きのうは、夏野菜のマーボー・カレー。カレーは、インスタントのカレールゥではなく、カレー粉を使うべき。
おれは、インスタントのものは、できる限り使わない主義。
それから一人暮らしが料理をするなら、インスタントのものは使わない方がいいという考え。
主婦が忙しい時間をやり繰りし、料理をする場合なら、まだ分かるのだ。インスタントのものを使うことで、大幅な時間の節約になる。
しかし、主婦の料理と一人暮らしの料理とは、根本的に違うところがあるのである。
主婦が料理をするのは、一種の「仕事」だ。まあこれはもちろん主婦に限らず、主夫であってもいいのだが、要は家族がいれば、食事を作るのはその家族のため、「役割」になる。
それに対して一人暮らしの場合には、家族はいない。食事の支度は、役割にはなり得ないのだ。
ここに、一人暮らしが自炊を続けることが難しい、最大の理由があると思う。
役割であれば、しなければならない強力な動機があるから、続けることは難しくない。それに対して役割でないのなら、やめても誰にも何とも言われない。
「まいっか」となってしまえば、それが2日続き、3日続き、、。気がついたら外食やスーパーなどの惣菜ばかりということに、いくらでも簡単になるわけだ。
それでは一人暮らしがどうやったら料理を続けられるかといえば、それは一重に、「料理が好きになること」ではないかと思う。好きなものだからこそ、役割でなくても続けられる。
そして料理が好きになるために、インスタントのものは、大きな障害となるのである。
それがなぜかと言えば、インスタントのものを使っている限り、「料理を理解できない」からだ。
料理は一つの技術であるとともに、文化である。しかもその内容の深さ、広さたるや、人類は発生以来、すべての人が、何らかの形で料理に関わってきているわけだから、比類ない。
料理が好きになることがあるとすれば、その技術・文化に触れるからだ。人間の果てしない叡智に触れ、それを自分なりに理解することが、「料理のおもしろさ」だと思う。
それを例えば、カレーを作るのにインスタントのルウを使ってしまえば、そのルウの部分はブラックボックスになってしまう。理解しようがないわけだ。
だから一人暮らしがカレーを作る場合には、インスタントのカレールウは使わない方がいい。
「カレー粉」を使うべきなのだ。
カレー粉を使ってカレールウを作るのは、まったくの話、何も難しいことはない。要はひとことで言ってしまえば、どんな味でもいいから煮物を作り、そこにカレー粉を加えればいいのである。
うどんだしにカレー粉を加えれば、カレーになるのは知れたことだし、これが例えば、魚の煮付けであっても、カレー粉を加えると、本当にウソでなく、ただの「おいしいカレー」になる。
カレー粉は味が強いから、ベースの煮物が何であっても、結局はカレーになってしまうのだ。
きのう作ったのは、夏野菜のマーボー・カレー。
これは要は、完全に、普通の夏野菜のマーボーを作る際に、カレー粉を加えただけ。
もちろん、味は「おいしいカレー」。
マーボーの気配など、微塵もしないわけである。
マーボーは、もちろん中国式にはニンニクを使うわけだが、おれは家ではニンニクは使わない主義だから、その代わりにショウガを使う。それで味的に、問題はまったくない。
それからマーボー・ナスなどを作る際、中国調味料「甜麺醤」が使われることが多いと思うが、これも使う必要はまったくない。
八丁・赤出しみそに砂糖を足せば、十分なコクが出る。
まずは、野菜を炒めておく。
フライパンにオリーブオイル・大さじ2を引いて中火にかけ、まずヘタを取ったししとうを、うすく焼き色がつく程度に1~2分、サッと炒めて皿に取り出す。
つづいて1センチ厚さくらいに切ったナスを入れ、こちらは5分くらいか、柔らかくなるまでじっくり炒め、やはり皿に取り出しておく。
次に、ひき肉と香味野菜、スパイスを炒める。
フライパンに、
- ゴマ油 大さじ2
- みじん切りの玉ねぎ 2分の1個分
- みじん切りのショウガ 2センチ大くらい
- 豆板醤 小さじ1
- カレー粉 大さじ1
- 豚ひき肉 150グラムくらい
を入れ、強めの弱火にかける。
ひき肉はスプーンで押し潰しながら、じっくりと5分くらい、水分が飛ぶ「ジュージュー」という音があまりしなくなるまで炒める。
調味料、
- 八丁・赤出しみそ 大さじ1+2分の1
- 砂糖 大さじ1
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
を加え、さらに1~2分炒めて味をなじませる。
水1カップを加え、煮立ったら弱火にして2~3分煮、ここで味を見て、塩・小さじ2分の1程度を加える。(塩を入れ過ぎないように注意)
取り出しておいたししとうとナス、それにヘタを取ったプチトマトを入れ、1分ほどサッと煮る。
最後に、
- 片栗粉 大さじ1+2分の1
- 水 大さじ1+2分の1
くらいの水溶き片栗粉を、加減を見ながら、スプーンで加えては混ぜしてトロミをつける。
ご飯を盛った皿によそう。
「これは、うまい、、」
ホックリと柔らかいナスとトマトが、またよく合うわけである。
酒は、きのうは冷蔵庫で冷やした日本酒。
「酒は、飲んでも飲まれるな」というが、これは、酒を知らない奴のセリフだ。まだ飲めるのに飲むのをやめてしまうなど、酒に失礼極まりない。
だから飲めば、どうしたって飲み過ぎることになるわけなのだが、礼儀を重んじるのである以上、これは仕方がないのである。
「バカだね。」
ほんとにな。
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