きのう神戸・元町から三宮あたりを歩いていて、強烈な店を見つけた。「餃子屋」という名前で、たぶん日本で生まれた中国人がやっている。店の作りはいわゆるバラック。餃子のほかにも興味深いメニューが色々あり、食べたものはどれもうまくて、しかも安い。ここはぜひ行くべきだ。
きのう神戸元町駅前で行われたSEALDs KANSAIによる街宣アピールが終わり、おれは一人で、辺りを歩いてみることにした。
神戸へは今まで4~5回来ているが、いつも在特会による糞ヘイト街宣のカウンターをするためで、終わると疲れきり、近くの適当な居酒屋で仲間との慰労会になるから、まだ街を探索したことがなかった。
きのうはSEALDs KANSAIによるさわやかな街宣アピールだったから、疲れも全くなかったのだ。
まず元町の中華街あたりへ行ってみたのだが、金曜の、まだ夜8時半をちょっと過ぎたくらいなのに、もう終わっているようだった。
人通りもあまりなく、半分くらいの店は、もう閉店している。
中華街の店は、店の前に出店を出し、そこで串に指した餃子やらソーセージやら、春巻きやらを売っているところもある。
その一店で、中華ソーセージを買ってみた。
なかなかウマイ。
この店で、ビールでも飲みながら、こういうものを摘むのもいいなと思ったが、「もう閉店」とのことだったので諦めた。中華街は、夜ではなく、昼間がメインの場所のようだ。
中華街の外側も、ちょっとウロウロしてみたが、おしゃれなバーやレストランは色々あるが、おっさんにはちょっと敷居が高い。
もうちょっと気安い場所を探すため、三宮方面へ向かうことにした。
元町から三宮へ向かうためには、飲み屋がありそうな道としては、南から順に、
- ショッピングモールの「センター街」
- 高架下にある「ピアザ2」
- 高架の北側を走る「サンセット通り」
の3つがある。一番飲み屋がありそうなのは、最後のサンセット通りなので、ここを歩いて三宮へ向かうことにした。
サンセット通りは、元町の辺りはちょっと寂れていて、三宮へ近付くにつれて賑やかになる。三宮の駅のまわりは、新宿や渋谷と同様の完全な繁華街だ。
賑やかすぎる場所にある店は、家賃も高いし、少しでも客をたくさん入れるため、一般的になる傾向があるし、といって寂れた場所にあるおしゃれな店は、気取っていて敷居が高い。
おっさん好みの面白い店は、だいたいその中間あたりにあるわけで、実際サンセット通りでも、元町と三宮のまん中くらい、「がんこ寿司」のある道の、1本東と2本東の、北へ入る道が面白そうだった。
そこでこの2本の道をくまなく歩いてみると、ドンピシャリ、見つけたのだ。
まず何がスゴイといって、この店、建築中の足場を組むのに使う鉄骨とテントを使った、バラックなのだ。
駐車場の一角を借り、そこに店を設えているらしい。
黄色に赤の提灯が並んでいるところなど、お祭りかと思うほどの派手さだし、この店構えを見ただけで、「これは入ってみなくては」と思ってしまうわけである。
店の中は、入口の脇に、外に向かって厨房があり、その奥に、カウンター4席、テープルが2つある。この配置も、日本の店だとあまり考えられないところだが、中国だとこれが普通なのかもしれない。
まずビール。
ビールを飲みながら、何を食べるか考えた。
メニューは、まず焼き餃子・水餃子・スープ餃子の餃子シリーズ。それからピータンやらザーサイやらの軽いツマミ系と、蒸し豚、ゆで豚、唐揚げなどの、やはりツマミ系。
炒め物は、青菜炒めなど3種類だけで、あとは中華そばや焼きそば、チャーハンなどの、炭水化物系となっている。値段は200円から、一番高いのでも550円だから、激安だ。
ツマミを2品頼み、まず出ててきたのが、ネギ塩奴・250円。
これがうまくて、初っ端からぶっ飛んだ。
要は、香味油に漬けられたネギが乗せられているのである。塩味なのだがコクがあり、これを食べただけで、この店がただ者ではないことがすぐに分かった。
それから焼き餃子・300円。
これもうまかった。
まずどういう風にしているのか分からないが、肉がプリプリとした歯応えがある。それからあんにニンニクが入れられていなくて、その分、ニラがたくさん入っているそうで、それがまた、肉のうま味をさらに引き立てている。
タレは、酢醤油の他、
- ラー油
- にんにく醤油
- 特性味噌ダレ
を自分で調合するようになっている。
餃子の味がシンプルな分、こちらであれこれコクをつけることもできる。
本当は、この店では軽くビールを飲んで、もう1軒行こうと思っていたのだ。
でもここまで食べたものがイチイチうまかったので、最後まで食べることにした。
次に頼んだのは、青菜炒め。
たっぷりの空芯菜なのに500円なのがまず激安だし、味も、ニンニクよりむしろショウガが利いているのがいい。
それから、蒸鶏飯・500円を頼んでみた。
「特性甘辛玉ねぎダレの台湾風蒸鶏のせご飯」とのことで、これだけ大きなメニューに書かれているから、この店のメイン料理なのだろう。
スープと一緒に出てくる。
まずは混ぜて普通に食べるのだが、これがまたウマイ。
まず蒸鶏が、パサパサしたところが皆無でしっとりしている。ここに特製甘辛玉ねぎダレが、コクのある、しかもさわやかな味を付けている。
半分ほど食べたら、一緒に出てくるスープをかける。
これが、またさらにウマイ。
鶏のスープに、玉ねぎのさわやかな甘味と酸味が加わって、絶品だ。
最後に灰皿を所望して、また大笑いした。
調味料か何かが入っていたと思われる、空き瓶が出てくる。
ここの店主は、30代くらいの夫婦。普通の日本語を話していたから、国籍は知らないが、日本で生まれた中国人なのだろう。
料理はもちろんのこと、このバラックの店にしても、また灰皿に至るまで、かなりのこだわりを持ってやっているようである。
メニューは他にも、「中華風カレー」などという、非常に興味を惹かれるものもある。
神戸を1時間ほどうろつき回った挙句に見つけたこの店、名店だとおれは思う。
ぜひ行くべきだ。
◎食べログ
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