食事を作りはじめる前に、何を食べるか考えあぐねた。
その結果、タコめしに鶏肉の吸物と、ようやく決まったのである。
スーパーで、鶏モモ肉とタコを買ってあったのである。その時点では、鶏肉は焼き、タコは酢の物にしようと思っていた。
鶏肉を、塩だけ振ってじっくり焼き、皮をパリパリにしたのにレモン汁でもかけて食べるのは、鶏肉の最もおいしい食べ方の一つといえるだろう。タコも、酢の物は黄金ともいえるメニューだ。
しかし、いざ腹が減り、「めしを作ろう」という段になると、話が変わってくるのである。
ご飯物が食べたい気がしてきたのだ。酒を飲むから、食事は肴が基本なのだが、ご飯物も一日おきくらいのペースで食べたくなる。
酒に合うご飯物となれば、まずは簡単なのは、炊き込みご飯。タコがあるなら、「タコめし」という手もある。
ところがそう考え始めると、今度は「鶏めし」が急浮上してきた。ぶつ切りにした鶏を、油あげ、ゴボウと炊くのがまたうまいのだ。
それからしばらく、タコめしと鶏めしのどちらを食べたいのか、考えあぐねることとなった。
どちらも甲乙つけがたい。どうにも決め難かったのだが、冷蔵庫に前日の豚ジャガが残っていることを思い出した。
豚肉があるとなると、メインが肉なのはかぶり過ぎだろう。
決着は、タコめしにすることと相成った。
それなら鶏肉をどうするかを考えないといけない。
しかしこれは、油あげと一緒に吸物にすると、わりとすぐ決まった。
あとは作り方である。タコめしは、タコの味は淡いから、具をあまりゴテゴテ入れず、シンプルにタコだけ炊くのでいいだろう。
あとは鶏肉の吸物に、削りぶしのだしを使うかどうかが考えどころとなる。
豚や牛なら、削りぶしのだしがないとしょうゆに合わない。でも鶏は、豚や牛よりは魚に近いからだろう、ショウガでも一かけ一緒に放り込んでおけば、削りぶしなしでも行けるのだ。
九州では、雑煮のだしを鶏ガラで取るところもある。これが削りぶしのだしとまたひと味ちがい、ほっこりとしてうまいのである。
タコめしは、土鍋に5センチ角くらいのだし昆布を敷き、研いで15分ほど置いた米1カップ、それにぶつ切りにしたゆでダコ100グラムくらいを入れる。
水1カップ、酒と淡口しょうゆ大さじ1、みりん小さじ1、塩小さじ4分の1を入れ、中火にかける。
湯気が勢いよく出てきたら、弱火にして10分炊く。
湯気のにおいを嗅ぎ、おこげの気配がしてきたところで火を止めて、10分蒸らす。
フタを開けると、タコの香りがぷんとする。
わさびを乗せて食べる。
ほんのりとした味が、しみじみうまい。
次に鶏の吸物は、鍋に5センチ角くらいのだし昆布、ぶつ切りにした鶏モモ肉150グラムくらい、たたき潰した親指の先くらいの大きさのショウガ、水2カップを入れて火にかける。
煮立ってきたら弱火にし、アクを取りながら10分煮る。
酒と淡口しょうゆ大さじ2、みりん小さじ2で味をつけ、食べやすい大きさに切った油あげを入れて、2~3分煮る。
青ねぎをかけて食べる。
鶏のだしがしっかり出て、これは抜群の味である。
あとは酢ダコに使おうと思って買ったキュウリを、わかめ、ミョウガと合わせてツナマヨにする。
キュウリはすりこ木でたたいて大きめにちぎり、塩一つまみを振って揉み、10分くらいおいて水洗いし、水気をよく拭きとる。
わかめ、うす切りにしたミョウガと合わせ、ツナとマヨネーズで和える。
それに豚ジャガ。
酒は冷や酒。
きのうもいつも通り、よく酔った。
「もっと早く作りはじめれば早く寝れるのに。」
そうなんだよな。
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