きのうは新物のサンマを、けっこうな値段だったので迷ったが、結局買った。新物サンマを初めに食べるとなれば、やはりまずは刺身である。刺身でしばらく酒を飲み、残りは漬け丼。あらで吸物まですれば、高い金を払った甲斐もあるというものだ。
魚屋へ買い物に向かうとき、予感はしたのだ。
「そろそろサンマが出てくる頃だよな、、」
夏はつくづく、魚があまりいいのがない。その分野菜が色々出てくるから、それを中心にメニューを組み立てると、どうしても肉を合わせることになる。
これが秋になると、形勢はまったく逆転するわけで、怒涛の魚祭りとなる。サンマに始まり、次はサバ、年が明けるとブリが来て、それから牡蠣、さらに春先のアサリから鯛へと続くわけで、「目の回る忙しさ」とはまさにこのこと。
手をかえ品をかえ、魚を食べ続けるわけである。
野菜も決して嫌いじゃないが、そろそろ手持ちの駒も使い尽くした感がある。マーボー・ナスも、ゴーヤチャンプルも何度もつくり、さらに新たなつくり方を考える気力も失せてきた。
「早く秋にならないかな、、」
サンマが出始めるのは、お盆前。そろそろ来ても、おかしくないのだ。
そう思って魚屋へ行ってみると、、
果たしてサンマがあったのだ。市場におとといから出始めて、魚屋でもきのう初めて仕入れたそうだ。
ただしまだ、値段はかなり高い。いつもなら、新物サンマはもう少し値段が落ち着いてから買うところだ。
かなり迷った末、しかしやはり、買うことにした。
これだけ待ち望み、予感までして、それが的中したのだし、高いといっても、普段より、コーヒー1杯くらいのお金を余分に払うだけの話である。
新物サンマを初めて買ったとなれば、やはりまず作るのは、「刺身」に決まりだ。
これは「掟」と言ってもいいもので、魚屋の若大将も、
「どうやって食べるんですか?やはりお造りですか?」
と来るのである。
サンマは、スーパーなどで売っているものでも、基本的に刺身で食べられる。もし心配だったら、店員に、
「これ刺身で食べられますか?」
と聞いたらいいだけの話である。
スーパーでも、市場からはその日に仕入れているのだから、それなりに新鮮だ。最盛期になれば値段も下がり、百数十円でおいしい刺身になるのだから、コストパフォーマンスも高いのだ。
サンマを刺身にするためには、三枚におろさないといけないわけで、これはお店で頼んでもやってはもらえる。
でも三枚おろしはそう難しい話ではないので、チャレンジしてみるべきである。
三枚おろしが自分でできるようになれば、魚料理の世界は大きく広がる。サンマは安いから、失敗してもショックが少ないわけで、三枚おろしの入門には適している。
サンマを三枚におろすのに、包丁は家庭用の普通のやつで問題ない。
ただし事前に簡易研ぎ器で、よく研いでおくことは必要だ。
やり方は、この動画を見るのが分かりやすい。
慣れれば、ものの5分でできるようになる。
おろしたサンマを食べやすい大きさに切り、青じそを敷いた皿に並べ、薬味のみょうがとおろしショウガを添える。
ぽん酢で食べる。
たまらない、、
脂が乗って、トロトロだ。
これで酒をしばらく飲んだら、シメのどんぶりにするために、残った刺身を漬けにする。
醤油にみりんを少し垂らしたところに、5分ばかり漬けておくだけだ。
薬味と一緒にご飯にのせて、ひねり潰したゴマをふる。
これがまた、ウマイわけだ。
それから、サンマのあらは、吸物にする。
「これがサンマか」と思うくらい、極上のだしが出るから、ぜひ試してみるべきだ。
あらは洗って血合いを落とし、パラパラと塩を振って、中火にかけ、よく熱したフライパンで、表と裏を1~2分くらいずつサッと焼く。
3カップの水を入れ、30分ほど、10センチくらいの昆布を浸しておいたところに入れ、20分ほど、鍋底が小さく煮立つくらいの弱火で煮出す。
だし殻をとり出して、料理中の酒の肴にすれば、2カップくらいのサンマのだしが取れることになるから、味を見ながら、
- 淡口醤油 小さじ2
- 塩 少々
で味つけする。
きのうはここに、
- 水に浸してよく絞り、食べやすい大きさに切った焼麩
- 板ずりし、サッとゆでて小口切りにしたオクラ
を入れた。
あとは、おとといの万願寺の炊いたん。
それに、たたきキュウリの梅肉和え。
キュウリはすりこ木でたたき、食べやすい大きさにちぎって1つまみの塩で揉み、10分くらい置いて水洗いし、水気をふき取る。
梅干し1個分の梅肉と、見た目同量くらいの削りぶしを包丁でよくたたいてペースト状にし、みりん・小さじ1、淡口醤油・ほんの少々を加えたので和える。
酒は、冷や酒。
きのうも酒は、飲み過ぎた。しかし新物サンマの刺身があったのだから、それも無理はないだろう。
きょうからは心を入れ替え、飲み過ぎないようにしようと、神様に誓うのである。
「嘘ばっかり。」
そうだよな。
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