きのうの肴は具だくさんの肉じゃが、または具だくさんの肉吸。
味付は、甘みの量でいくらでも変わるのである。
おとといは飲み過ぎて、寝たのが3時だったし、泥酔して寝ると睡眠時間が長くなるから、きのう起きたのは10時。酒はまだ満タンに残っていて、しばらくソファでぼんやりし、それからグズグズと支度をはじめて、ブログを更新しにカフェに向かったのは、ようやく12時。
書くことが色々あったのと、二日酔いで頭が働かないので更新にも時間がかかり、ブログを無事公開できたのは、ようやく4時過ぎ。
4時半になり、やっと昼めしとなったのだが、一日はもうほとんど終わりに近付いている。
酒は好きなのだが、強くはない。知り合いでも、フルに泥酔していても、4~5時間寝ればスッキリ酒が抜ける人達がいるのだが、ぼくの場合はそうはいかない。
フルで飲めば、次の日丸一日を棒に振ることになる。
仕事が2日にわたってちゃんとできなくなるわけで、おまけに金を使うから、ぼくなどの自由業者にとっては、酒を飲むのは急降下するのとおなじことだ。
しかし「飲まない」ことにならないのは、言うまでもない話である。
ぼくは、酒を飲むために仕事をしているのだから、酒を下手に控えたりなどすることは、「本末転倒も甚だしい」といえるだろう。
遅い昼めしを食べたあとは昼寝をし、それから頼まれ仕事も何とか少しこなして、ようやく酒が抜けてきたころ、早くも晩めしの時間となる。
飲み過ぎた翌日は、一日が短い。
晩めしは、肉じゃがを作ろうと思っていた。知り合いがフェイスブックに投稿していた肉じゃが写真が、とてもおいしそうだったからだ。
ぼくはいつも肉じゃがを、煮汁を煮詰め、コッテリとした味にする。
しかしきのうは知り合いに倣い、たっぷりの、うす味の汁で煮ることにした。
そこまで考えたところで、
「汁物をどうしよう」
と思うのである。飲み過ぎた翌日は、体が汁物を欲することになる。
とろろ昆布の吸物でも、サッと作っても良かったが、考えてみたら、肉じゃがにも汁がある。
元々うす味にするつもりだったのだから、それをさらに甘みを控えてうすくすれば、吸物の汁になる。
しょうゆを使った味付の面白いところは、入れる調味料はおなじでも、それぞれの分量を変えることで、味が大きく変わることだ。
ポイントになるのはしょうゆの量と、みりんや砂糖など甘みの量の割合で、甘みをたっぷり加えれば、煮魚やてり焼きなどのコッテリとした味になるし、そこから甘みを減らしていくにつれ、関西でいえば、おでんなどうす味の煮物、うどんだしとなっていき、甘みが全くないのがいわゆる吸物。
煮魚とおでん、うどんだし、吸物は、それぞれ出来上った料理としては、別のものになる。しかし味付の側から見れば、それらは連続しているわけで、はっきりと区別できるわけではないのである。
だからうす味の肉じゃがを、甘みを少し減らしてうどん出汁くらいにすれば、汁も飲めることになる。
肉吸はうどんだしで作るから、この汁も飲める肉じゃがは、「具だくさんの肉吸」とおなじ話になるわけだ。
肉じゃがを作るには、昆布と削りぶしのだしを使うのが一番いいが、昆布だしだけで煮てあとから削りぶしをかける簡易式でも、問題は全くない。
肉は、きのうは関東式に豚肉を使ったが、これは牛肉を使う場合でも、作り方はおなじである。
鍋に5センチ角くらいのだし昆布を敷き、食べやすい大きさに切ったジャガイモとにんじん、大きめのくし切りにした玉ねぎ、それにきのうは、油あげと、スプーンでちぎってサッとゆでたコンニャクを入れ、水3カップを注いで中火にかける。
水が小さく沸いてきたら、酒と淡口しょうゆ大さじ3ずつ、みりん小さじ3を入れ、それからきっかり10分、弱火で煮る。
ちなみにここで、みりんを「大さじ3」とすれば、「うす味の煮物」になる。
豚コマ肉は、煮ているあいだに、沸かして火を止めた水で「しゃぶしゃぶ」と湯通ししておく。
煮終わる2~3分前に豚肉を入れる。
10分煮たら火を止めて、あとはフタをしてゆっくり冷やせば、味がしみる。
たっぷりの削りぶしと青ねぎをかけ、おろしショウガを盛って、好みで一味を振る。
ご飯のおかずには少し物足りないかもしれないが、酒の肴には申し分ない。
あとは、檀一雄流オクラおろし。
料理本として、最強におすすめの『檀流クッキング』
にあるレシピで、粘り気の付いた大根おろしがしみじみうまい。
板ずり(まな板で塩を振り、ズリズリする)し、サッとゆでたオクラ(と、きのうはしめじ)を5ミリ幅くらいに切り、汁気を軽く絞った大根おろしと合わせてよく混ぜる。
このときよく混ぜ、オクラの粘り気を大根おろしに移すのがポイントで、そのあと冷蔵庫にしばらく置いて冷やしておく。
ちりめんじゃこと合わせてさらに混ぜ、味ポン酢をかけて食べる。
檀一雄の繊細な配慮が感じられる、夏に打ってつけの逸品だ。
ナスのからし酢醤油。
塩もみしてしばらく置き、水洗いして水を絞ったナスをからし酢醤油で和え、削りぶしをかける。
それに、自家製梅干し。
酒は、焼酎水割り。
おととい思い切り飲み過ぎていたから、さすがにきのうは、多少飲み過ぎるくらいで満足した。
「お酒を少し控えれば仕事もはかどるのに。」
そうなんだよな。
◎関連記事