きのうはサンマを蒲焼きにした。
蒲焼きは、サンマの食べ方の定番の一つである。
ぼくはなぜこうまで、毎日酒を飲むのかと、考えないこともないのである。
だいたい酒は、金がかかること甚だしいわけで、ぼくはこれまで、少なめに見積もって、1日に平均して2千円の飲み代を使ってきているとすると、それを30年間続ければ、2千円×365×30は、なんとオドロキの、2,190万円ということになる。
地方なら、余裕で家が一軒買える金額だ。
これだけの金が、ぼくの人生で泡と消えてきているのだから、効率が悪いといえば、これほど効率が悪いことはない。
これを例えば、「毎日飲まないようにすればどうだろう?」と考えることもできる。一日置きに飲むようにしたとすると、酒代は2分の1になり、かなりの節約になる計算だ。
酒を飲まない日を作ることくらいは、ぼくにもできそうな気はする。酒は好きだが、全くガマンできないというわけでもない。
しかしそうしてガマンした結果、金に余裕ができるとするだろう、するとぼくは間違いなく、ガマンの「お疲れさん会」を自分で開き、その金を使い果たしてしまうのである。
だからこのやり方では、酒代は節約できないことになる。
それならば、毎日飲むのはいいとして、一日に飲む量を半分にできないかと考えることもできるだろう。酒代を半分にしようと思えば、そういうやり方もある。
これはたしかに、できないことはない気がする。それなりに飲めば、気分は良くなっているわけで、さらに飲むのをやめるのは、それほどのガマンは必要ない。
しかしこれも、現実問題としてはむずしい。
例えば飲み屋で、
「さあ、もう十分飲み終わったから帰ろう」
と思い、立ち上がろうとした瞬間、仲のいい飲み友達が来たとするだろう。そうすれば、
「じゃあ、もう一杯飲もうか」
とならざるを得ない。酒は、ただ一人で飲むばかりではないわけだから、多少は礼儀も考えないといけない。
そうなれば、一杯が二杯、二杯が三杯・・・となってしまうのは、致し方がない話である。
場合によっては、女の子に一杯奢ってやったりも、するハメにもなるわけだ。
このように、酒代を節約するのは、大変むずかしい。
しかしむずかしいからと言って、ぼくがそれを、完全に諦めているわけではないことは、ひとこと付け加えておく。
きのうはスーパーで、サンマを買った。サンマは季節のものだから、やはり食べられるときに、食べておく必要がある。
せっかくだから、色んな食べ方をしたいと思うわけで、これまで
と来ているわけだが、「蒲焼き」も、サンマの食べ方としては定番だろう。
脂が乗った旬のサンマは、少しの手間をかけて蒲焼きにすると、うなぎにも引けをとらない味がする。
サンマを蒲焼きにするためには、三枚におろさないといけない。
しかしこれは、決して難しいことはないから、まあもちろん、魚屋でやってもらっても何も悪いことはないのだけれど、ぜひ自分でやってみることを勧めたい。
「大名おろし」と呼ばれる簡単なやり方があり、頭とワタを落としたら、背骨にそって包丁を入れて身を削ぎ取るだけだから、まずそれほど大きく失敗することはない。
蒲焼きにする場合には、火を通せば骨もやわらかくなるから、腹身も削ぎ取らなくていい。
それから蒲焼きにする場合、血やワタを洗い落とさない方がいい。サンマを塩焼きにすることを考えれば、血やワタもそのまま全部食べるわけで、それがかえってコクになる。
三枚におろし、さらにそれを半分に切ったら、片栗粉をうすく振り、中火にかけ、サラダ油少々を引いたフライパンで、まず皮目から焼く。
じっくり焼き、皮目にこんがりと焼き色が付いたら裏返し、今度はあまり焼き過ぎないようにして、一旦皿に取り出す。
フライパンに残った脂は捨て、改めて中火にかけて、酒と砂糖、みりん、しょうゆ、それぞれ大さじ2ずつを入れる。
煮立ってきたら弱火にし、サンマを入れる。
表裏にタレをからめ付け、タレが適度にドロリとしてきたところで火を止める。
大根おろしを添え、粉山椒を振る。
酒の肴になるのはもちろん、ご飯に乗せ、どんぶりにするのもいい。
あとはしめじの卵炒め。
フライパンにオリーブオイル少々を入れて中火にかけ、ほぐしたしめじをサッと炒めて、淡口しょうゆほんの少々で味付け、青ねぎを加え、溶き卵を流し入れて大きめにまとめる。
粗引きコショウを振るといい。
オクラの冷奴。
板ずり(まな板の上で塩を振り、手でズリズリとする)をし、サッとゆでて5ミリ幅くらいに切ったオクラを、削りぶしとしょうゆ、ほんの少しのみりんで和え、豆腐に乗せる。
それにおとといの肉じゃが汁。
酒は、焼酎水割り。
きのうもまあ、「もう十分」と思った時点で、まだ肴が残っていたから、仕方なく、お代わりをするわけである。
「アホだよね。」
そうだよな。
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