河原町にはラーメン屋がとても少ない。飲んだあとには打ってつけの「中華そば」となるとなおさらだ。選択肢はほぼ1つとなり、それが木屋町通・交番の北にある「大豊ラーメン」。第一旭と新福菜館の「ちょうど中間」といえる味で、中途半端の嫌いもあるが、これがなかなか悪くない。
居酒屋「たつみ」で飲んだあと、ラーメンでシメることにした。
おれは、飲んだあとには絶対ラーメン。それも「中華そば」と言いたくなる、醤油味のシャバっとしたのがいいのである。
京都のラーメンで、まずはその条件に最も近いのは、「第一旭たかばし本店」。澄んだ豚骨の白湯スープに醤油の味がキリリときいて、おれは京都で、このラーメンが一番好きだ。
ただ、京都駅近くのたかばしまでは、河原町からは遠すぎる。河原町の隣にある木屋町にも、本店と味はちがうが第一旭があったのが、すでに潰れてしまっている。
それから次に、「新福菜館」もやはりいい。こちらのスープは、第一旭より濃厚で、醤油もやや甘めでコッテリしている。
しかし新福菜館は、本店は第一旭の隣にあり、やはり河原町からは遠すぎる。河原町店も以前はあったが、こちらも同様、潰れている。
あと河原町あたりにあるのは、天下一品と九州・豚骨ラーメンで、どちらもうまいが、きのうはあまり気分じゃなかった。ネットを探すと、わりと新しい店も出てきたが、きのうは定休日となっていた。
そうなると、選択肢はほぼ一つ。
大豊ラーメン。
河原町には、ラーメン屋が少ないのではないかと思う。隣の四条烏丸には、個性的なラーメン屋が色々あるから、たぶん河原町は観光客が多いため、京都のイメージがないラーメンは、あまり流行らないのだろう。
しかし大豊ラーメンさえあれば、飲んだあとのシメに不足はない。
木屋町通を上がっていき、交番を通り過ぎる。50メートルほど行くと、幅1メートルほどの異様に細い路地がある。
大豊ラーメンは、その路地を入っていった先にある。
こんな分かりにくい場所にありながら、お客はちゃんと入っている。
大豊ラーメンは、創業して22年。千本北大路にも支店があり、それなりに実力がある店なのだ。
まずは「生ビールセット・850円」を注文。
ギョウザは、ラーメン屋にはよくあるタイプ、肉少なめ、野菜多めのヘニャっとしたやつなのだが、ラーメンの前に食べるには、これで十分なのである。
そして、ラーメン。
これが、なかなか悪くない。
味は、一言でいえば第一旭よりコッテリしていて、新福菜館よりはアッサリしている。
なので「中途半端」の嫌いもなくはないが、これはこれでいいのである。
この店のウリは、「黒豚チャーシュー」。
脂の乗った部位がホロホロに煮られ、ちょっと厚めに切られたのが、6枚も入っている。
食べ終わり、満足して家に帰った。
やはり飲食店は、昔ながらの、ちょっと小汚いくらいのところがいいのである。