肉じゃがで、酒を飲んだ。
肉じゃがは、煮汁を煮詰めるとうまいのである。
仕事を終えてスーパーへ行くと、オーストラリア産の牛切り落とし肉が安かった。
牛肉は、もちろん嫌いではまったくないが、高いから、普段は買わない。それにぼくは、豚肉ラブの人間だから、肉は豚肉さえあれば、文句はないのである。
ただしこうして、時たま牛肉に手が伸びることがあり、その場合に作るのは、決まって「肉じゃが」だ。
肉じゃがも、とくべつ「好き」と言うほどでもないのだけれど、家で食べるものとしては、安定したおかずだろう。牛肉以外は材料も安いし、作るのも手軽である。
肉じゃがを作る場合、作り方として、大きく分けると2つある。
「煮汁を煮詰めるか、煮詰めないか」
ということだ。
これは、完全に好みの問題で、どちらでもいいわけだが、ぼくは、煮汁を煮詰めた肉じゃがが好きである。
煮汁があると、たしかにジャガイモに味がしみるのはいいが、ジャガイモがもろく、煮汁に溶けたようになる。大根のようにしっかりとしていてくれたら、煮汁に浸しておくのもいいのだが、どうも、あのもろくなったジャガイモは、得意としない。
それよりも、ジャガイモは、肉じゃがでは、ホックリと乾いているのがいいという考えだ。
煮汁を煮詰めてしまうから、ジャガイモの中までそれほどは味はしみない。でも煮詰まった汁が、ジャガイモのまわりに絡まり、例えてみれば、金時イモ的な感じになる。
この、ホックリとした、甘辛味の付いたジャガイモと、コッテリとした牛肉が、合うのである。
ホックリとコッテリが、いい対照になってくれる。
味付は、今回はうすめで行くことにした。酒にはあまり甘いより、うすめの味の方が合う。
それからニンジンは入れず、冷蔵庫に残っていた、万願寺とうがらしを使うことにした。これも単に好みの問題で、ニンジンのあの色も味も、あまり好きではないからだ。
フライパンに、5センチ角ほどのだし昆布を敷き、3センチ大くらいに切ったジャガイモを入れる。
水1カップ、酒とみりん、淡口しょうゆ大さじ2ずつを入れて、強火にかける。
玉ねぎと万願寺は、シャッキリとした歯応えを残すため、また牛肉は、煮過ぎると硬くなるから、後から入れる。
味付は、上の分量だとちょうど牛丼的な味になり、酒とみりん、砂糖、濃口しょうゆ大さじ2ずつとすれば、すき焼き的な味になる。
煮立ったら中火にし、フタを閉めて10分煮る。
ジャガイモは、煮汁から顔を出しているけれど、フタを閉めているからちょうど蒸し焼きのようになり、10分できちんと火が通る。
味をしみさせるため、途中で何度かフライパンを揺すってジャガイモを転がすようにしてもいいが、あまり気にすることもない。
残り3分となったところで、牛切り落とし肉200グラムを入れ、またフタをする。10分たったらフタを開け、くし切りにした玉ねぎ、ヘタを落とし、食べやすい大きさに切った万願寺とうがらしを入れる。
強火にし、全体を返して煮汁を絡めながら、2~3分かけて煮汁を煮詰める。
もし煮汁が足りないようなら、水を少し足してもいい。
削りぶしと青ねぎ、一味を振って食べる。
やはり肉じゃがは、煮汁を煮詰めたものがうまい。
あとは、ナスとキュウリの梅酢和え。
ナスは大きめに切り、塩もみだけして絞らなかったのだが、今のナスは瑞々しく、アクもまったくないから、ちょうど水ナスのような味になり、その爽やかなこと、たまらない。
キュウリはすりこ木で叩き、ちぎって一口大にし、ナスは1センチ幅くらいに切り、一つまみの塩で揉んで、5分くらい置き、水で洗って水気を拭きとる。
どちらも皮は、トラ刈りに剥いたが、これは好みで、どちらでもかまわない。
削りぶしと、梅酢、それに砂糖ほんの少々で和える。
梅酢がなければ、味ポン酢におろしショウガ少々でもいい。
それにとろろ昆布の吸物。
厚揚げの焼いたの。
酒は、焼酎水割り。
結局どうしても、飲み過ぎるわけである。
「ツイッターもつぶやき過ぎだよ。」
そうだよな。
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