夏野菜の代表といえばナス、そしてナスの代表料理といえば麻婆ナスだ。麻婆ナスはトマトを入れた方が、入れないふつうの麻婆ナスより絶対ウマイ。
考えてみたら、そろそろ夏も終わる。
「夏野菜を食べておかないといけない」
そう思い当たると、今年の夏は、まだナスをあまり食べていないことに気がついた。
夏は、やっぱりナスなのだ。ゴーヤと違ってナスはほとんど栄養がないそうだが、塩揉みすればみずみずしく、焼けばホッコリとやわらかく、油を使えばトロリとする、料理の仕方によっていかようにも姿を変え、別人とも思える顔をみせるのは、ナスならではだ。
ナスはいまでは温室栽培のものが年中売っている。でも夏の露地栽培の、アクがほとんどなく甘いナスは、夏でしか食べられない。
そのナスの代表料理といえば、やはり麻婆ナス。
ナスは油との相性が非常によく、さらにミソ味が合う。麻婆ナスはその両者を兼ね備えているうえに、一品料理としてきちんとメインのおかずになる。
その麻婆ナスは、じつはトマトを入れると大変うまい。
ナスとトマトは近縁で、相性がとてもいいのだ。これは「ナスミート」を思い浮かべればわかるはず。
また麻婆のピリ辛味にも酸味のあるトマトが合い、これは酸辣湯にトマトを入れることからもわかると思う。
しかもただの麻婆ナスだと、ナスには栄養がないから栄養バランス的にイマイチとなるところ、ビタミン豊富なトマトを入れればそれも満足されるから、麻婆ナスには絶対トマトを入れるべきだ。
作るのは、まったく難しいことはない。麻婆ナスをふつうに作って、最後にトマトを入れるだけだ。
その麻婆ナスは、はじめにナスを炒めたりするから作るのが多少面倒くさいといえば、面倒くさい。
でもこれは、中華風炒め煮の基本的な作り方だから、覚えて損はないと思う。
あと麻婆ナスには、通常「甜麺醤」が使われる。
でもこれは「八丁赤だしみそ」で完全に代用でき、八丁赤だしみそは大変使いでがあるからぜひとも常備しよう。
作り方
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ナス 1本 (タテ半分に切り、1~2センチ幅のななめ切りにする)
を入れて弱めの中火にかけ、じっくり炒める。
あとから煮込むから完全に火を通す必要はなく、「しんなりし始めたかな」というくらいで火から上げ、皿にとり出す。
あらためてフライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1個 (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
- 豚ひき肉 100グラムくらい
を入れ、弱めの中火くらいにかける。
5分くらい、スプーンなどでひき肉を押しつぶしながら、ひき肉からでる水気が「ジュージュー」と弾ける音が収まってくるまでよく炒める。
豚肉を十分炒めたら一度火を止め、
- 八丁赤だしみそ 大さじ1
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- オイスターソース 小さじ1
をよく溶きのばす。ふたたび弱めの中火をつけ、1~2分炒めて味をふくませる。
- 水 カップ1
- とり出しておいたナス
を入れて煮立て、弱火でフタをして2~3分、コトコト煮る。
- トマト 1個 (8等分のくし切り)
- ネギ 5センチくらい (みじん切り)
を加え、フタをしてさらに2~3分煮る。
このとき煮過ぎないことがポイントなのだ。トマトは煮過ぎると溶けてしまうので、やわらかくなりつつ姿を残した、ギリギリのに加減をねらうのがポイントだ。
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を、少しずつ加えては混ぜしてトロミをつける。
ゴマ油・小さじ1を垂らしてひと混ぜしたら皿に盛り、粗挽きコショウ・少々をかける。
これはまちがいなく388回は死ねる。
このままご飯にかけてどんぶりにしてもいいのは、言うまでもないことだ。
しかしこの麻婆ナス、酒にだってバッチリ合うにもかかわらず、きょうも「朝だから」というだけの理由で飲まなかったわけである。
こんなことを続けていては、僕はそのうち廃人になるのではないかと心配だ。
「ならないよ」
そうだよな。