きのう8月30日に行われた戦争法案に反対する国会前抗議行動、警察の規制線が決壊し、国会前の車道はすべて人で埋め尽くされた。臨時の歩行者天国となった国会前では、35万人が、「安倍やめろ」の声を上げた。
おれは、デモや差別主義者へのカウンターなどに参加するようになってから、まだ1年ほど。元々ノンポリで、20代の頃は選挙にすら行かなかったし、小泉政権時代には、小泉首相を支持していた。
それが政治について考えるようになったのは、3.11の原発事故があってから。事故への対応を見ていて、「この国は何かがおかしい」と思うようになり、それからツイッターなどのネットの情報を、徐々に見るようになった。
それでもデモなどへは、参加していなかった。一度原発事故の直後に、大阪で行われたデモに参加してみたものの、毒々しい、ガスマスクなどを被ったワケのわからない人たちがいる一方で、音楽に合わせてコールしながら歩く様子もあまりにも「ヌルい」気がして、これで何が変わるとも思えなかったのだ。
それで1年が経ち、2年が経ちとするうちに、選挙で自民党が連勝し、状況はどんどん悪くなるように思えた。
そして特定秘密保護法案の強行採決がされ、集団的自衛権の閣議決定がおこなわれるに至り、これはもう、これ以上黙っていては、とんどもないことになると思った。
ちょうどその頃、デモに参加したり、自分でもデモを主催したりする一群の人たちと、知り合いになる機会があった。
その人たちに導かれ、おれも徐々にデモに参加するようになり、「民主主義とは何なのか」を、少しずつ学び始めたわけである。
安全保障法案(以下 戦争法案)への反対デモへは、できるだけ参加するようにしている。安倍首相(以下 安倍)は、日本を本気で事由に戦争できる国にしようとしており、憲法違反の集団的自衛権を閣議決定すること自体、政治家としてあり得ないことなのに、さらにそれに基づき、実際に法案を整備するなど、絶対に許してはいけないと思うからだ。
あまりにも国民をナメ過ぎている。
といっても、おれも仕事はしないといけないわけで、あまり参加し過ぎないようには気を付けている。
生活が成り立たないと元も子もないのだから、基本的に関西の学生団体「SEALDs KANSAI」と、若者団体「SADL」が主催するものに限定し、頻度も週1回くらいに抑えている。
しかし今回、「8月30日」に国会前で、多くの組織が集中して動員をかけるデモをすると聞き、これは絶対に行かなくてはいけないと思った。戦争法案の可決が目前に迫った日程で、ここが天王山になるのは間違いがないと思えたからだ。
10万人が集まれば、強行採決にたいして強いプレッシャーになるそうだから、おれもその、頭数になりに行かなくてはいけない。
それできのうは、はるばる京都から、新幹線に乗って東京へ向かった。
駅で買う弁当は、スタミナを付けるため、がっつり豚肉が入ったのを選んだ。
国会前へは、有楽町からタクシーで行った。
すんなり国会正門前へ到着。
すでに警察によって鉄柵の規制線が張られ、抗議はその内側、歩道でのみ許されるようになっている。
おれは、SEALDsを探した。どうしても東京のSEALDsを、生で見たかったからだ。
国会正門前を少し下ったところで、すぐに発見。
打合せをしているようだ。
やがて、コールが始まった。
おれは、SEALDsのコールがとても好きだ。
SEALDsのデモは、参加者は普通におしゃれな格好をしてくるし、プラカードも英文がふんだんに使われていたりしてスタイリッシュ。おれのような元ノンポリでもSEALDsのデモに参加しやすいのは、そういう「普通の感覚」に満ち溢れているのが大きい。
ところがコールは、怒りに満ち、激しいのだ。
「安倍は、やめろ」
「戦争、反対」
「国民ナメんな」
「屁理屈いうな」
などなど、安倍に対するコンパクトな罵倒のフレーズを、アップテンポに繰り出していく。
それをまた、複数のドラムがリズムを刻み、サポートする。
やはりこの新しい運動は、ロックや、それにつづく様々な音楽の洗礼を受けた人たちが作り出していると、つくづく感じる。
リズムが時代にぴったりと合っていて、皆が揃って声を上げることで、それが大きなうねりを生み出していくのである。
女性の学生も、やはりコールをする。
これがまた、男性に負けず劣らず、すごい迫力。
時間が経つにつれ、人は膨れ上がってくる。
警察は、何とか歩行者用の通路を空けようと規制を強めてくるのだが、それもままならなくなってくる、、
と、その時、後方で何事かが起こったようだ。
振り返ると、何人かが歩道から、車道に出ている。
警察の規制線を、突破したのだ。
ドラム隊がすぐに車道に出て、コールに合わせてリズムを刻む。
決壊。 pic.twitter.com/AGnkVTBzvd
— 高野 俊一 (@shunichitakano) August 30, 2015
そのドラムに導かれ、SEALDsのコーラーが「前へ、前へ」とコールしながら歩いて行く。
SEALDsのあとを、「ハーメルンの笛吹」よろしく、おれたち一般人も、ぞろぞろと着いていく。
警察は、何とか規制線を維持しようとする。
でも動き出した群衆の動きは止まらない。
群衆は、国会へ向かって進んでいく。
途中で何度も、警察は規制線を張るのだが、すべて突破されていく。
群衆は、国会正門の手前まで進んだ。
そこで続けられる、SEALDsのコールに向けて、人々が続々と集まってくる。
またたく間に、国会前の車道は群衆で埋め尽くされ、臨時の歩行者天国となった。
「戦争させない」デモが30日、国会を包囲。主催者は参加者数が約12万人と発表(共同通信)http://t.co/7mkiLmRxHg pic.twitter.com/mXAdr0C4c0
— ロイター (@ReutersJapan) August 31, 2015
http://t.co/3uPixb354w 国会正門前の道路が安保法案反対を訴える人たちで埋め尽くされています。ヘリからの動画でもその様子が確認できます。これからパノラマ写真や写真特集で今日の動きを伝えていきます。まず空撮動画から。 pic.twitter.com/6Aq9TZ4a2A
— 毎日新聞写真部 (@mainichiphoto) August 30, 2015
「安倍やめろ」の巨大ダンマクも上げられた。
それからは、国会前の車道の各所で、「安倍やめろ」のコールが響き続けた。
集まったのは、車道が解放された直後の午後2時ごろの時点で12万人、それからさらに続々と人が詰めかけていたから、最終的には、延べ35万人になったそうだ。
1960年の日米安保反対の時で、国会前に集まったのは30万人だったとのこと。反原発抗議の時に集まったのも、20万人だったそうだから、今回はそれらを大きく上回り、史上最大の人数が、国会前に集まったことになる。
きのうは集まった人たちの利便のため、給水所、
それに救護所なども、ボランティアで用意された。
おそらく警察の規制線が決壊したのも、SEALDsの若い人たちと運営スタッフ諸氏との、事前の入念な打ち合わせと、当日のあうんの呼吸で実現したものと思われる。
SEALDsをはじめとして、このデモを企画・実行した人たちには、心からお礼を言いたい。
そして、一般市民がこれだけ頑張っているのだから、野党国会議員の人たちには、ぜひとも頑張りに頑張って、戦争法案を何としても、廃案に追い込んでもらいたい。
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