魚屋で、サンマがようやく通常価格になったから、鞍馬煮を作った。
サンマは、弱火でコトコト煮るとうまいのである。
きのう魚屋を覗いたら、Lサイズのお造り可能なサンマ、先週までは400円くらいしたのが、250円になっていた。これは毎年の通常価格で、サンマもようやく出盛りになってきたということだろう。
それで早速それを買い、鞍馬煮にすることにした。
サンマをなめろう、酢じめに続いて食べるとしたら、これなのだ。
「鞍馬煮」とは山椒煮のことで、鞍馬が山椒の産地であることから、京都ではこう呼ばれる。2時間ほどの時間をかけ、ひたすらコトコト煮るのだが、味がしみ、骨まで柔らかくなったサンマはとろけるかと思うほどで、酒の肴になるのはもちろん、ご飯にも合うだろうし、弁当のおかずにもいいと思う。
ただしこれは、あくまで鍋で、時間をかけてやらないとダメなのだ。
圧力釜を使う人もいるのだが、それだと脂が抜けてパサパサになり、せっかくのサンマが台無しになってしまう。
山椒は、ぼくの場合は水煮したのを冷凍保存してあるのだが、ない人は、こういうものを買う手もある。
ショウガで代用してもいいのだが、やはりこれは、ピリリと利いた山椒がいいのである。
鞍馬煮は時間はかかるが、ただ煮るだけだから、難しいことは何もない。
日持ちもするから、常備菜にも向いている。
サンマは、2~3本使うのが作りやすい。頭を落とし、腹を割いてハラワタをかき出して、よく洗い、2~3センチ幅の筒切りにする。
5センチ角くらいのだし昆布を敷いた鍋にサンマを並べ、サンマがしっかりかぶるくらいの水(2~3カップ)を入れ、まず酒とみりん、砂糖をそれぞれ大さじ3、酢大さじ1だけ入れて、中火にかける。
酢は、サンマの骨を柔らかくするために入れるものだ。
アクが出てくるからこれをていねいに取り、落としブタをして、弱火で15分くらい煮る。
アクは、初めに出てくる茶色いものは、血が固まったもので、臭みの元になるからしっかり取らないといけないが、そのあとに出てくる白いアクは、脂が溶け出したもので、うまみの元だから取ってはいけない。
15分したら、大さじ1ほどの実山椒、それにしょうゆ大さじ3を入れ、再び落としブタをしてひたすら煮る。
火は、とにかく弱いことが肝心で、煮汁が小さく沸き立つくらいの加減を保つようにする。
たぶん2時間くらいかかると思うのだが、煮詰まってきたら、時々スプーンで上から煮汁をかけながら煮上げていく。
ドロリとした煮汁が少し残るくらいになったら火を止める。
トロトロのサンマは、本当にたまらない。
しかし繰り返すけれど、これは、圧力釜ではダメである。
あとは水菜の吸物。
これも「菜っぱ汁」と呼ばれる、京都の家庭料理の一つで、うまいからぜひやってみたらいい。
鍋にだし昆布を敷き、2杯分、2カップの水を入れる。
中火にかけ、ふつふつと沸いてきたら、酒大さじ2、みりん小さじ2、それに味を見ながら、淡口しょうゆ大さじ1強を入れて、まず細く切った油あげ、それから水菜とシメジをサッと煮る。
削りぶしをかけ、おろしたショウガを盛って食べる。
青菜を汁物にするには、みそ汁よりもうまいと思う。
それからトマトとピーマンのツナマヨ和え。
細いくし切りにし、種を除いたトマトと、同じくらいの大きさに切ったピーマンを、ツナとマヨネーズ、それに味ポン酢少々で和える。
それにきのうの万願寺。
酒は焼酎水割り。
涼しくなってきたのに、窓を全開にして寝たおかげで風邪を引いたみたいで、咳が出るのに、変わらずに飲んだものだから、きょうは何だかボウっとしている。
「ひどくなっても知らないよ。」
そうだよな。
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