キュウリは生か、漬物で食べるものと、日本では相場が決まっている。もちろん、それを否定しようなどというつもりは毛頭ない。
しかしナマモノを食べない中国では、キュウリも炒めるのだそうだ。日本人の感覚ではあまり想像できないかもしれないが、これがまた、うまいのである。
いうなればズッキーニやゴーヤとおなじ話だ。日本でも冬瓜やウリなら、煮て食べる。
爽やかでありながらちょっとホックリし、それがまた、しっかり味を吸っている。夏には欠かせない味覚といえる。
キュウリを炒める相手としては、圧倒的に豚肉だ。豚肉のこってりとした脂が、キュウリにしみ込むのはたまらない。
味付は、味噌でも間違いなくうまいのだが、おととい味噌を使ったばかりだから、きのうはサッパリと塩ベースにした。ここに、唐辛子とゴマを利かせるわけだ。
さらにここに、やはり酸味が欲しいのである。キュウリは、サラダ、酢の物、ぬか漬けと、酸味が合う。
となれば、トマトだ。
こうして作った、豚肉とキュウリの炒めものトマト入り、これがまた実にうまかった。
キュウリはほっくりとした食べ応えを楽しむには、やはり大ぶりに切るのがいい。ところが大きくすると、炒めるだけでは味がしみにくくなる。
そこで皮を縞にむき、すりこ木でたたいて割って、さらに塩で揉んでおく。こうして身を露出させ、断面をたくさん作り、水気を抜いておくことで、バッチリ味がしみるのだ。
塩ベースの味付とはいえ、コクはしっかり付けないといけない。そこでゴマ油としょうが、玉ねぎで炒め、みりんにオイスターソースを加える。
ニンニクは、いつも通り使わない。でも好きならば、しょうがと一緒に入れてもいい。
キュウリ・2本は皮をタテに縞にむき、すりこ木でたたいて大きめにちぎる。
1つまみの塩でよく揉んで、20分くらい置き、水洗いして水気をふき取る。
フライパンに、
- ゴマ油 大さじ2
- 輪切り赤唐辛子 1つまみ
- しょうがみじん切り 2センチ大
を入れ、中火にかける。
2~3分、じっくり炒めて味をひき出し、豚こま肉・200グラムを入れて、1つまみ(小さじ2分の1くらい)の塩をふり、さらに炒める。
豚肉に火が通ったら、塩もみしたキュウリと、薄切りの玉ねぎ・4分の1個分を入れる。
2~3分じっくり炒め、キュウリに火を通すとともに、豚の脂をしみ込ませる。
酒とみりん、オイスターソース・それぞれ大さじ1ずつを混ぜ合わせておき、入れる。
1~2分炒めて味をしみさせ、味をみて塩加減した後に、薄いくし切りにしたトマト・2分の1個分を加える。
20~30秒炒めたら、片栗粉・小さじ1、水・小さじ2の水溶き片栗粉を、全体を混ぜながらすこしずつ加えてトロミをつけて、火を止める。
火加減は、終始一貫中火である。
青ねぎと、ひねり潰したゴマをかける。
酒にバッチリ合うのはもちろん、ご飯のおかずにもちゃんとなる。
あとは、とろろ昆布の吸物。
お椀にとろろ昆布と削り節、水にひたして絞った焼麩を入れ、お湯を注いで淡口醤油で味付する。
ナスの塩もみ。
3ミリ幅くらいに切ったナスを、1つまみの塩でもんで10分くらい置き、水洗いしてやさしく絞り、味ポン酢少々であえて削り節を天盛する。
それに、キムチ。
酒は、冷や酒。
きのうも酒を飲みながら、
「なぜおれはこんなウマイものを、毎日作り続けられるのか」
と考える。
しかし自分が食べたいものをネチネチ考え、その通りに作るのだから、うまいに決まっているのである。
「もうすこし仕事も頑張れば?」
そうだよな。