きのうは、サンマの甘辛みそ炒め。これがまたイイのだ。
「酒は飲んでも飲まれるな」といわれる。これは、まちがいだ。
酒の楽しさがどこにあるのかといえば、「ハメをはずす楽しさ」だ。普段は社会のなかで何かと自分を飾っているのが、酒の力を借りることにより、その飾りが取り払われ、自分の本性が顔をだす。
その本性を、自分で確認することこそが、酒を飲む良さなのだ。
「飲まれるな」というのは、意味合いとして、「酒を飲んでも乱れるな」とか、「飲み過ぎないように自制しろ」とかいうことだろう。それではまったく意味がない。
酒は、自制心がはずれ、自分をさらけ出すからこそ飲む意味がある。
それを「乱れないようにしないといけない」というのなら、酒など初めから飲まないほうがいいのである。
しかし、たしかに酒を飲み、変に攻撃的になったり、行きすぎた迷惑行為を働いたりする輩はいる。それが困り物なのは、その通り。
しかしそれは、単に、酒を飲むことで現れたそいつの本性が、攻撃的だったり迷惑だったりするというだけのことだ。酒のせいではない。
だから、酒をきれいに飲むためには、何も酒を飲み過ぎないようにすることが必要なのではない。
自分の本性を磨くことこそが必要なのだ。
それを「酒のせいで、、」などと、言うのがよくない。
何でも酒が悪いことにしてしまうのは、酒がかわいそうというものである。
と、酒飲みは理屈をつけて、きのうもまた飲むわけだ。飲みながら作った肴は、サンマの中華風・甘辛みそ炒め。
これはウー・ウェンのレシピを参考にしている。ウー・ウェンは、サンマを日本に来てはじめて見て、その食べ方をいろいろ研究したらしい。
結果、日本で甘露煮にするように、甜麺醤で甘辛く炒めるのがうまい、となったらしい。
ウー・ウェンはこの料理を、「日本料理でも中国料理でもない」と書いている。
ところでこの料理、よく見ると、日本風の甘辛いみそ味に、ニンニクが使われている。
ちょうど砂糖醤油にニンニクを入れる在日料理とおなじような感覚で、興味深いところと思う。
ウー・ウェンのレシピで使われている「甜麺醤」は、要は豆みそに砂糖としょうゆ、ゴマが加えられたもの。
八丁・赤出しみそに、砂糖としょうゆ、ゴマ油を加えることで、完全に代用できる。
サンマは、1人分でも2本くらいはあったほうがいいと思う。
頭と尾びれを切り落とし、腹を割いてワタをかき出し、さらに背骨についている血合いを包丁の先でこそげ落として、よく水洗いする。
水気をふき取り、うすめに塩コショウをしたら、3センチ幅くらいに切る。
最後に表と裏に、片栗粉・それぞれ大さじ1くらいずつをまぶしておく。
フライパンに、サラダ油・大さじ1を引いて、
- 下処理したサンマ
- たたき潰したニンニク 1かけ
- 鷹の爪 1~2本
を入れて、強めの弱火くらいにかける。
そのまま3分くらい焼き、焼き色がついたらひっくり返して、さらに3分くらい焼く。
焼けたかどうかの判断は、「音」を聞くのがいい。「ジュージュー」と水分がはじける音が小さくなってきたときが、「中まで火が通り、焼き色がついたとき」になる。
中火にし、あらかじめ合わせておいたタレ、
- 八丁・赤出しみそ 大さじ2
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ2
- しょうゆ 小さじ1
- 酢 小さじ1
を注ぎこみ、フライパンを揺すってサンマをひっくり返しながら、タレを絡める。
タレがドロリと絡まったところで、ゴマ油・小さじ1くらいをまわし入れ、ひと混ぜして火を止める。
皿に盛り、何か青いものをかける。
これが、またイイ。
味は、まずはひとことで言えば、サンマの甘露煮。
そこにニンニクやゴマの風味がつき、酒もご飯もいくらでも進むというやつだ。
あとは、手羽先と大根のスープ。
手羽先を大根といっしょにコトコト1時間くらい煮たもので、これもウマイ。
鍋に、
- 水 カップ4
- たたき潰したニンニク 1かけ
- 適当に刻んだ玉ねぎ(どうせ溶けるからどう刻んでもいい) 4分の1個
- 関節のところで切り離し、塩コショウ・少々をすり込んだ手羽先 4本
を入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にし、フタをして30分くらい煮る。
2~3センチの乱切りにした大根・手羽先と見た目同量くらいを入れ、さらにフタをして20~30分、大根がやわらかくなるまで煮る。
塩加減は、はじめに手羽先にすり込んだ分くらいで十分ではないかと思う。
器によそい、きのうは青ねぎと粗挽きコショウ、ひねり潰したゴマをかけた。
それと、もちろんご飯。
酒は、焼酎水わり。
きのうは煮込み料理を作ってしまったせいで、煮込んでいるあいだに杯が進んで、いつもより余計に飲み過ぎた。
翌日酒が残ってしまうと、やはり後悔はするのである。
「悔い改めなよ。」
そうだよな。
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