。
ならばチャンプルーの定義を思い切り拡大解釈するとして、「スパムを使う」ことは当てはまる。「味つけは基本は塩+だしの素(またはかつお節)でしょうゆを加えることもある」のは、オイスターソースがしょうゆとかつお節を兼ねたようなものだから、これもOK。
しかしチャンプルーの定義として、「卵または豆腐を入れる」ことがあるのではなかろうか。あさりとブロッコリーを炒めるのに卵は不要、豆腐は悪くない気もするが、ない方がスッキリする。
「もしかしてこの料理は、チャンプルーとは呼べないのではないか……」
僕は真剣に、悩みに悩んだ。
嘘である。
しかしいずれにしてもこの炒め物は、オリーブオイルとスパムを使うから中華ではないのはたしか、朝鮮風でもないし、酒やみりん、オイスターソースを使うから洋風でもない。
あえて言えばチャンプルーに近いわけで、ならばチャンプルーでいいのである。
作る場合に気を付けないといけないことは、あさりは殻を開くとき、かなりの量の塩水を吐き出すこと。スパムにも塩気があるから、塩は控えめにしておくことが必要だ。
作り方
まずは、
- あさり1パック(200グラムとか)
を、
- 水 2分の1カップ
- 塩 小さじ2分の1
くらいの塩水に30分~1時間つけておく。あさりが砂を吐き出したら、両手で殻をガシガシとこすりながら、水を4~5回替えてよく洗う。
フライパンに、
- オリーブオイル 大さじ1
- ニンニク 1かけ(みじん切り)
- 減塩スパム 80グラムとか(4分の1缶)
を入れて中火にかけ、2~3分、スパムにかるく焼き色がつくまでじっくり炒める。
- 水 1カップ
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- オイスターソース 小さじ1
を加えて煮立て、そのまま1~2分煮て味をなじませる。
- 洗ったあさり
- ブロッコリー 2分の1株(ふさの部分だけ切りとって、ふさが大きければ半分に切る)
を入れてひと混ぜし、フタをしめて2~3分、ときどき揺すって上下を返したりなどもしながら、あさりの殻が全部ひらくまで蒸し焼きにする。
- 片栗粉 大さじ1+2分の1
- 水 同量
の水溶き片栗粉を、混ぜながら少しずつ入れてトロミをつけ、火を止める。
ご飯を盛った皿によそい、粗挽きコショウをたっぷりかける。
これはウマイ……。
スパムとあさり、ブロッコリーの三位一体攻撃は、とても防げるものではない。必死で防戦したものの、僕は8,984回死んでしまった。
しかし返す返すも後悔したのは、このあさりとブロッコリーのチャンプルーが、どう考えても酒との相性も最高であるにもかかわらず、「昼だから」というだけの理由で酒を飲まなかったこと……。
こんなことをしているから、僕はいつまでたってもウダツが上がらないままなのだ。
「関係ないから」
そうだよな。