ニシンとなすの炊き合わせで酒を飲んだ。
ニシンとなすの炊き合わせは、そうめんまで煮て、煮汁を余さず使い切るのである。
ニシンを買ってあったので、なすと炊き合わせることにした。
ニシンは、京都名物といえるだろう、「にしんそば」は知られているし、ニシンとなすの炊き合わせは酒房京子でもよく出てくる。
ニシンとナスを炊き合わせるには、ニシンとなすは別に煮るのである。ニシンはコッテリとしたのがうまいし、なすはうす味で炊き上げるのがいい。
ニシンの甘辛いのを齧り、つづいてうす味の汁を含んだなすを口に入れると、思わず「ホッ」と癒される。
この、食べながら心を動かされることは、食事の大きな楽しみの一つだろう。京都の人は、料理にうまいこと変化をつけて、心の動きをいざなうのがうまいとつくづく思う。
さらにきのうは、そうめんを添えることにした。なすの煮汁が残るのである。
この煮汁でさらにそうめんまで煮れば、ニシンの煮汁を余すことなく使い切ることができる。
ニシンは「ソフトニシン」を使う。身欠きにしんはカチコチに干し上げられていて、一晩かけて戻さないといけないが、ソフトニシンは半生で、戻さずに使うことができる。
ニシンは食べやすい大きさに切り、サッとゆでてアクを抜く。
つづいて5センチ角くらいのだし昆布を入れた鍋にならべ、水2カップ、酒とみりん大さじ4、砂糖大さじ2を入れ、強火にかける。
煮立ったら、軽く煮立つ火加減にして2~3分煮て、さらにしょうゆ大さじ3を入れて2~3分煮る。
この時点で、ニシンのだしは、煮汁に出ているわけである。そこでこの煮汁をナスを煮るのに使うために、だいたい半分、量にして4分の3カップくらいになると思うが、別の鍋に取り分ける。
ニシンの方は、落としブタをし、火加減は強めの中火、落としブタの下まで煮汁がきちんと上がってくるようにしながら、煮汁を煮詰める。
時間にして4~5分だと思うけれど、煮汁が3分の1ほどになり、ややトロッとしてくるまで煮るのである。
取り分けた煮汁は、同量の水でうすめ、たぶんちょっと甘すぎると思うから、味を見ながらしょうゆ小さじ1ほどを足す。
この煮汁で、1~2センチ厚さに輪切りにし、サッと1~2分、水で下ゆでをしたなすを煮る。煮時間は5分くらい、煮過ぎて煮くずれないよう気をつける。
さてニシンとなすは、最低でも15分くらいは、鍋に入れたまま冷まし、味をしみさせる。そのあいだに別の料理に取り掛かればいいのである。
その上で、ニシンとなすを器に盛り、ニシンとなすにそれぞれの煮汁を少しかけたら、残ったなすの煮汁でそうめんを煮る。
そうめんは、乾麺のまま煮汁に入れてしまってかまわない。1分~1分半ほど煮るうちに大量の煮汁を含むから、そうしたらニシンに添え、上から煮汁を少しかける。
七味、さらに好みで粉山椒をかけて食べる。
こうして少し手をかけ、ていねいに作ると、味は格段にちがうのである。
あとはしじみの赤出し。
しじみは、肝臓の強い味方だ。
しじみ200グラムは、海水よりちょっと薄いくらいの塩水に1時間ほどひたし、砂出しをしておく。両手でガシガシとこすってよく洗い、5センチ角くらいのだし昆布を入れた鍋に入れる。
水を2カップ、酒大さじ2を入れ、中火にかける。出てきたアクを取り、殻が全部開いたら火を止めて、赤出しみそ(八丁味噌)大さじ2ほどを溶き混ぜる。
たっぷりの青ねぎと一味で食べる。
それから前日のキュウリとわかめのツナマヨに、トマトを加えたもの。
キュウリは塩もみをして水気を抜いたから、一晩の持ち越しは余裕でアリだ。トマトも切ってから、「チュッ」と種を吸い取って入れると、水っぽくならなくていい。
3日目のトマトの豚ジャガ。
これはきのうで食べきった。
酒は冷や酒。
きのうも酔って、ツイッターでつぶやきまくった。
「相手にしてもらえてありがたいね。」
ほんとにな。
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